遠い友達が
泉に雪が降ったら教えてください
というので教えてやることにした
だが雪は降らないよ
当分
降っても泉には
積もらない
たぶん
間近に迫る山の頂が
雪を冠った
晴れた ....
空を何かに例えなさい
薄いノートに綴りなさい
たとえばひどく年老いて
頼りない犬のような
寂れた町のおじさんの
何もない後ろ姿のような
空
空がゴロゴロなっている
雪迎えの ....
おとぎ話の中の国は もう
わたしのことをおぼえてゐません
キセルをくはへたお爺さんは もう
わたしのことをおぼえてゐません
アコーディオンをかかへた青年と
まきばで働 ....
こうした方がいい
こうするべきだ
こうしなければならない
そんなような、根拠のない、納得できない 規則やしきたり そういった類のものを
愛想笑いしながら ....
大型の豪華客船に乗る
夢を見ることが多い
世界一周の旅
夢ではいつも同じ豪華客船
毎回寄港先は変わっている
その国その国の良いところ
気候や雰囲気に触れて体が喜ぶ
豪華客船は ....
いったい自分が誰なのか
何者なのかさえ
解らなくなるまで忘れた去った覚えはない
母親に罵声を浴びせた記憶はこびりついて剥がれてくれないけれど
あれば反抗期には誰でも沸き上がるに違いない
....
街は彩られた光の速さで進みます
だれとも約束なくひとり
吹かれる風も音を立てて
顔や首筋に噛みつきにきます
心にある
瓶の蓋を閉じてみま ....
黙りこくって下ばかりみて 歩いていたら
花が咲いていた 枯れ葉が落ちていた 色とにおいと
たまに ぽかあんと 空をみあげると
ひろくって 青くって ちょっと吸い込まれてしまいそうで
....
昼も夜も、夜も昼も、サバンナで走り回ったのははるか昔だ。
誰よりも早く駆け、獰猛で、向かって何でもかんでも噛み付いた。
誰も逆らわず、有頂天で、自分勝手だった。
歳月が経ち、一本、また一本と ....
大きな泉でも皆が醜く争えば
小さな泉でも皆で仲良く分け合えば
たとえ泉を作りだすことができなくても
後ろの方で述べたことは自分次第で変えられる -と ....
女の人には閉経があるのに
男にはそれに相当するものがなんでないんだ
女の人は閉経によって妊娠と月経から解放されるようだけど
男は生殖からけして解放されないって訳かよ
ある意味公平じゃないん ....
思いめぐらす ラブレター
通学途中 カドの文房具店
初めて便箋に手を伸ばす
心の中はパズル模様
白い紙に縦罫線だけのもの
パズルを解き明かし
罫線 ....
スポーツで一人の勝者が嬉しそうです
発明した一人の人間が嬉しそうです
空前の高収益を上げた一人の起業家が嬉しそうです。
そんなもん もうやめようや 真面 ....
ピアノは宇宙から降りてきた
そのピアノではなく
ピアノは宇宙から降りてきた
人と同じように音色を通わせて生きている
宇宙まるごとの芸術を
人と同じように佇んだり挑んで生きている
....
現実を直視できない眼は
はるか彼方遠い空を見ていた
現実から逃げたい自分がそこにはいた
夢のような物語りばかり思い巡らして
えがこうとする絵図
だけど
画用紙は破れて
色の欠けている ....
とっくに賞味期限がきれています
それでも、よかったらお召し上がりください
味はそれなりについてますから
何も足さず引くこともありません
どうぞイヤらしい眼で見てください
ご遠慮なく見 ....
青い雨が
灰色の空から降り落ちる
夢の中
白百合の頭部が
ポツリと
落ちる
小さな三角形の帆を張った胸が
なみだの波紋で揺れている
だれにもしあわせを
届けてあげられないので
....
あれだけのことしといてよく普通にしてられるよな、恥ずかしくないのかね
などという文言を見たので
ちょうどいいカウンターとしてここに反感を書く
ブラザー、僕がどれだけのことをしたっていうんだい ....
思い出すのはうれしかった出来事ばかり。
九九を全部言えることが出来てほめられた日
すき焼きを食べて「おいしいね。」と笑いあった寒い日
試験に合格をして「おめでとう。」と言われた日
初めての ....
夢の蝶、舞う
遠去かる
宇宙の縁に触れ 燃えあがり
忽然と消え また現れ
あらゆる現の美をよろめかせ
その軌跡のおぼろな輪郭を
響かせて 響かせて
理想について語る言葉は
富士山の写真や絵のようなものなのかなぁ
最近では、それが特別新しいものは何もないつまらないものに思えるのかなぁ
富士と様々なものの取り合わせは絶 ....
あの日
骨ごと断つ勢いで斬りつけた左手首に
病院のベッドの上であなたは
切り取った雲一つない青空を
私の傷口に深く埋めてくれた
重い曇天に覆われてる毎日の
奇跡的に雲が途切れた瞬間の
....
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく
やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら
降りていく
宇宙の底 ....
金砂銀砂の歌の粉が
この部屋の
温もりのなかを踊り舞う
聴きたい人々には、聴こえるだろう
闘いを放棄したため
笑顔を痙攣 ....
長い年月の間にすっかり干上がってしまった井戸からは、水は匂いさえしなくなっていた。
地下水に頼る生活はもうできない。水を汲み上げる手動ポンプは役に立たなくなってしまった。
やむを得ず家に自治体 ....
; ; ; ; ; ; ; ; ; ‘‘’‘’・; ふ
喉を開け
黒子が位置を変えて号泣する
号泣は、今朝のにわか雨
鼻の奥、ずっ ずっ どっ ずっ
生の痛感、性の洗浄
....
あふれ出る
光の速さで楽園を
堕ちて、あなたの、胸に飛び込む
じぶんさえ
反射させてた大嘘に
痛々しくて涙をこらえた
どれでもいい
拙い愛でも泣き笑いでも
....
人に言えない病を抱え
ぐっと歯を食いしばる
漢方薬は美味しい訳も
当然ない、当然ないにも関わらず
幸福感で満たされた
白昼夢のあなたのように
嘘をついていくのです
あれからいくらか時 ....
真昼の月の下を揺蕩う時
水平線に愛は溺れていく
電子回路による観測情報は
役に立たない事後報告
追いかけているのか、追われているのか
いずれにせよ
その柔肌に触れた、あの感触を ....
釣り合った天秤のように厳正
呼吸の仕方を忘れてしまいそうであっても
不意に竜巻の怪盗が訪れようとも
プラネタリウムは終わらない
ここで百年、待っていようとも
追憶はあいも変わらず ....
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