木は生えた 風景の中に
訪れた 公園に 色は
焦げ茶なのだとこの目には見えた その
僕の持つ この 知識によって
そして 今日も生きている肉体で
一本の 立つ 空の下で
今日も 一人 歩い ....
道を間違えて迷い込んだ学生街
近隣でもっともお安かったから入ったのだ
その店の名は「クマリマー」
大きな窓辺にガネーシャが並ぶ
とてもすいているカレー屋さんだ
最近の学生は裕福なのだろうか( ....
そらの水槽を
ゆっくりと魚たちが滑空してゆく
僕たちの教室は
まるでへばりついた岩影みたい
どこにも行けない窮屈さで
ぶつかり合う金魚たち
尾鰭や背鰭がひらひら
揺れ惑う
こころだけ狂 ....
自分の弱さを隠したくない夜がある
誰かのせいにして誰かを求めている
そうやって明日のパズルを組み立てながら
崩れそうな不安を積み上げている
ガードレール越しで携帯を覗く子
....
やさしい詩を
夜に編みたい
たとえば
晩ごはんのポトフが
美味しくできて
舌を火傷したこと
たとえば
昨日は晴れてたのに
朝、洗濯をし忘れて
また晴れの日を待っていること
たと ....
夕立
つるべはしぐれ
指先
防風、防水、防寒手袋
きみが忘れた公園も
ひぐれも時間も半袖も
スニーカーだけ走り出して
追いつけなくなる
撤去された
ジャングルジムと砂場
....
神様がくれた超能力の使い方
誰も教えてくれないから
自分でいろいろ試してみた
一番簡単だったのが
テレパシーだったから
おどろかそうと思って
ちょっと使ってみた
君に伝われ伝われ
....
初めて触れた
それだけでわかった
無垢なところ
君は特別
光を宿してる
その笑顔を
生み出したとき
瞬いて
泣き出したとき
きらり流れたよ
君から受け取ったもの
たくさん
....
釣鐘草の咲く
月面に
あなたの遺した手紙の
波紋が浮かぶ
月から見た空の色を
青だと言って
あなたは眠り
地球の言葉の寝言を呟く
夢から覚めた後
オレンジジュースを飲んで
食パンを ....
平日の遊園地は
あなたの名前なのに
石鹸の金魚は泡になった
トウキビのような匂い
私小説ばかり書いている友人が
家に遊びに来たことがある
余白はどうしているのか聞くと
その問 ....
夢の
蝶が飛ぶ
ひらひらと風に揺られて
悲しいことを
忘れる鱗粉を撒く
夢の蝶が飛ぶ
ふわりひわりと
懐かしいあのひとの
笑顔を思い出す
ひかりの中で
わたしたちは
踊ってる ....
午前4時215分かえるに混ざって
スズメの声を確かに聞いた
隣家のだえかは壁を蹴ったか
3分後には車の音も
走り去った
誰を何を載せて
さよならよりも永遠の 気が ....
長電話暇人ふたり秋うらら
秋暑しショートカットの擦れ違ふ
花の色うすむらさきよ枸杞の実の
秋涼や居心地のよき風の中
責任取ってくれる~?
と聞かれてあまり意味が分からなく
あ、これはプロポーズだったのだと
しかし性交渉があったわけでもない
僕はとんちんかんな答えをした
己の人生の責任を取るのは己だ ....
Aさんは
ぼくよりいくつか歳上の事務員さん。
あれもこれも
うまくできないこのポンコツを、
見放さないでいてくれる。
「こうした方がいいですよ」と、
さりげなくアドバイスをくれる。 ....
山菜採りに出かけた人が
自称詩人に襲われるという事件が
多発している
自称詩人に襲われた人は
みんな両手両足を縛られた状態で
一昼夜自作の自称詩を
耳元で聴かせ続けられるため
精神がおか ....
恋芽生えても花を望むまいほのかな思いのままが身の丈
強がりを組み立て終わり終わらなくても終わったと消したアドレス
昨日見てない虹でした明日もまた見たいものです出さない手紙
その人と交 ....
夜遠く日ぁりばかりを掴む夢見てさめざめと淹れるコーヒー
眠れずに母を忘れるあの赤子握った掌 、舞う明日を知らずに
手を伸ばす届届と明日へと昨日の未練束の間もなく
日の暮れ手空の鈍色 ....
白風や水垢落とす台所
秋風よ猫ならば目を細めるよ
朝、生乾きの道路に
落ちていた煙草の吸い殻
よくわからない
あまりわかりたくないんだ
餃子だって大皿の上
レモン水の小水
うかうかしていたら
たまらなかった
かたまり魂の薄目をあけてさ ....
最近は小説を書く事から大分遠ざかっていた。今日、私は秋の気持ちの良い陽射しの中を、近傍のショッピングモールまで書店目当てに出掛けた。先日、通っていたB型作業所を退めたので、私は毎日を特にやる事も無く、 ....
朝の空気が変わった
目覚めるとついつい毛布をかぶってしまう
いつの間にこんなに寒くなった
連絡もなしで冷やさないで
太陽の光がすきまから差し込む
葉につた ....
裁判所からの帰り、
そろそろ終わりにしてもいいと言われ、
――
1
雲が浮き上がっていく、氷の映る場所は、どこも陸の孤島で、
階段を上るごとに、足音が暖かく身体を包んでいく、
雪が ....
その先を
私は知らない
すべはなく
ひち用もない
ただ
走るんだ
瞬
だけを視て
白旗を
売りたがる輩が
蔓延っているこの
界隈に
駆け抜けるんだ
舜
だけを見て
....
部屋にひとり真夏越しの麦茶淹る
帰り道
ずっと今日のことを頭に巡らせた
君が差し出した手を
ギュッと握った
君は握ることなく
差し出したまま
思い切り握ってしまったことが
良くなかったのではないかとか
でも手を差し出 ....
身にまとう肉を削ぐのは過去の骨そのしがらみを汚れと呼ぶのか
漆黒の闇の中
彷徨う私の魂
右にふれ
左に戻り
上に上がれば
下がる
止まることはなく
揺れ続ける
息の音だけが
体の中を虚しく
無音に ....
寝て起きて新米じゃない飯炊いて
午前5時曇った東の低い空ぼんやり焼ける朱色の遊び
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