高い高いビルとビルの間に真冬でも
青々とした葉っぱをいっぱいにつけた大きな木があって
その木の葉っぱたちは風が吹く度に
小さく身を寄せ合ってクスクスと笑った
僕はその木の前にあ ....
両手いっぱいの雨に
涙がまじっていたら
うけとめる方がいいのか
ふれない方がいいのか
なやみます。
うけとめた涙は
そっとしてほしかったかもしれません。
....
雨が降ると配色が悪くなる
そこから世界はぐずり始める
平行四辺形が歪んだ正方形だとするならば
俺はそれと同じ比率でずれていったのだと思うよ
行楽シーズンにどこへも行けなかった家庭の子供のように
休みあ ....
・煙草に「肺」と書いて、吸ってもらう。または自分で吸う。
・「人間」と名付けたバッタを飼ってみる。
・友人にある言葉を紙に書いてもらい、封筒に入れる。自分には決して中がわからないようにした ....
きみ
いつも
ひとり
あるけない
ぼく いつも
ひとり
あるきたい
きみ
ぼくの まえで
なんども ないた ぼく それ とめなかった きみ ひとりで 超えていくの ぼくを ....
でもね
ショッカーにもママがいるのよ
って教えてくれた
幼稚園のさゆり先生が
交通事故でびっこになってしまったと
ママが教えてくれた
ボーイフレンドのバイクで事故ったのだ
ランドセル ....
少しづつ 咲く花も
少しづつ 枯れる花も
同じ時の中で 生を流れる
めざめて
めばえて
よりそい
続かなくなる息なのに
止める事に こだわり
いつまで夢をみるの
....
漬物石をかかえた大人が
喧嘩をしてる
漬物石はかかえたまま。
向き合って
立っている
漬物石をかかえた大人が
喧嘩をしてる
漬物石はかかえたまま。
置く事ができずに
手を出す事 ....
真夜中に、
嵐の音が怖くて目を閉じたジーナ
だけど嵐の音じゃなかったみたい
目を閉じている間に、
季節が変わってしまって
途方に暮れてる小さなジーナ
ふれる ....
雨が降っている
今日一日ずっと降っている
ぼくは雨が大嫌いだ
こんなじめじめして服も汚れるし
足はびしょびしょになってるし
もうなんで雨って存在するんだろうと
考え ....
干からびてゆく金魚を
何の感情も無さそうに眺める
(あぁ、乾いてゆくのだな、と)
ピンクが赤にかわっていく
なぜ苦しむ姿はこんなにも奇麗なのか
(私は私であり、苦しんでいるの ....
不安定はいつも怖いけど
安定にはいつか飽きる
やさしいだけじゃ物足りなくて
つよいだけでも生きてけない
いつも満たされてたいわけじゃないけど
見たこともないような渇望を知るにはま ....
良いお年を
良いお年を
と言って三日が過ぎた
年はただ
明けただけでめでたく
かたちだけでも年賀状では
皆笑顔だから
本気の諍いは
まだまだ
先の話だ
しかし
軒先には
....
ある晴れたなつかしい夕焼けが染める公園の大きく枝を広げた、10mはあろうかと思える木の下のベンチに老人は腰かけ、手には赤色の、カバーの取れたむき出しの本を一冊。
背を丸めて、まるで自分の視線で、本の ....
Kくんの家はぼくの家のとなりです
Kくんとぼくはいつもいっしょに遊びます
ゲームをしました
その前の日は漫画をよみました
そのさらに前の日はやっぱりゲームをしました
ぼくもKくんも漫画が好き ....
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
久しぶりに三人で手を繋ぐ
いつもより寒い冬
汗をかいた小さな掌は
どことなく妻に似ていた
歳を聞けば指で
三本や五本を出していたのに
今では両手の指すべてを使わなければならない ....
あいつはロックスターだから
廊下を全力疾走するんだ
あいつはロックスターだから
教科書なんかビリビリなんだ
みんなあいつのショーがたのしみ
すきなんだ 愛しているんだ
あいつは憧れ ....
十一月十五日
俺はあの女が嫌いだった
あの女も俺が嫌いだった
あの女は俺のダチが愛した奴だった
【手向け】−11.15 骨−
ダチが死んだ
唖然とした
....
おおきな雲とか
もっとおおきな空とか
数え切れない窓の灯りとか
やみそうにない車の流れとか
虫の鳴き声とか
がしゃがしゃいう工場を育ててる人たちとか
そんな夜の中で、うたを歌ってるあたし ....
ただ手を暖めるためだけに
両手を 握られて
この人が救急隊員でなかったら
ありえない事に
じっと まかせた
仕事と言ってしまえば
それまでで
人としての思いやりが仕事
でも
そこ ....
たどり着いた島で
ひと休み
ここも
朝日とともに沈むから
また次の島へ泳ぐ準備だ
大陸まで
あとどのくらい
あと
どのくらい
そもそも
大陸なんてあるのか
そ ....
わたしたちが 生きるために
この土地を耕し 田をつくろう
ここには 水がない
あるのは 乾いた土地だけだ
それならば
水源のある 何処かの谷へ
水をもとめて ゆこう
....
手を
両手を広げ、そらへ
飛ぶように飛ばないように広げ、手を、そらへ
色々と自由になった気がして
交差点を、待つ
輪郭を見ている
箱の世界にいながら
回転を繰り返すのは
いつも ....
話しつかれて
午前二時
もしこの電話をきれば
世界も
終わってしまう
そんな気がして
ふたりは
どこからか
ぶあつい
電話帳をもってきて
ただ電話番号を
読み合うんだ ....
終わりがくるよ と
毎日まいにち大騒ぎ
でも 終わったとたん
すぐに次がはじまるのでしょう
大騒ぎの後片付けを
どこから手をつけたものかと
ただ おろおろと
立ちすくんでいるうちに
....
昼休み 校庭の隅のひょうたん型の砂場で
下級生の少年たちが
そこらじゅうの砂を集め 水をかけ
両手で叩いて固め 砂を積み
また砂を集め 水をかける
そうして
背丈ほどの 山ができた
....
目の前に数時間前からころがっている
赤いヘッドフォンがある。ちいさなヘッドフォン。
僕は見るともなく、それを見ている。実は
見ていないふりをして、実は、そればっかり、気になってしょうがない。
....
朝が来て 始まった
時の流れに乗っかった
あぁ 寂しい
あぁ 気持ちいい
あぁ うるせぇ
あぁ つまらねぇ
あぁ くだらねぇ
日が暮れたら起こせ
それまで眠るから
おまえら ....
ぼくらはみな、生まれつき、
魔法をかけられているんだ。
その証拠に。
背がのびる。
歩けるようになる。
ことばをおぼえる。
好きな歌ができる。
好きな人ができる。
だれにそ ....
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