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羽が落ちている
本体は見当たらないから
誰かが食べてしまったんだろう
羽は食べてもおいしくないだろうし
さしたる栄養もなさそうな
だけど
錆ひとつない
無垢な部品
ない、みたいに軽 ....
この世界とあの世界の境目は
真っ直ぐと続いているのか
その境目に沿ってずっと歩いていけたら
もしかしたら
永遠を手に入れられるかも
わからない
この世界では人間と言う生き物でいられ ....
枯れ葉が欲しい
かさかさと乾いた葉っぱを
この手の平に重ねて砕いて
撒き散らしたい
パーッと撒き散らして
グルグルと円を描いて
なにかを召喚でもしようかしら
鬼が出るか蛇が出 ....
手が凍えると
少しでも 温めようとして
両手をこすりあわせる
身体が凍えた時に
おしくらまんじゅうをした
子供時代を思い出す
足が震えたら
地団駄を踏んでみる
足元の氷が割 ....
交差点で信号を待っていたら急に雨が降ってきた
それはよくある事で珍しくはない
でも、その時に降ってきた雨はいつもと違っていた
信号が青に変わって走りだしら、雨は激しくなり激しさをました
....
雨が響いている
六月には刃先が疲労する
四月と五月の春の息吹に
消耗し尽くした空は
悲しくもなく泣き始める
大きな思い出は錯乱し
小さな風景はたるんでゆく
雨が谺している
六月には ....
繰り返される日々の中で
身も心もすり減ってゆく
紫陽花が咲く坂道を駆け下りる
雨色の風が頬を撫でる
ここまで生きてきた
どこまで行くのか
わからぬまま
歩く
蛍火はなつかしく揺 ....
静けさという音が
降ってきて
{引用=それは
大人に盛られた
眠り薬}
影という影が
今という現実の
いたづらな写し絵になる
いつまでも暮れてゆかない夜があった
小さな公 ....
すべてを話せるのなら
詩なんて書かなかった
人の間に立ち
場に即した言葉を選んでいるうち
いつしか僕らは機械のように
必要最小限しか話さなくなった
これを話せば秘密が漏れる
これ ....
うすい影がゆれている
くちばしで
虫をついばむのだけど
やわらかな影であるから
獲物はするりと逃げてしまう
{引用=命でなくなったものは
もう命には触れることができない}
それでも ....
病棟の窓から
自分のふるさとが見える
上から眺めると
人が住んでいるようには
まったく見えない
山と木しか見えない
まるで緑のジャングルのようだ
あんな所で
生まれ
育って
都会へ ....
こころは
ときめかない
生ぬるい海に
独り沈む
愛のない
こころで
懸命に生きても
ただ
空しくて
哀しい
そこのそこに
落ちて
こわれる
解放
ただそ ....
立ったまま
枯れている
あれは
孤高の命
もうおひさまをおいかける元気もないし
だれかをふりむかせるような輝きもない
けれど
おまえがひまわりで
凍えながら
戦い続けているこ ....
冷たい空気
蛇口から迸る冷たい水
擦り剥いた膝小僧
洗い流される
砂混じりの鮮血
ほんの束の間
寄りかかる肩が
頼もしくて
緊張感を覚える
小さな火種はやがて
大きく育っておもいのほか
はげしく燃えるものだから
たじろぎ
あとずさりしたボクを
キミはすこし笑った
よく燃えるね
木と紙でできた家だからね
それに……
怒 ....
帰り道
どこもかしこも冬の空気で
しんとした夜のそらに
ぽっかり月が浮かんでいた
北風の冷気が全身を刺す
爪先はもう完全に冷え切っている
死んでしまったのではないか
と思うく ....
この空が青さを取り戻す時
あの空も晴れてくれるだろうか
優しい光は
隅々まで届いてくれるだろうか
あの子のもとへ
届けてくれるだろうか
眠れない夜は
いろいろなことを考える
明日のご飯や
さっき読んだ本の続き
ここ最近の心配事や
死んだペットの事。
普段気にしないことでも
眠れない夜だと大事に感じる
きっと目を ....
公園の銀杏も散ってしまい
樹々の枝だけが
空を刺している
広場のベンチの陽だまりに
うたたねしているお爺さんの
寝息はとても安らかで
ぼくも欠伸をしたくなった
冬の情景はブリュー ....
潮の満ち引きが鼓動と繋がっていた
あるときは優しく
或る時は激しく
わからないままに彷徨う姿は
赤や青に点滅する
夜中の踏切を渡ろうとしても
遮断機があがることはなかった
待ちくたび ....
庭に落ちてるガラスの欠片を集めて入れていたガラスの小瓶も
本当は友達が持ってるキティちゃんのローズピンクのランドセルが良かったなとか思いながら使っていたワインレッドのランドセルも
幼稚園で作ったお ....
何者かはわからない
狐のお面を着けた
誰かが
ぼくをじっとみつめていた
紅い鳥居の陰から
何かを呟いている
よく聞こえないので
誰なの? と
聞いてみると
ぼくだよ
と応える
....
生まれた哀しみを与えてくれた
おかあさん
ぼくはいずれ死の苦しみを味わなければならない
なぜ、生まれたことを祝うのだろう
生まれたことは死に繋がるのだから
できることなら
意識のな ....
秋と冬の境目の
限りなく冬に寄り添う秋だから
ならべてみたくもなる
あったかいものをしこたまに
{ルビ炬燵=こたつ} 湯たんぽ 綿入れ{ルビ袢纏=はんてん}
焼き芋 甘酒 鍋料理
{ルビ熱 ....
波間を縫うように
飛んでゆくトビウオになれたなら
ぼくはどんなに幸せだろう
七海を越えてゆく君たちの喜びが
ぼくを透明にしてゆくんだ
やがては鳥に進化してゆく君たちと
ぼくは一緒になり
....
鳥になれ
大空を
はばたいて
往く空の果てまで
ぼくは見つめているから
やがて銀の龍になってくれ
君の瞳に映った世界を見せてほしい
いつかきっと
新聞の死亡欄に小さく載りたい
葬儀の予定など一切無しで
ほんの数えるほどの文字
ひとつの死 ひとつの終わり
シンプルで飾りのない
わたしの死 わたしの終わり
事実だけが落ちている
....
夢は遥かに銀河をこえてゆく
ぼくというとても小さな存在の瞳から
こぼれる涙
流れて
流れて
やがては天の川になるのだろうか
白い星
青い星
紅い星
黄色星
緑の星
黒 ....
おまえは夜がこわいと言った
夜はおれも
ちょっとこわいかな…
冷えたおまえのひたいを静かになでた
あしたは何が食べたい?
甘~ぃ デニッシュ…
おれはあちこちのベーカリ ....
にょきにょきと…背丈がのびる
パキラの樹は、天井にふれ
窮屈そうに
緑の背骨を曲げている
――私ハモット大キク…ノビタイ
音の無いパキラの声は、不思議なほど
対面する私に内蔵さ ....
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