朝起きたら
机の上にメガネが置いてあった
昨日の夜
酔って歩いていたら
呼び止められて
「透視メガネを買わないか」
と言われた
ほろ酔い気分だった自分は
うっかり買ってしまったのだ
....
将来の夢を語り合うよりも
明日のテストに向けて
たくさんの単語を関連もなく
覚えることの方が大切だった
そのときのぼくの夢は痛かった
将来の夢を描くことよりも
今の生活を脱する方法を
....
みんなが川で遊んでいた
川の回りに落ちている
材木とか箱とかを拾ってきては
川に流して競争していた
次の日も
みんなは昨日と同じように
草むらの中で下を向いて歩いては
水に浮かぶもの ....
君は鳥のように 自由でいて
羽を広げて 青い空を駆けまわって
僕は大きな木でいよう
君が疲れたときに 羽を休められる
雨から君を守るため
枝をいっぱい伸ばして 大きな葉を ....
輪ゴムのように生きろ
小さい頃から父に
ずっと言われ続けてきた
その父も祖父から
ずっと言われ続けてきたらしい
輪ゴムのような生き方って
どんな生き方なんだろう
伸びたり縮んだり
....
探し物をしていたら
押入れの奥から出てきた
学生時代のルーズリーフ
こんなものがこんなところに
物理のノートだろうか
数式やらグラフやら
長々とした漢字による専門用語やら
今では何が書か ....
今夜半過ぎ
関東から東海地方にかけて
優しいものが降り積もるでしょう
と、予報士は言った
翌朝
優しいものは降った様子だったけれど
予報どおりに積もってはいなかった
私たちは ....
ふたりで
なわとびしながら笑い合って
僕たち
何 見てたかな
ふたりで探し当てて
確かめ合って
僕たち
何 見てたかな
フルムーン
満ちるたび
『愛してる』と言って
僕た ....
隣の席で
難解な数学の問題を
すらすらと解く彼が嫌いだった
無能な自分を見ていた
何でこんな複雑なものを
考え込むことなしに
さばいて見せるのだろう
その姿勢がどこか傲慢で
さらに彼を ....
傾くピアノの黄昏に
透明なオレンジの
一滴が
空に
しみてゆく
そうして
トタン屋根の宇宙では
魚たちが
泳ぎはじめるのだ
どうか
明日も小鳥たちが
....
何十人の友達とうわべだけの関係をもつより
心から分かり合った友達が一人でもいれば
それでいい
いくつもの経験を共にした親友がいる
そいつがいなけりゃ
俺はもう
とっく ....
届くはずもないものにむかって
思いきり手をのばしたりするから
しゃがみこまなくてはいけなくなる
もうそんなに時間もないのに
誰にも教えたくないことこそ
誰かに教えたいのかもしれない
自分では誰にも教えたくないと思っていても
人は何でもないことなのかもしれない
プライバシー
このカタカナな表現が
どこかかっこ ....
前のテストが四十点で
今日のテストは六十点だった
けれども先生は
満点を取った子を褒めていた
体育のサッカーで
きちんとドリブルとパスをした
けれどもみんなは
シュートした子に憧れた ....
妖精になりたいな
虹色の翅をひらひらさせて
花の蜜を吸って暮らしたいな
気まぐれに梢を揺らしたり
あなたの帽子を飛ばしたり
満月の夜には月明かりの下
湖を滑って遊ぶの
月の光 ....
書庫の扉を開ける
水の中になってる
たぶん海なのだと思う
昨日まで資料や本の類だったものが
魚みたいに泳ぎ回っている
手を伸ばして一冊つかまえる
ページを開くようにお腹を指で裂くと
文字 ....
その昔
字を読んだり書いたりすることは
誰もができたわけではなく
むしろ限られた人だけだったのかも
しれない
今では
字は誰もが読めて書けるようになり
文盲という言葉すら
知る人が ....
夏が浮いている
ぷかぷかと気持ちよさそうに
今の季節を楽しんでいる
どこまで行くのだろう
夏が泳いでいる
ちゃぷちゃぷと気持ちよさそうに
今の季節を喜んでいる
いつまでいるのだろう
....
今からずっと未来に
ある子どもとおばあさんが会話していました
「ねえ、おばあちゃん、何かお話してよ」
「う〜ん、じゃあ、昔話を聞かせてあげましょう」
「むかしばなしってな〜に?」
「お前 ....
「大丈夫だよ」
あなたの言葉が不安定な気がして
水面に浮かべたら
あっという間に沈んだ
「俺に任せろよ」
あなたの言葉が乾いている気がして
地面に落としてみたら
....
夜がさらりと降りてくる
目覚めない
女の髪のような
さっきまで長く長く伸びていた影は
地面に溶けてしまった
あるく
あるく
よるのみちを
夜が満ちてゆく
そこここに
....
山の奥に入って行かなければ
採ることのできない昆虫が
都会の真ん中にたくさん生きている
虫網を使わなくとも
高価なお金で獲得できる
採る楽しみよりも
持つ楽しみに変わってきたのだろうか
....
「がんばりました」
とても短いけど
私の学校での一日の感想です
毎日ノートに書いて
お父さんかお母さんに見せます
そしたら何でもいいから書いてもらって
次の日に先生に渡します
毎 ....
黒い塊が空を支配し
重たい空から大粒の雨が降る
木々の葉を叩き落すその雨の中で
青空を見つけた
晴れている日なら
青空は当たり前だけれど
今は
幸せを見つけたような気がする
い ....
この世にはない湖の辺で
あなたに会う
この世にはない花を摘み
あなたを飾る
この世にはない愛の言葉を
あなたにささやく
この世にはない幸せの鳥が
あなたを祝福する
そんな世界 ....
いつも見る街の景色
行き交う人の顔はすべてモノクローム
失った思い出に変えられるものは
もう、この街のどこにもない
シンクロしない切なさ
ビックバーンの時から離れていくさだ ....
今
暑さの中で
何かが動いている
畑で汗を流す人
工事で体を動かす人
営業で外を歩く人
みんな汗をかいている
涼しい部屋にいる人も
心の中で汗が出る
この汗で
今日という一日が
....
狭苦しい自分の部屋に
自然がなかったので
花を買ってきた
わずか数日でしおれていた
今度は植木を入れてみた
水をあげ続けて
数ヶ月も持ち応えたが
花を咲かせる前に
枯れてしまった
....
雨に濡れてる紫陽花の
赤が濃くなるその花に
ほのかに光る銀の雨
一つ一つの音を聞く
そこには時が動いてる
膨らみながら進んでる
雫に溜まるその詩は
紫陽花の詩
風に吹かれる紫陽 ....
ことばにならないこと
ことばにするから
やさしい
かたちをもたないもの
かたちにするから
たのしい
なんでもあるようで
なんにもないせかいと
なんにもないようで
なんでも ....
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