すべてのおすすめ
ほの暗い世界に浮かぶ首筋に沿われる指がナイフに変わる
地図にも載らない楽園を住民票にも載らない妹の兄一方通行
百回目姉と知りつつ背徳を覚えて二人鉄柵越える
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先生 この前のテストは100点だったけどBでいいです先生私先生が好きです。
ラメ入りの少年 惚れさせてしまうのは男どもばかり 生理も来ない
触れてとは言わない言えないでも触れな ....
罪の森きみの手を取り「逃げよう」と言った途端に僕も罪人
森のなか追いかけごっこふたりして迷い込んだねもうひとつの森
瓶詰めの蝶を埋めます木の根元「飛び立つものはすべて埋めます」
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飛行船はるか下方に点となり僕らふたりは帰れないまま
「ふらわぁ」と君がひとこと呟けば辺り一面芽吹きだす花
明け方に鏡の部屋に迷い込み乱れ咲いてるきみの朝顔
花園で追いかけ ....
ローリングする着陸機よピッチングだけはするなよ いざランディング
懐かしい名前でふいに呼ぶ人のありそうで怖い乗り継ぎの島
あの雲の影はほらそこ あの影の雲はあの雲 青い青い海
雲は皆 ....
危険です真似しないでねハブクラゲつんと突付くと面舵転進
道脇のガードレールに何気なくアカショウビンが止まっています
真っ白なリーフエッジと砂の浜 引き潮どきの{ルビ美=ちゅ}らさ島々
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縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる
夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄
鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ
鏡台に映る妹べにを ....
逢いたくて貴方にひとめ逢いたくてナイフで月をえぐる向日葵
パイの実がすぐ空になる すぐ空になるものがあと一つだけある
一人では食べきれなくて汚された皿の匂いは部屋の匂いで
単純な作業に終われああ今日も八年前と同じ青空
「何」と打 ....
歩き出す 30分で寝るために回り続けた扇風機まで
売春で出会った君が好きだったロイズのチョコを噛んだりしてる
今一度死んでもいいというような気分で英語の授業を受ける
明日の朝、起きら ....
ぼくの肩に寄り掛かる君のrealityは電車の揺れにただただ脆い
「マシュマロのお化けを見たの」「恐かった?」「ううん、とっても気持ちよかった」
ぼく以上に何も持たない君はもう溶けてしまっ ....
駅前のパチンコ屋は新装開店です CRフィーバー「穂村弘」
慎重に「穂村弘」の臍の穴狙って「弘」をまわしてください
「リーチ!」って「穂村弘」の声がしてまみ群出たらチャンス拡大!
ま ....
カ ン パ ネ ラ 君 の 骨 な ら 返 さ な い 。
殺 し 合 う に は 低 す ぎ る 空 。
微笑みつ口から滴る灰色の雨だれのごとき友の嘲り
裏切りは雷鳴のごとく轟きて稲光のもとさらけだされし
裏切りをもたらす雲は見えずとも友の柔肌裂けば青空
目の前の笑顔の向こうにちらつくは画面に踊りし ....
水鉄砲空に向かって引き金引けば雨とは違うりずむさわかる?
朝露で光る蜘蛛の巣払えども蜘蛛を払わば晴れぬ我が梅雨
魚たちきらめきながら海の底反射の果てのうろこ雲かな
君の名 ....
原宿の真上を仰ぐ桃色に太陽の位置を忘れてしまった
歩道越え眩ませる目の橙に目黒通りに抜けつきる記憶
遠くまでがらんと大崎ただ一人つくった嘘のばからしいこと
秋葉原地球丸呑みテラバイト ....
廃校の壊れた椅子に腰かけてひとり君待つ四学期かな
朝礼で神を失う君を見てはるか昔のあの地を思う
漆黒の絶縁テープ巻きつけてアルバム燃やす十月の夜
体育館裏の壁際いつまでも ....
爪色を鮮やかにする
ひそやかなおんなの夜業
はなびらが咲く
ゆふぐれに君とふたりで春の墓地ここでひととき幽霊しようか
「五千年前の約束忘れたの?」花火しながら妹が問ふ
昆虫がふたりの為の出会いなど知らづに運ぶ花粉かな
警報機こわし ....
微熱おぶてにとりますも眠るままちりともなかぬ冷たきこばこ
ことばなく熱きくちびるただそつとそわせるばかり冷たきせなに
遅れます 見なくてもわかる写メなんか送ってくんなら死ぬ気で走れ
重ね着もいいけどブラはしてきてよ乳首かキミか迷う初夏です
立ち並ぶビルに出社のキミよりも 今、声をかけてきたヒトの勝ち
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嬉々として初夏の陽気を真似てまで我が玉肌を見たいか春よ
肌を刺す自転車の風アマルコルドままよ抜け切る踏切の溝
満月と見紛うばかりに丸時計ゆくりゆくりと短針の夜
クラクションパパラパパラに道路際過ぎ去る豚の色彩の妙
暗闇に減速する性からから ....
はじめてのくちづけ熱くこの天も地も知ろしめさせ響け和音よ
こまぎれの短歌かたかた細切れのねぇねぇそれは美味しいですか
死者誤入されて冥土もこの世にも居場所がなくて北風となる
さぁ ....
色褪せしカエルの背をなでやりつ人差し指はものひきつらす
日暮れれば花弁を閉ぢる花と知らず植ゑてよりわが昼は呪はれ
土くさき夜気につつまれ甦る記憶くるしくのびる根のごと
街路樹の根の垂 ....