すべてのおすすめ
白壁に囲まれた部屋に
ゴオォと響き続ける音、
独り存ることの恐怖を
予感のうちに告知する
混沌蠢く夜闇の奥、
次第に姿を現し
魂に帰依することを
唯一の寄す処として
私は静かに目を瞑る ....
心、泳いでいる
風が吹いている
いたわりはことばじゃないって
心あたたまる暗示をもらったのは
悪意すべてを認めて受けて立つ
鎧のあいつから
心、泳いでいる
泥まみれの ....
あれはエロスだった
たしかに
燃える炎だった
本能が抉り出され
狂気と悪魔の虜になり
魂を食い尽くされそうになり
眠ることを忘れた
綺麗で 魅力的で
そして
やがて食べつ ....
清秋
空清しとは季語のみで
ここ数年は
雨や風の災いに心痛めたり
意味のない達弁に
うつむいてしまいたくなる
そんなことが多い
それでも
ほんとの清秋が突然にやってくると
....
父と焚火をした
何気ない会話なのに
心にグッとくるものがある
燃え盛る炎を見つめて
静かになっていく心
寒さを忘れさせる
焚火をしている周りだけ
暑いぐらい温かい
父の思い ....
立っている
緑の丘陵の木の下に
落ちた葉っぱが風に舞う
どこからか聴こえてくる
ギターの練習のメロディー
ほんのすこしだけ
オレンジの香りがする
どの山から舞い降りてきた ....
おくびょうなこころ
ふるえる
ふるえる
いたみとかなしみ
つくろえない
とりつくろえば
道化師のようで
なぜかかなしい
わたしの居場所はない
おそろしくて
はずかしくて ....
すべて消えてなくなればいい
想いも 愛も
淋しさも悲しみも
ここにいたという軌跡さえ
波にさらわれてしまえばいい
a dream
誰にも知られずに
消えて行く私の言葉たち
....
一人の女の人のお腹の中に10ヶ月と余りを滞在した
そこから出るまでの間に
私は
何度蹴っただろう
彼女のお腹を
胎児の足で
宿借りの分際で
でも
私が蹴る度に
彼女は自分のお ....
ああ風が吹く と
風を浴びる名無し人は
気流の鳴る音を聴きながら
ひたすら途方に暮れて
ああ風が吹く と
あおい夜だと
常套句からはじまり
永遠の秋だと
月並みな言葉を放ち
考えた末に
寝転んで昼寝をした
いちごジャムのびんに
あおい草を生ける
涙がこぼれそう でも
こぼれないで そうやって
過去に慣れていく
喜びもない
平安もない
愛もない
ただただ途方に暮れている
人は道徳や戒律では救われない
清く自分を律しても
それでは救われない
人は死ぬまで罪を犯す
罪人だから罪を犯す
....
誰も寝ていない寝台の上に
まだ戒名の付いてない
母の骨箱を座らせる
ダウンロードしておいた
浪曲を流す
追い追いと涙が溢れる
こころに穴がある
その穴を覗くと君が見える
かわりにその穴を塞ぐ人はない
それが夫婦というものかもしれない
『大嫌い」だって
言ったって
言葉だけだろ
わかんない?
嘘つかれてもわからないのは
けっこう真面目に好きだからかも?
ただ純粋にまっすぐに
歩けるわけなどないからね
帽子のツ ....
秋が来て
少し硬くなった
夜と言う果実
その表皮を
ゆっくり
ゆっくりと
冷えたナイフが
削り取っています
水のような風が
ダイアモンドの粒を
吹き上げながら
刃先へと運 ....
宇宙の冷たい感触が 朦朧とした頭に響く
世界の一様な無表情が 奥まる意識を取り巻く
(フォークとナイフがぶつかる音、砕けるグラス)
世界は今日終わるかもしれず
それなのに宇宙は爆発と沈黙を貫く ....
ハロウィンに、
魔女の眼をして貴女に逢うわ、
貴女に逢うため空を飛ぶ。
山の貴女のそばがいい、
さいわいあれから一年経つし、
山の貴女に逢いたいな、
さいわい今日は晴れてる ....
ささやくように
話しかけてくる
冬の足音
秋の終楽章の
フィナーレは
もう間近
木枯らしのような
冷たい風が
吹き抜け
舞い落ちた枯葉 ....
その頃
私は手紙に執着していた
記憶の引き出しにしまってある
その頃という一定の期間には
時間の埃がそれなりに積もっていた
ある日
何となく引き出しの奥から探し出して
太陽の光に ....
毎日見ている通りの街並み
その変化に気づいていない
今の景色を目蓋のシャッターで留め置いて
昔の景色を見るチャンスがあったら気づく
こんなに変化しているのに
....
ひんがしのくにのね 群らない夜は
だれもか大勢の中で たったひとり
回遊魚のように 周回する深夜バス
満員なのに みんな たったひとりきり
だれもが どろりととけた目をして
混雑した車内 ....
水を
飲み干す
と
きれいに
戻れるの
過去は
穢されて
きれいは
きえはてて
水を
飲み干す
と
涙も
流れるの
過去の
ゆるせない
じぶんも ....
言葉が見当たりません
気分も沈みっぱなしで
なにを綴ったら良いか
ただもう独りでいたい
さみしいし
変わり者になってしまいますが
そう決めました
ここまで生きてきたのだから
あとは ....
ふねのかたちをした
古い水族館で
ため息が水槽を
曇らせるのを
みたわ
長い魚、丸い魚、群れる魚、ぼっちの魚、
人が知ってる
ありとあらゆる
地球の魚が
目を丸くして
泳い ....
着衣のマハ、裸のマハを描いたゴヤに
魅了されて牢固(ろうこ)ちゃんは
うちで戦っている
引退宣言もあまり伝わって居ないようで
性懲りもなく再び詩作を始めるが
連絡帳には「ガーデン」の単語が
....
お気に入りの場所バラ園
何十種類もあり
魅力的な香りに酔いしれる
広いバラ園は長くこの場所にある
カフェなどもありちょっとした観光地
若者たちよりも
初老の夫婦をよく見かける
バ ....
母の手は魔法使いのように
何でもできた
欲しいものを
何でも作ってくれた
「母の手の中の林檎が
うさぎになってゆく」
いつも傍で見ていた
幼いわたしを思い出した、朝
梅雨を短くしたような
秋の始めの頃
秋雨前線がしつこく居座り
今年は雨が長く続く
今日もまた降りそう
梅雨を思い出す
湿気が多く過ごしにくい
ぼんやり窓の外を見て
晴れをイ ....
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