三日月の夜に
ひんやりと矜持を研ぐ奴がいる。
これまでに何十人もの肉を削いできた
彼のただ一つのアイテムは
哀願と絶叫によって切れ味を増し
涙と血によって絶対に近づく。
彼は切り裂 ....
断崖絶壁を途坂している二人の若者は
時にはボロボロの吊り橋で命を落としかけ
時には鉄砲水に溢れる激流に呑まれかけ
数多くの絶体絶命を積み重ねながら
それでも尚、前進を止めない
愛する家族 ....
葉はどれも光っていた
雨粒は露になって残り
雲の向こうの空のずっと高い向こうの
姿の見えない太陽の光を集めていた
雨あがりの空気は澄んでいる
埃だとかスモッグだとか
....
県立文化会館の大ホール!大ホール!大ホール!と
すっかりはしゃぎ過ぎてしまったのです
誰かサイダーを持って来てください
僕は観客席で日めくりカレンダーをめくり続けています
県立文化会館 ....
社の食堂の隅の休憩スペース
テーブルは四つ
窓から空が大きい
風がブラインドのひもをゆらす
カラン カラン..
喫煙席は
そのまた隅っこ
紙コップのコーヒーは安物 ....
募集要項(1)
応募資格
高校生歓迎 肺活量に自信があり なるべく息の臭くない方
時間
1台につき 4人(1人6時間程度)のシフト制で働いてもらいます 基本的には24時間ずっと仕事があり ....
うちの窓から
朝日はみえない
きっとどこかの窓からは
朝日がみえる
みえるのだろう
夕べ
流しの三角コーナーに
食べ残したサラダを捨てながら思った
サラダの中の胡瓜が細かくなる前
の ....
どうしても手放せないものがある。
直径二十センチの海だ。
四キロを泳いで持ち帰った
はたちの俺だ。
ごろり
机の上にころがる
うす水色の{ルビ浮子=アバ}をまえに
いま、俺は ....
おい坊主、饅頭食うか?
おじちゃんだぁれ?
知らない人にモノもらっちゃだめだって
母ちゃんが言ってたよ
そうか、残念だなぁ
こんなにスベスベしてるのになぁ
スベスベしてるの ....
守られる約束なんて
この世にはないから
約束なんて
しないほうがいい
どうしても
約束したくなったら
はんぶん冗談で
すればいい
歯医者の予約程度の
約束を
すれば ....
君が死んだら
君を入れた棺にのって
三途の川でも上ろうと思う
お腹がすいたら
君を食べて
遺骨で作った槍で
閻魔を殺そうと思う
ああ
そんな
呆れ ....
@鬱五郎はライオンの虫歯を見つけた、と言う。
大きくあくびをする顎を覗き込んで、
鬱五郎はライオンの虫歯に話しかけようとした、けれど
眠たげにゴロゴロと喉を鳴らすそいつは、
生臭いあく ....
遅れます 見なくてもわかる写メなんか送ってくんなら死ぬ気で走れ
重ね着もいいけどブラはしてきてよ乳首かキミか迷う初夏です
立ち並ぶビルに出社のキミよりも 今、声をかけてきたヒトの勝ち
....
明日のことばかり考えてたら
今日のこと忘れてた
電話もごはんも催促も壁紙の張替えも
全部全部全部
食いつきのいいアマゾンの美魚
食いつきのいいメキシコの美魚
食いつきのいいアフリカの美 ....
こういう無駄なことに労力を捧げる人たちって素敵です。
私も参加してみようとやってみたけど、無駄でした。鬼教官。
「ジョジョの奇妙な冒険・決めポーズ教室」
http://homepage2.n ....
よこあるくスベスベを、イメージの先に融解する。
涼しくさらっていく風が、撫でるのは喧騒だ。
こうしてぼくらは息をしていて、いつもいつも、いろいろな状態をことばにする。悲しい。うれしい。お腹 ....
秋のあいだ
ひとり山に引きこもって
ギンナンギンナンって踊っています
つま先で立って
小さい冠をかぶって
麗しの八合目で
姫です
真っ赤に猛る裾を尻目に
ギンナンギンナ ....
詩を書く時に気をつけようと思うことを、書きます。
私が「詩」を書こうと思い立った瞬間から、その呪縛は現れる。
カッコイイ言葉であらねばならない。
誰かに読まれるためであらねばなら ....
夫になれない
父になれない
妻になれない
母になれない
自慢することじゃないけど
恥じることはない
俺はそう思ってる
俺は
若くして
ポンコツにな ....
早く消えてくれと
心から願う
働きすぎると
脳味噌の髄から
眼球の真奥が痙攣する
鼻の穴から
二酸化炭素が上手く排出できなくなると
決まって
幽霊が
私の前に出る ....
★ ゼブラくん
あなたのあだ名
つけてあげたよゼブラくん
よこしまゼブラくん
★ こむらがえり
営業の小村クンが
人知れ ....
ぼくの恋人はスベスベマンジュウガニだ
すべすべした感触にぞっこんさ
だがぼくには妻もいるし
彼女に会うためにそうちょくちょく海に通うわけにもいかない
シャツの裾をつまむハサミを振り ....
詩を読んで
詩(のようなもの)を書いていたら
休日の半分使ってしまった。
「この詩の野郎!」
洗濯干しも 布団干しも
その前に 顔も洗ってないし、歯も磨いてないじゃな ....
コーポR・402をひっそりと辞し
もう二度と戻ってこないことになってしまった
あなたへ
(えっ、本当にもう二度と戻ってこないの?
どうしてなの?
わたしには訳が分からない ....
あざが4つと
擦り傷が一つ
引いて3
誰かがあたしのトイレを見て
3言くらいコメントをする
なのにひとつも
思い出せない
そんなことが
短い期間に
2度繰り返されて
引いて1
額 ....
この原稿を依頼されたときの特集名、
「女を口説く為の詩」でした。
じつはこの、「女を口説く為の詩」ってのが、
すでに口説くという行為から外れてるんですね(爆)。
「女」ではなく、せめて ....
午後三時の道の上
薄目を開けて寝そべっている
おまえの見る夢は多すぎて
電車がすぎても目覚めない
食い散らかして 蹴飛ばされ
胸も腹も治らない
同じ道 ....
空っぽになった
ジャムの瓶をさかさまに
逆立ちができない、と
言っていた友達を
さかさまに
意地悪なあなたの
『好きではない』を
『好き』に変えて
あなたの気持ちをも
さ ....
半裸の女性は自動車に限りなく接近し
煙突は草原と合図を交わし転倒しながら笑っている
酒場のテーブルに地元の地図を書いて
自営業を営む侍がおもむろに刀を投げる
その真剣さは伝わる
アウトライン ....
強がって 悲しんでる姿が
とても怖かった
自分の首に
紐を結わえ着けて
先っちょ
勝手に握らせてさ、
僕のこと、本当に大切に思っているんなら、絶対離しちゃだめだよ、
笑顔で突き飛ばそうと ....
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