そのままの静かな脚の間から
見える色は枯葉だった
風と風ではないものの境に
あなたは立っていた
空き地に囲まれた家が
はじめて舞うもののようにふるえてい ....
料金が足りませんからと
窓口の向こうの若い局員は不機嫌そうな顔で
茶筒みたいにふくれた封筒をつき返した
そりゃあ、足りないのは僕の落ち度ではあるし
深夜勤務の彼にはちょうど今頃が
一番眠たい ....
悪意に満ちた・悪意に満ちたと浮き彫りにする
呼び起こす幻想に刺激する電灯に明かりが付く
チカ・チカ
たどたどしい言葉をなぞりたどりの姑息連弾
タクシーが止まる喪服のひだがなびく風と霜
何 ....
雑然とした東京の
とある駅前の話
そこにはリサイクルショップと
ラーメン屋しか無い
他の店もあるにはあるが
とにかく目立つのはそればかりだ
そして
そこに行き交う人々は
誰もが幸せそう ....
「ずっと恋人でいましょう」
と言って 結婚をしました
結婚をして15年
ずっと敬語を使っていますね
「待たせました」
「出来ていますか」
が好きです
ついに私達の娘は
ロングス ....
1 バス待ち
陽だまりの停留所に
車椅子の老人
声かけようか
たとえば
今日もお陽さん輝いていますね
でもすぐそこには冬将軍で
そのブランケットは暖かそうですね
サング ....
神様への恨みその他
いろいろあって
昆虫に生まれ変わる夢をみた
キャベツの葉の巻き込みの下で
今とてもしあわせ
緑色の天蓋はともすれば
お祖母さんの匂いがする
そうだ ....
これ以上
大人になったら
何日か 一緒に暮らしましょう
☆佐藤惣之助「燃ゆる町」の場合
この作品は彼の第2詩集「狂へる歌」のなかの1篇です。
見よ、冬の強い夜明けを
彼女はとび起きた
これが出だしの2行。「 ....
それははちみつのいろ
きんいろにかがやくアスファルト
カーブの手前
かげのように
染みがきえない
きえないでいる
からすの世界はあかむらさきで
いいものだけ光ってる
たとえ ....
一本のラインが羊を造形する、その工程は普遍化の道程を離れ手工
業の未分化へと進んでいる。進むことは進歩ではない。進むことは
退化ではない。多様化と呼ばれる分岐信仰がラインを圧迫するポイ
ント ....
男の料理は色々うるさい
彼の作るカレーは実に凝っているらしく
野菜だの果物だのがどっさりと入っていて
長時間煮込むのだそうだ
それはさぞかし美味いだろう
しかしうるさい
特にすりおろし ....
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた
ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
ひょいと持ち上げれば石の下にも
木々の葉の裏にも
川にも、山にも、雲や風の中にも
ニコニコ笑って神々は居る
チョット助けてよ
ほら手伝って
と声をかけても
にっこりわらって
ないな ....
彼女はレースの手袋をしていた
日傘の陰の中に棲む渦巻のように道に迷い
信号を渡ると必ず赤になるのだった
僕たちは警笛と仲良くなって
赤いビートルのボンネットにひと蹴り入れてからひとごみに消える ....
電車が通ると僕の部屋は震える
飴細工みたいな無数のエナジーが空間に飛び散った
ロクに判りもしない文庫を買うのが趣味だった
生命線に重なり合うところでこがねいろの波にのまれる
脳内がジャ ....
面白いです。
↓
http://www.xylo.co.jp/splash.html
嫌いな奴にぶつけてやりましょう。
ほんとにあなたに会いたくて
阿佐ヶ谷とアムステルダムが 草続きだったら
走って行きたい と思います
足をとられるのは
たんぽぽのつるではなく
カマキリの白い糸で
血が流れると
あなた ....
堂々巡りの話が止まらないのでいっそのこと
回り回って溶けてバターになってやろうかと思ったが
パンのカリカリの表面の上できれいに塗られずに固形のまま
押しつぶされたりするのが嫌だったのでとにかく反 ....
「青いポストはどこですか?」
この街を訪れる観光客は皆それを尋ねる
「それならこの道をまっすぐ行って3つ目の信号を左に曲がった所にあります」
今日でもう何人の人に同じことを言ったか… ....
1.5
「掛け値なし」だかどうか分らないが、私の荒地のイメージをいえば、それは色のない世界で、そして是非とも生命的なものの残骸がそこに現れていなければならないというものだ。<まったくなん ....
舌の上で溶けていく青春を
泣きながら見つめていた人よ
今それがチューブを伝い貴方を宇宙に解放する
薄く口を開いた貴方はいまにも口ずさみそうだ
デジタルのハートビート
カウ ....
☆村野四郎「体操詩集」の場合
次の詩を読み設問に答えなさい。
花のように雲たちの衣裳がひらく/水の反射が/あなたの裸体に縞をつける/あなたは遂に飛びだした/筋肉の翅で/日 ....
喉の奥を製本したような風邪をひいて
いっそのこと美しく装幀されて図書館でカビ臭くなりたいと夢見て
布団に入るといつのまにか17時間半経っていた晴れた午後4時に
炊いたお香でひとつ咳をして
....
彼女からの手紙が
炊飯器の中で見つかった
もう
ほっかほかの
ぐっちゃぐちゃで
炊きたてのご飯はうっすら黒く
食べると微妙にインクの味がする
時おりぐにゃりと繊維をかんだりもする ....
いきなり
目の前に飛び込んできたのは
黄色い蝶です
秋に向かって明け放れた
私の窓から
季節なんてと
挑戦状をたたきつけて
不敵にヒラヒラ舞っています
私だって
この生にバン ....
Dear Fujiko
出がけに大雨だったので,
駅まで車で送れと女房に言ったら,
ブツブツいわれて,
キレタ
(オッ,なんだか詩みたいだなぁ)
タクシー拾おうとしたが ....
灰色の空
ばかりが映る窓を悲しいと思ったのはいつからだ
廊下
ゼンマイのオモチャが走っているのだ
ゼンマイのオモチャが走っているのだギィギィ
たとえそれを止める術が無いとしても
ゼンマ ....
つま先から頭のてっぺんにかけて
ベクトルがそのまま垂直方向に伸びて太陽
果物と同じくらい孤独
瑞々しさの極致がほったらかしだよ
ある日南の島の販売人に出会って
ポイントもつけるし安く ....
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