平日の遊園地は
あなたの名前なのに
石鹸の金魚は泡になった
トウキビのような匂い
私小説ばかり書いている友人が
家に遊びに来たことがある
余白はどうしているのか聞くと
その問 ....
夢の
蝶が飛ぶ
ひらひらと風に揺られて
悲しいことを
忘れる鱗粉を撒く
夢の蝶が飛ぶ
ふわりひわりと
懐かしいあのひとの
笑顔を思い出す
ひかりの中で
わたしたちは
踊ってる ....
午前4時215分かえるに混ざって
スズメの声を確かに聞いた
隣家のだえかは壁を蹴ったか
3分後には車の音も
走り去った
誰を何を載せて
さよならよりも永遠の 気が ....
長電話暇人ふたり秋うらら
秋暑しショートカットの擦れ違ふ
花の色うすむらさきよ枸杞の実の
秋涼や居心地のよき風の中
責任取ってくれる~?
と聞かれてあまり意味が分からなく
あ、これはプロポーズだったのだと
しかし性交渉があったわけでもない
僕はとんちんかんな答えをした
己の人生の責任を取るのは己だ ....
Aさんは
ぼくよりいくつか歳上の事務員さん。
あれもこれも
うまくできないこのポンコツを、
見放さないでいてくれる。
「こうした方がいいですよ」と、
さりげなくアドバイスをくれる。 ....
山菜採りに出かけた人が
自称詩人に襲われるという事件が
多発している
自称詩人に襲われた人は
みんな両手両足を縛られた状態で
一昼夜自作の自称詩を
耳元で聴かせ続けられるため
精神がおか ....
恋芽生えても花を望むまいほのかな思いのままが身の丈
強がりを組み立て終わり終わらなくても終わったと消したアドレス
昨日見てない虹でした明日もまた見たいものです出さない手紙
その人と交 ....
夜遠く日ぁりばかりを掴む夢見てさめざめと淹れるコーヒー
眠れずに母を忘れるあの赤子握った掌 、舞う明日を知らずに
手を伸ばす届届と明日へと昨日の未練束の間もなく
日の暮れ手空の鈍色 ....
朝、生乾きの道路に
落ちていた煙草の吸い殻
よくわからない
あまりわかりたくないんだ
餃子だって大皿の上
レモン水の小水
うかうかしていたら
たまらなかった
かたまり魂の薄目をあけてさ ....
朝の空気が変わった
目覚めるとついつい毛布をかぶってしまう
いつの間にこんなに寒くなった
連絡もなしで冷やさないで
太陽の光がすきまから差し込む
葉につた ....
裁判所からの帰り、
そろそろ終わりにしてもいいと言われ、
――
1
雲が浮き上がっていく、氷の映る場所は、どこも陸の孤島で、
階段を上るごとに、足音が暖かく身体を包んでいく、
雪が ....
その先を
私は知らない
すべはなく
ひち用もない
ただ
走るんだ
瞬
だけを視て
白旗を
売りたがる輩が
蔓延っているこの
界隈に
駆け抜けるんだ
舜
だけを見て
....
帰り道
ずっと今日のことを頭に巡らせた
君が差し出した手を
ギュッと握った
君は握ることなく
差し出したまま
思い切り握ってしまったことが
良くなかったのではないかとか
でも手を差し出 ....
身にまとう肉を削ぐのは過去の骨そのしがらみを汚れと呼ぶのか
漆黒の闇の中
彷徨う私の魂
右にふれ
左に戻り
上に上がれば
下がる
止まることはなく
揺れ続ける
息の音だけが
体の中を虚しく
無音に ....
午前5時曇った東の低い空ぼんやり焼ける朱色の遊び
人間になり損なったピノッキオは
流されて海へ出た
潮の流れにぐるぐると頭の向きを変えられ
漂う彼を波が見つけて粉々に打ち砕いた
コ
ナゴ
ナニ ウ ....
*
金魚の色を掬うように、
未来の匂いを言葉で掬う、
ディスプレイには光る女の子が映っている。
彼女が衛星から静かに送られてきたことを、
僕は知っている。
*
孤独な宇宙に、
詩は ....
透明な空気は澄みきり、どこまでも清々に
ぼくの体の中のゴミを洗い流す
落下する水流が演ずる水音に
ぼくの頭の中の垢が細かく砕け散る
水落ちるたびに生まれる泡は跡形もなく消え ....
君はその存在だけで
僕を夢中にさせる
誰もできないことを
ひとりでやってのける
そして破天荒さ
真似したくても無理だ
唯一無二の存在
憧れは止まらない
惹きつけられっぱなし
....
夜空に浮かぶ雲たちが
死者を迎えに来るまえに
相次ぐ孤独をねじ伏せて
秋の月光浴びておく
駆け込む心の川底に
溺れかけてる恋がある
メガネがないからみえないと
あかるい笑顔で ....
余韻の水溶、
不規則な周期で、
ほろほろと何度も崩れかかる、
水面に映りこむ蜃気楼、
そのぼくらの抱擁と微睡みのマーブル模様、
そのきわめて曲線的な光の屈折率に、
目くるめく眩暈が比例して ....
何だったんだろう、あのサービス
というような、サービスサービスぅ
レベル1の勇者に
エクスカリバーを持たせてみたい
僕は善行を積みたかったのだ
罪滅ぼしもかねて
えぇ、どこでキ ....
あたしは泣いて首を吊る覚悟をしたのね
昨日のこと
来る日も来る日もご飯と後は少しだけ
やりくりが下手なんだろう
いつもいつも満たされなくて
生まれて初めてのジャーで炊いて
たま ....
妄想に心踊らせ眠る。
それが僕の日課
踏まれた跡が残る革靴も
ワイシャツの背中についた誰かの口紅も
隣室のカップルが歌う流行歌も
二階のオッサンが吸うタバコの煙も
雨が激しく降 ....
情報の火花を蹴散らして
どっしりとしたペースでやって来る
時代遅れと言われても
どこ吹く風に乗って舞い降りる
季節の挨拶は気取ったものではなく
「今日も暑いね」と軽くひとふで
想う時間 ....
{ルビ臥所=ふしど}の窓に霞む
雷鳴
光もなく
闇もない
くだらない{ルビ土塊=つちくれ}の隙間から
悲劇は生まれ
廻転する天球に連れられ
やがて
全地を覆った
命なんて無いに ....
さて
最後に一つ
なすべきことは
すべてを忘れてゆくことだ
これまであった
かなしいことも苦い思いも
少しずつ手放して
そっと身軽になることだ
よろこびも楽しい思いも
もう十 ....
夜空に雲たちが浮遊していたが
いくつかのそれは白い馬だった
わたしの馬はどれだろう
目を凝らしてみても
それらは似たりよったりで
見分けがつかない
夜に生まれたものたち
東の空に出たばっ ....
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