地下鉄の吊革に左手をかけて
全てをあずけていた
座席の学生服の三人組が目を泳がせていた
真ん中が左斜め前の女を指さす
「これ?!」
右の学生がコントのように真ん中の頭を手の平ではたく
「声 ....
夜中、目がさめて階下に降りると
君が僕を積み上げていた
たどたどしい手つきで慎重に積み上げ
途中で崩れると
ふうとため息をついてまたやり直す
時々どこか気に入らないようで
何か ....
キスのやり方なんて忘れてた
なのに君は僕の気持ちも聞かずに
その潤んだ瞳で見つめて
何の前置きもなく小さな唇を
その潤んだ瞳を閉じることなく
ためらいもせずに何度も
そういう僕も目 ....
薄くなってきたと言われないよう葉っぱを増やす
本気で光合成にチャレンジする
見つめられても赤くならない
暖かくなるまで耐える
3センチくらい伸びる
病気を治す
仲間 ....
目を閉じると浮かんでくる
風景
が
なんだか
とても
イヤで
イヤでたまらなくて
僕は部屋を飛び出した
目を閉じて見えるものは
そこにはなく
あるのは
ただの星
と
いく ....
人はみな
いい人なのに
どうしてか
集まると
悪くなってしまうことがある
願わくば
世の中の人々に
月がいつでもあるように
優しさが
いつでもあるように
「 」が欲しい
「 」がすべてだ
あぁ 僕には
「 」が足りない
もっともっと
「 」で埋め尽くされたい
でも
「 」って何だろう
しばらく考えて
....
体中の細胞がいっぺんにしゃべりだしたら
そんな素晴らしい詩はない
分裂を繰り返しながら受け継がれるのは僕だ
どこかで乾燥して剥がれ落ちるのも僕だ
みんなも感じているのだろうか
恐 ....
ああ
かみさまはいるのだ、と
思った
そんな夜の話をしてあげる
雲をつんざく、青
無尽に動く、光
まっすぐ、
ひたすらまっすぐな、光
それから逃れるため
走った
(まっすぐ ....
雪の平原は
降りやまない
白い世界が
まなさきに広がっている
ほっぺはりんご
たったか たったか
かけだしていく
あなたのもとへ
たったか たったか
かけだしていく
空が剥がれ落ちていた
無音を描きながら
時間を奏でながら
空たちはみな地に落ちて
染み込んで消えた
あっさりと自由に
せめて僕は
空 ....
脱ぎっぱなしの服とか
飲みかけのコーヒーとか
何も入ってないバッグとか
あけたばっかりのジャックダニエルとか
君のものを全部
全部
箱につめて
新しい家に送ろう
聞いたことの無 ....
もう今年も終わろうとする日に
めずらしく大粒の雪が降るなんて
もう薄っすらと雪化粧をはじめてる
ぺたぺた点描画
世界を白く塗りつぶします
そう言えば今年も大変だったな
この ....
カーテンの折り目に隠れたら
誰も見つけてくれません
折り目は深く、その影は僕より濃いからです
ですから僕はカーテンに巻かれて
人型の布になりました
顔や手足を描けば、それは僕なの ....
みんないろんなものを抱えているけど
みんないろんなものに縛られているけど
そんなもの100ピースくらいに切り刻んじゃってさ
たまには裸になっちゃってさ
単純に笑いながらさ
君の凹に僕の凸をは ....
痒い
と気がついた時にはもう
君の影も形も見つからなくて
胸に赤くて丸い穴ができていた
血と共に全てを吸い取られ
僕に残ったものは
涙だけ
ぼくはマジメだと
云われることがある
たぶん、そうではないと云いたいし
否ありがたいなんて
ゆってくれる人の手を握りたいのだが
たぶん僕は何度も嘘吐きなので、実績はものをいうもので、
....
星に願いを載せようと
夜空を見上げ
待ち続ける
流れて
消えたものは
ね マナちゃん 今日はいっぱいおひさまがいるよ
母はわたしの名前を間違えたのだ 公然と 間違えたんだ
肩を抱くと 猫と同じにおい がする
今日の朝ごはんは 半分くらい食べたんだよ
....
君は
いつも遠くを見つめてる
澄んだ泉のような深い瞳で
素直で優しい君は
いつも私を支えていてくれた
そんな君をいつまでも忘れない
いつまでも少女のままで
いれますか?
いつまでも少年のままで
いれますか?
名を呼ぶだけで心が痛くなる人が
いますか?
一度降りたら乗り込めない通勤快速
今日も僕は力負けしてドアの外
入口付近の乗客が寂しげにたたずむ僕を見送ってくれる
さようならみなさん
僕は今日も迷宮を歩きます
そうなんです ....
暗い窓に写る
愛しいあなたの面影を
俺の中に沈めて
一人の夜の
あなたのいない寂しさを
俺の中に沈めて
ただ
当たり前のように
夜は更ける
....
一人きり
待っている間の孤独を埋める
一人きり
世界の果てに来た気分で歌う
一人きり
これは嘘ではない
誰もが独り
それは嘘
誰も独りなんかじゃない
私以外は。 ....
人生の縮図を一枚の写真に托そうと
カメラを持ち出した午後
通い慣れた公園の道を黙々と歩いてゆく
木陰をなぞるようにしながら
景色に目を奪われることもなく
いつしか長い上り坂の入 ....
定期券が消えた
ある日こつ然と定期入れから消えた
懐かしい色の子供たちが
僕の知らない歌を歌いながら
道の一箇所に立っている
煙草を吸う
定期券が消えた
煙草を吸う
空も飛べそうな気分なのに
なかなか自由は味わえない
いつまでたっても
君につながれたまま
見えない糸でくるくると
僕はただ
落とさないでと祈るばかり
噛むよ、噛むよ
あかい風船をかかげて犬と私はでんしんばしらの横につったっていたんだ
そおっとしておいたら、シュークリームはしぼんでしまった
中のカスタードクリームは、実は出来損ないだ ....
私の父はある日
「お前の頭は大丈夫か?」と言いました。
私は
「別に普通だよ」と返しました。
詩に埋もれて生きている私を、父は心配してくれているのです。
私だってたまに自分がキチガイ ....
君色に染まりたくて
カメレオンになったのに
とんだ予想違い
そこかしこの風景に同化して
君はちっとも見つけてくれない
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