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疲れいて午睡の妻の日焼けせし肌は日頃の伝道奉仕の
我妻よただ我妻よただ一人吾と共ゆき果つるまでもと
神に在り共に誓いて三十三年忘るまじその聖なる誓い
汗をして坂道登り妻と共伝道奉仕の文月に入りぬ
電気店扇風機をあれこれと昔に比べずいぶん安い
紫陽花の水無月去りて妻の庭夏の草花春に敵わぬ
涙なみだ花のつぼみを押し抱きながれるままの失語の春の
ほしいまま虚空をすべる鳥にこそつばさに適う言葉も持たず
指さきを染める苺のいじらしさキスするほどのかわいい夢を
見残 ....
手を伸ばす {ルビ片栗粉五〇〇=かたくり五〇〇} 大袋 初の感触 ぐずりもおさまる
{引用=
先日の買い物の帰り道、歩いていた息子がぐずって、立ち止まってしまった。
なにか気を引 ....
{引用=
朝露が、透明に落ちて、
ガラス玉、
ふりそそぐ、すべてのことに、
驚かないで
あの高台にたたずんで、
きみが眺めていたものがなんだったか、
それをたしかめるため ....
雲もなく太陽はえて春空に八幡掘に妻と来てみた
春の陽の温き陽だまり水流れ妻は心に何思うかな
陽は陰りふと歌詠わんと万葉の歌集をとじてペンを持ちけり
白き根に緑濃き葉の伸びし草水辺に在 ....
咲き出でて心が弾むとりどりの色なして群るる妻の花壇よ
青空に風と雲との姿見て今日は一日幸せになれ
老いてゆく心の中に歌集あり神と歌とのかかわり探れば
二千円懐中に在り今日は俺心の中に明かりともりて
聖書の行弾みて口ゆ出でゆきて楽しき朝のわが心かも
冬の窓押し開けとおく空を見る瞳をのぞく異端者のごと
言葉いまだ伝えきれずくちびるを噛む、ただ強く血が通うよう
口寄せてささやく夢よ火と燃えてこころに満ちる雪は今しも
いた ....
讃美歌を謳い終えたり今日は晴れ陽だまりに75歳春
人類の悩みを思い心が痛む神に希望をしかと置くわれ
スコップをせっせと動かし庭造り妻の背中に春の温き日
眠き眼に午後の奉仕はやや辛しこ ....
春くれば妻といでゆき新緑の野に憩うらむその新しき世
えざし甚句の勢いに若い自分に返りおりふとつまおもう
妻と共指のふれあうひと時もいつも変らぬわれらが夫婦
魂も 涙と一緒に溢れ出て ワタシが消えてしまえばいいのに
歴代の別れの傷が開ききる 最後の恋が散ったサヨナラ
胸刺して ココロが消えるわけじゃない
えぐり取っても 残る哀しみ
....
君恋し
思い煩い
一片の
たゆたう心
弄んでる
僕はまだひとりぼっちを探してる夕暮れ帰る道の途中で
一番星ジャングルジムのてっぺんで見上げた空はなんて大きい
懐かしいあの日のメロディくちずさむ二人の影が夕日に揺れて
黄昏はいつでも ....
箸置きに次元をかえて架ける橋 転がる二本の非常階段
きみの手のあやとりの糸たぐり寄せ真水に飛び込む指を絡めて
爪先もまなこも縦に尖らせて剥がす鍵盤しろいとこから
....
こんなにも多量の糞が出るのなら
俺は当分死にそうにない
食当たり何を食っても粘土味
油あげ一枚で死ぬかと思った
自転車のオカンがスロープ落ちてきて
駐輪場で死ぬかと思った
....
よろこびに
満ち溢れるときは
いつも独りじゃない
人脈をつくっておけば
いいのかな
独り長いと病んじゃうね
生き方に
言い訳せずに
ひたすらに走っていたら
独り転びて ....
白雪に赤い水飴垂らす頃 あの子は少女と呼ばれていたか
目の前を振り子がとおる 催眠を 迂闊に噛んではいけない指が
灰皿の上に広がる砂景色 嬉しかったね、呼吸すること ....
九時前に坂本を出発曇りいて肌寒し厚着しており
年末の風さえ吹かぬ午後の道一つ越え京都へ行かむ
空腹を覚えつ辺りうかかがいて店などさがし並木道ゆく
曇り空車は多しわが心中これからのこと ....
はこがまえ 挙動ふしんの空白は ふれない頬とほほの衝突
金よう日、ラジウムみたいに放射して裸子植物を食む子にもどる
黒鍵を人差し指と薬指で押さえたらいちめん緑
点描の夢を ....
修繕済み絵本びりびり笑う子に 「無理ね、ばいばい」途端に泣き出す
前年度 コピーして出す 指導案
いいかげんさを 露呈する君
子どもらは 同じことして 繰り返す
本番とちる 教師ガッカリ
見学者 発表者とも 場しのぎで
役割分担 上手すぎるだろ
....
ぽつぽつと 肌荒れ 卵アレルギー 一進一退 希望は捨てない
二人して酒を酌みかい見合わせて独酌相哀れむという
琴の音の行きかう部屋に酒吟して黒田節吹く尺八の音
今日は雨雨の朝なり一人いて古事書記を読む朝湯上り
小谷城訪問の旅
そよ風の朝の坂本後にして白き雲ある道走りゆく
青い空身を清くしていそしみし神の道にも希望をこめて
かすむ山湖の彼方にひろごりて藍色の水うみを望むよ
青き空そよ風 ....
日光がじりじり焦がすグラウンド あの夏の日がよみがえる熱
突然の訣別の日は当然で 気化して消えた二人の熱さ
いつだって {ルビ別離=わかれ}た後に 視る夢は
遠すぎる過去 触れぬ思い出
思い出の 箱に封じた ただひとつ
「言えばよかった 声の限りに」
泣きながら便所駆け来る男子いて一枚へだてその嗚咽聞く
歳だけは取りたくないが口癖の老婆の霊が座る終電
急死した男の棺運ばれるテニスコートの脇の葬儀所
河口まで入道雲を追いかけた「イエ ....
歌詠もう晩夏の午後の家々は訪ね回るも留守がちにして
空き部屋がほとんどなのにただ一つ人が住んでて福音伝う
一時間妻と働き汗流しベランダにいて共にくつろぐ
コーヒーの苦い味わい楽しめば ....
なきながら翼広げる影のあり雲間にもえる鳥のまぼろし
胸破り飛ぼうとするか呼子鳥光を背負いこだま待つ空
その薔薇を朱に染め抜いてわが小鳥囀る歌よ棘も忘れて
夏至の夜火を飼い ....
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