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この桃も毒はあるのかことば切れぃ
さんざん迷って句集買わずにマフラー見て帰る
泳ぐように雑踏を歩く老婆
目新しさも三度拝むと飽きてくる
歩きながら煙草とか昭和の男だな
新調したダウンコートの出番が無さそうな ....
{ルビ木犀=もくせい}の匂ひ{ルビ幽=ひそ}かや朝の窓
薬湯を{ルビ浴=あ}みて{ルビ無月=むげつ}の夜更くる
日米の笑顔の会談秋ひと日
大丈夫かじぶんに問ふや冬隣
老いてなお棘は鋭き庭の柚子
茹で秋刀魚美味し 備前の皿の肌
くたびれたヒートテックや冬隣
柚子紅茶 新聞ちらしユニクロの
納豆チーズトーストよ かくありき
アンサリーの唄 ....
夜更けて流るる秋の歌沁むる
果樹も木もなべて古りたる秋の庭
間を置いて鈴虫のこゑ草の中
数減りて二人の対面十月会
長電話暇人ふたり秋うらら
秋暑しショートカットの擦れ違ふ
花の色うすむらさきよ枸杞の実の
秋涼や居心地のよき風の中
{引用=糞ありて 四季もまたあり}
菜の花に{ルビ撓垂=しなだ}れ掛る犬の糞
糞踏みて叫ぶ声あり花の陰
この窓へ糞かけたるか{ルビ巣立鳥=すだちどり}
....
雑草の茂るも良しとし秋の庭
月の出を忘るるほどの非日常
しずく垂る紅葉の枝を潜り抜け
虫しぐれ灯りの消えし退去かな