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人生は全くもって奇なるもの
嘘偽りを嫌う者は多い
私は私をおとしめない
そんな心もちで生きている
私が言おうとする事柄に
是非とも耳を傾けて欲しい

旦那 それは私と暮らせる者
彼に試 ....
ちっぽけな舌で
舐める水は
透明で
汚れていない

何もしていないが
何かを残したいと
焦っては
転んでしまう

世界は透明で
朝は鮮明で
夜は虚空だ

夕暮れの川べりを歩 ....
 ロベリアの水色が私の窓辺で咲いている。
 脇役に徹しているカスミソウの白い花は妻の好みだ。
 陳腐な言葉など必要ない。
 そこには小さな美が溢れている。

 どんなに小さな表現でさえも ....
 雨上がりが匂う緑の庭園で小さな世界は広がる。
 ピアノの音色が淡い世界に色付く。
 胸に抱えた定かでない悩みは昨日へ消えてゆく。
 私はただ黙々と小さな勇気を今日という日に積み重ねた。
 ....
近づくこと
遠ざかること
 
 暗い 
    音節の 
  蝶番

止まることを拒む

海の裾のドレープ
駆けあがる白い泡

絶えまなく
描き直され
     拒みながら ....
 丘から見える遠い園生は純白に染まり、
 私の吐息と重なって淡く輝いている。
 手前に見えるロココ調の建築物はそれ自体が見事な絵画のように
 緑一色の額縁で装飾されている。

 丘の上に ....
暖かい春だというのに
今年は雪もそう見なかったのに
なごり雪を聞いている

私はいつ
強い私が欲しい
と思い込み始めたのだろう
本当に本当に
欲しかったものは
すぐそばにあっ ....
幼いころの古びた靴は
シャベルよりも
ずっと小さくて、
土遊びをしながら
泥だらけで夕暮れに沈んでいた。
永くて遠い春はすでに
まなざしの向こうにあって、

冬を越えるたび
軽くうな ....
風の幕をそっと空へ還すように
温かく見守る 吹いてくる知らせ

風は笛を吹く
物心つく頃には耳にできない 笛の讃頌

風の演奏誘うような 最前線

朱華色
鬱金色
それに
 ....
3月に入る前のふぶき
一晩が明けてブルーの大空に変った
卒業生が丸めた証書を持って談笑しながら通り過ぎる
きょうのひを刻みこむことを照れかくすようにして


たしかめ合うには
言葉も ....
   あれは空だろうか
   それとも海だろうか
   わたしが欲しかったのは
   あの青だったのだ
   体中の骨を関節を筋肉を
   すべてを伸ばし
   掴もうとす ....
生きることの最果てには
哀しいことだけれど
とても深い孤独さえあって
少しでも幸せに
生きることが
生きた証として
残れば嬉しいのだろう
それが人間の運命と云うもの

そう誰かに愛さ ....
見つけられないものを探している
とっくに失くした何かを
例えば棚で眠っている本に挟まって
頭を覗かせる封筒
歳月に黄ばみ
だが秘められた部分は青白く
ほのかに
呼吸して
机の上で宛名を ....
 窓から覗く森がまだ霧に包まれている朝、
 僕は一人静かに部屋を出る。
 森の木々から聞こえてくる鳥達の囀りが、
 昨夜聴いていたベートーヴェンの弦楽四重奏曲の余韻を少しずつ消してゆく。
 ....
 銀色の翼が西の空に消えてゆく。
 北鎌倉の西洋館の二階から遠く、由比ガ浜が見える。
 手の平ほどの水平線に鳥たちは集い、
 冬枯れの歌を歌っている。

 坂道を下れば、秋が忘れていった ....
ミルフィーユ仕立て高層マンション
晴れとも曇りともつかない冬ぞらに
めりこんだ白い実体は陽炎にゆれて
二十年前には無く二百年後にも無い


     むすう むすうのカゾクが
      ....
 冬になるたびに訪れる山荘のウッドデッキに霜がおりている。
 木のテーブルを挟んで二脚の籐椅子が向かい合っている。
 一方に腰かけている麦わら帽子はきっと誰かの忘れ物。
 もう一方に腰かけた ....
ひとの心は果てしなく彷徨う
距離や時間を超えてゆく

痕跡にすぎないものに捉われ
憶測の触手をあすに伸ばしておののく

ときどき何かを削ぎ落しながら
変わってしまうことをおそれながらも
 ....
クリスマスイブの前夜に
ようやく恋人が
同じ携帯電話に
一緒に乗り換えることを
わかってくれる
港町に降りしきる
小雨に濡れて

まるで外国から
貿易船で運ばれた
苺のフランボワー ....
夜には私少し慎重になります
だれもが薄い肌着になる
そんな感じがするから

荒々しく
とがった言葉をかけたら
破れてしまうでしょう

みんなそんな薄い
肌着でなんかいるから
寒くて ....
生きることは単純なことの積み重ねなんだ
難しいことは何もないはずなのに躓く
躓くところから物語は始まるのかも知れない

ただ対処する方法がわからないだけ
たぶん物事に正解はないが解決するちか ....
 懐かしさを覚える町並みに深いため息をつく。
 明日に向き合う為のはっきりとした記憶。
 永い旅路を終えるとき、
 思い出すのはきっとそんなものだろう。

 青空がどこまでも澄んで見える ....
くぐるのか
こえるのか
あたりまえに
たのしげに
なわの向こうへ
消えてしまった

きっと時代や風にも乗れるのでしょう
できない者にはいつまでも不思議

なわは蛇のようにうねり
 ....
 私の机上で白バラが咲いている。
 窓の外では白い雪が降る。
 壁に掛かる絵画には白鷺が息づいている。
 この世は白いと初めて感じる。

 透明だと感じていたものが全て白になる。
 娘 ....
スイッチだ日常の点けて弄ぶ消しても眠らない
壁を這いまわる夜にふやけた未発声の《》は過呼吸のまま乳房を求め
夏の光に目隠しされた幼い逢引と声の影法師
皮膚下の水脈を辿る山椒魚のふるえ蔓草が覆う戦 ....
 風になびく黒髪があなたの横顔を隠す。
 あなたは細い指で優しくその髪を撫でる。
 そんな仕草が愛おしくて私は泣いた。
 愛情があなたの存在そのものになった。

 あなたは絵画に描かれた ....
太陽が低く輝いている
濡れたアスファルトがそれを照り返し
わたしは目を細めた
光の針がどこまでも伸びて
小さな瞳孔から苦も無く入り
網膜を火の海にした
百メートルほど先を
炭のように黒い ....
空は青い
血は赤い
月は黄色い

どんな
プロパガンダを
見させられたのかな

私たちは
あらゆるところに
鍵をかけているから
空を飛べない
なんて言える
人を
好きか ....
仙台のお米
漬物
ずんだあん 餅は自分で焼けと
自家製イチジク干し柿
でっかい梅干しと活用法
牛タン
LOOKチョコレートのずんだ味 お!何だこれは!

そして手紙
小学校からの ....
紅茶をテイスティングするあの男性の、指先にとまるシルバーのリング
ティーカップに注いだ海がどんどんぬくもりを帯びていくという嘘の話
男性の指に抱かれたいとおもう夕べに私の海はどんどんし ....
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