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決して建て終わることのない塔がある
光をまったく反射しないその塔は黒い輪郭に
太古の文様を刻んでいる
日の光のもと
それは実体のない白い影となって横たわり
存在を忘れさせる ....
疲れがたまってくると
虚しい夢が多くなる
また一つ 生まれては
滅んでゆく世界
砂の城に波が打ち寄せるように
香のけむりが描ききれなかっ ....
ほの甘い色の胞子が降りしきる午後
小さな昏い紫の遊星の影が
君の瞼をよぎってゆくのを見る
チェス盤のうえ
気まぐれに並べられた駒たちのあいだを
七角形の記憶がすり抜けるように踊っている
....
其の人は南洋にゐた事があつて
だから私は其の人を思ふ時
まづは珊瑚礁の島々と
南の海とを腦裏に描いてみる
南洋の風物は鮮やかで
翡翠の海に{ルビ屹度=きっと}
色とりどりの ....
花が居て
狂いたい
と言った
なにもしてやれないので
川にうつる枝のなかに立ち
はらわたの森をひらき
ここにお入り
と 言った
蝶が来て
狂いたい
と言 ....
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