陽が当たらないこの部屋には夜が堆積したまま、おはよう。
けして眩しくはないけれど、それは挨拶だ。
腕を下にしていたのでしびれた。下敷きが平たく硬いのは、しびれずに楽に生きていくための防 ....
今日の夕方
西の空に彗星が見えるんだってさ
ほんとだよ
ニュースの人が言ってた
ぼくのリサーチによると
多分 公園の先の
くすの木がたってる丘の上が
一番 よく見えるはずなんだ
....
ふぞろいな前髪の
整列にかかる
風のみちゆきを
ぢなりのようなうたをうたい
散らしていった
まるくとがった あの唇
おしあたった瞬間の
確かな熱の重さも すい と
運び
....
ただ ただ
あなたが好きでした
好きなだけの恋でした
それすら
あなたを苦しめるというのならば
もう わたしは
かたつむりになって
黙って
ここから去ろう
ゆっくりと
....
お花を買った帰り道
フワリフワリ良い匂いがして
とても機嫌がよろしいの
そんな私を 幾人も
羨ましげに振り返るので
いい女を気取りながら
颯爽と歩いていたらば
花を飛び交うミツバチと
....
ひとりでだれかがそらをみている
そのよこであたしは性を超える
ぶんかつでかったたましいのいちばんくらいぶぶん
せいふくのふくらみから聴こえるでしょ
噛み合わないはなしさえ ....
なんだよ、ダジャレじゃねえか
と激しく笑われたので渡しそびれた
きっと勝つと、キットカット
受験合格のお守りだって
コンビニだって神社になる
簡単に買えたけど
その気持ちは簡単 ....
ぷよぷよ頭のシロイルカや
花火のようなくらげをみて
三人でおおきなアイスクリームを食べても
小さな女の子はそっぽを向いたまま
だから水族館から海へ向かう砂浜は
お母さんと君だけで歩いて行った ....
ニュー。ニュー。
新しくなることについて考える昼すこし前の柔らかい光だ。
上着のポケットにしまっていた石を垂直に投げる。加速度と重力。そう、加速度と重力がせめぎあうその瞬間の曇り空に、押し ....
ノートに絵を描くと
いつも人の顔に見えます
どんなに線を崩しても
唇や瞳のある
表情を持った人の顔に見えます
その理由がわかったのは
ずいぶん後のこと ....
春の電撃作戦。開始。
街のいたるところで僕らは耳に手をあてる
どかん
それは小さな破裂
作戦が始まった合図だ、ほら
そしてまた、どかん
コンビニで働くあの娘、最近きれいになったね
と ....
私は霧に包まれていた
霧の森を長いことかけて歩いて行った
霧は深く 晴れることを知らない…
扉を見つけた
霧の森で
開けようとも思っていないのに
その扉は開いた
でも
その先も霧に ....
今日も良い天気
環状8号線から
ちょっと入ったところ
思ったよりも静かな
住宅地
不思議なデザインの
ブルーのマンション
窓からのぞく
子供の顔に
挨拶しようと
手を振 ....
色々と大袈裟に語られることが多いから
一つを信じるにも力が必要で
惑わされないように見ないように
うつむきながら加速していく
こんな時代を
ゆっくりと流れていくのは
夕暮れくらいなのか ....
思い立ってシュレッダーを買った
特に使い道があるというわけではない
だから
日頃の溜まった鬱憤を紙に書いていく
書いたそばから砕いていく
クロスカットだからね木っ端微塵
段々エスカレートし ....
スライド、スライドしていく音階に、立ち止まるための目印はない。ギター、弦の上を滑ってゆくぼくらの、とめどないものを抑制する旅。そしてタブ、タブ譜を読むためのフレット、フレット。区切りをつけて、数を数え ....
楽しいはずの
デートの帰り
彼が
たぬきを轢く
たぬきはこげ茶と黒が入り混じった体毛で
牙はするどく体長70センチくらい
道路の真ん中で横たわるたぬき
たぬきは息をしてい ....
嬉々として初夏の陽気を真似てまで我が玉肌を見たいか春よ
みみずちちんだ。みみずく、のびた。
*
もぐらひょっこり、鼻に風花
*
すっぽんしっぽり、すっぽんぽん
*
蚊をたたくつもりで顔たたき
*
まわるまわる ....
光のなかで光を引きずる
あちこち折れた羽のように
増えては
増えては 軽くなる
はばたきに似た歩みの音
灰のにおい
羽のにおい
いつのまにかひとりの道
鈴の音
陽 ....
花びらは散る
散る花びらは積もる
積もる花びら
だれもせかさない
静かな街から
積もることさえ知らない街
散ったとしても
積もる時さえ降らない街
むすんでひらけば
花びらさえ
ここ ....
写真を撮ろうよ 二人のね。
緩やかな波打ち際で待ってるよ。
君はカメラを誰かに託して
僕の方に駆けてきた。
嬉しそうに笑う君が何となく
幼く見えて可愛らしかったものだから
僕は思わ ....
「ピーマンって美味しいよね」
って
君が笑った
「うん」
僕も笑って
そう答えたけれど
あれは
目標であって
僕は
嘘が嫌い
....
果てしなくつづくかのような
この空の向こうに
宇宙が 存在している
それだけは 紛れもない
空と宇宙の境界線まで
サンダルを蹴り上げて
明日の天気を占う
落っこちてく ....
指を折って下さいと
私は尋ねる
憤懣やるかたなし
といった風情で
彼は
動かぬ指を折る
ことばほど
指は曲らず
ただ
夕暮れが訪れる
もくれんの花びらの
やがて
春 ....
夢中になりすぎると
お互い可哀相になる
あまりにも余裕がなくて
何かを恐れあせっている
たとえそれが
たった一夜逢えないかもしれないという
ただそれだけのことだとしても
手が震え仕事 ....
よく冷えたふたりの恋に
思い出エッセンスを少々
泡立てすぎて分離しました
「袖道」
読者の誤解を恐れずに言いますと、
読むと不快感を感じさせる詩というのがあります。たとえば、プチブルな(この言葉はも
う古語になってしまいました。あなたが、街角やキャンパスで大富豪の ....
きっとこれはライグレと煙草で
味とも匂いともつかない艶めきが乗りかかる部屋に
トタンに雨が踊り狂ってしまって 音楽のほうが薄っぺらで
勢いあまって気が違ったか なだれかかり
この季節の 凡 ....
まぐろの解体ショーに行く
はんてん角刈り包丁持って
さばいてさばいて大喝采
死んだまぐろが
このように
ほら奥さん
一枚どうですか
一枚一枚
まぐろって
骨と骨のあい ....
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