すべてのおすすめ
わたしのお姫様はちょっと変わった男とお付き合いをしているようで。
この間も突然、雪の中を裸足で駆け出していったんです。
真っ白なドレスを灰色に染めて帰ってきました。
熱いコーヒーを入れて ....
色がぽとり
稲と歩道の真ん中で
少年少女の帰り道
月色の瞳で砂利フォーカス
ゆらりゆらりと流れてく
風だけが木々と戯れている
ここに畑はなくて
誰もがプラウン官の向こうにある ....
パンダとして
は
足を放り出して
笹を
食べるのが
トレンディなんですって
野菜のソムリエの
長谷川さんが
言ってたわって
ルミコは
教えてくれた
無防備が
かわいい
という ....
またひとつ、罪を重ねました。白い陽があまりにも眩しすぎて、思わず青いほうへ、赤いほうへ、よろけてしまったのです。それはきっと、私の弱さのひとつでもあるのでしょうが、こんなにさまざまな色につまずいてしま ....
まだ髪も乾いていない
置いて行かれても泣かない
遠くに住んでいた頃を思い出す
同じ月を見て欲しいと
置いて行かれてもいないのに泣きながら
まだ髪も乾いていない
同じ家の玄関に佇むま ....
遠目に
窓越しの木々が痙攣し
雨の訪れを知る
ベランダには
洗い立てのシーツが
物干しいっぱい広がって
百万都市のネオンからかくれるように
わたしたちは居た
だれかの描いた
まっ ....
歌えなくなってしまったの。
声が届かないの。
あの看板を見ると泣いてしまうんです。
おじいちゃんと昔よく食べにいった、牛丼屋の看板。
掻き毟った場所には
泡立った石鹸水が気持ちいいん ....
ぼくたちの見えるところ見えないところ
繰り返される欲望の衝突のおかげで
ぼくたちはもぬけの殻になってしまった
風鈴がチリンと一つだけ鳴る
意味を終えた紙吹雪のように
....
月曜日とにかく光射すバスの窓際に座って
手のひらのにぶい氷が溶けてゆく
仮死状態でありながら
勃起する
なくした心臓の空白
暗闇からきわだつ白い幹を
幼虫 ....
緑の木々がゆらめいたり
遠くのコオロギが聞こえるということ
低い雲が重々しく北へ向かったり
小窓でレースのカーテンがはためくということ
白い水鳥のひと群れが南へ進路を取り
黄色い砂粒 ....
湿ったマンホールの中でひしめきあった豚たちが
悲鳴を上げている
チカチカする電灯の合間に
血走った目が光って見える
だからどうしようぼくたちは白い粉の洗剤を飲 ....
触れればずっと鳴りつづく
触れない気持ちがそぞろに歩く
触れるものなどないはずなのに
気づかぬうちに触れはじめている
隣り合うふたつの窓のひとつに
遠い窓の灯りがとど ....
とどけもの
ぶどうがとどき
さんまもとどく
雨もときおりふっている
風もつよい
あんぜんな部屋の中で
恋だと愛だのにうつつをぬかす
これから柿をおく ....
お父さんとお母さんが嘘つくから、
橋を渡ってしまったんです。
−指を切っても、吸ってくれる人がいないのよ。
ボロボロのドレスを脱ぎ捨てても、
髪を金色に染めても、
わたしの意志はそこ ....
わたしの身体は三日月の野原です
このなだらかなカーブは
どのみち受け入れるための
情報を得る手段であり
触角のようなものです
屹立と振動が描く
幾重にも連なる波状のはしっこを
数千億もあ ....
太陽には 秘密があるんだ
誰にも言っちゃダメだよ
太陽は実は 月に恋をしているんだ
遠い宇宙の空間の中で いつか 結ばれることを
毎日 夢見ているんだ
太陽は 熱い ....
五年前に自殺サイトの掲示板やチャットルームばかり見ていたぼくは
ぼくの瞳がそれを僕の世界にうつしたように
いまわたしは空気ばかりみつめる。
「PARTY」
真夏のALTA ....
防衛する力を備えていないわたしは、
ダメなんだわ。
泣いたって、残されているのは鳩のフンの始末だけ。
「女の子はお姫様でいたいのよ。
ピンクのドレスを着て、
微笑んで王子様を待ってい ....
花を差し出されたら
黙って口に含む
蜜を吸う
疑うという言葉は
知らないふりをしなくてはいけないルール
ねえ
毒って、甘いんだってね
*
追いかけられるの ....
ふと声をかけてみた
その外国人は
「ロマンスカー?」
と言って
少し笑った
新宿駅西口で
そうなんですよ日本には
ロマンスカーがあるんです
ロマンスカーはみんなを乗せて
ロマンス ....
それは総ての男を魅了する
総ての芸術家を虜にする
それは瑞々しい果実のようであり
たおやかな母の抱擁をも予感させる
それはあまりにも眩しい
陽に焼けたまろやかな曲線は
誇ら ....
どこまでも誰もいない
ぬれた灰色の道に
どこまでも空が落ちてくる
凛とした声が触れにくる
雨を歩むものの頬に
触れにくる
夜がひらく
さらに奥の夜をひらく ....
ポラロイドカメラで
港の夕焼けを閉じ込めた
一瞬の空を
たった1枚の写真に収めようなんて
我ながら
驕ってみたものだけれど
その1枚は確かに
僕の指先で
月にも負けず輝き続けて ....
久しぶりの帰省すると
父も母もさらに
小さい
そのくせ
私の好物に
ことのほか敏感
いなり寿司とか
フルーツとか
裏手にある斜面の先に
小さな墓地があり
花を ....
帰ってくるよ
夏が帰ってくるよ
この火で埋められた季節に
死者たちが帰ってくるよ
*
ただ白いだけの変な鳥がいます。暑い夏の日差しを受けて、きらきらとその翼が輝いています。飛んでいる ....
鼓動と光が
落ちてきて
あい わず ぼぉおん
おぎゃと 生まれる前に
ほんとうの始まりがあるんだ
それが解ったよ
わたしのお腹は おもわず ぼぉぉん
鼓動と光が
落ちてきて
....
目の前の扇風機に
心ときめかせ
声をかける
われわれはー、うちゅうじんらー。
一年ぶりの扇風機は
声を束ねて返してくれた
今晩は君をつれ ....
かぜがつよい なにがとんでくるかわからない でもきもちがいい たいふうのせいだ いもうとはねつがでて ねている じてんしゃにのれないし いもうととあそべないので つまらない こんどは ははがねつをだし ....
いまのは世界中の石像が
月のちからにひかれ
変身しようとして
均衡をうしない
たおれて砕けた音だ
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった
わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ
と
美しい光
いつつ
むっつ
と
美しい光
けれどもそこ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15