ほらまた
溶けた
僕は君に対して
どぅやら融点が低いと思われる
触られるだけで
其処から溶け出していきそうな錯覚
笑った顔を見る度
中から溶けていきそうな錯覚
....
読み止しの本のページに蒼といふ字をころがせば梅雨の来たりぬ
カフェで待つ我を嘲笑いしストリートただいたづらに人の行き交ふ
雨音がやけに心に響く夜 広すぎる部屋頼りなき我
泣かぬ空みあ ....
まだ冬になる前だったと思うけれども
とても寒い日の朝に彼女は二度目の自殺を図った
幸いにして命は取り留めたが彼女の心は治らなかった
けれど少しふっきれたような彼女に
「大丈夫みたいだね」と ....
四人家族の
四角いテーブルには
それぞれの席がきめられていたけれど
うまることはほとんどなかった
今はもう
四角いテーブルもなくて
かわりに置かれた
まるいテーブルの端っこで
食べ ....
背負うものが
不確かなものなら
その重さは
自分で決めていいらしい
あすとらっど じるべると
あなたを あいしています と
うたっている
わたしの こらそん と
うたっている
たんなる ひとりの
あすとらっど じるべると が
....
はじっこに
水が
たぷたぷと
押し寄せる
はじっこに
水が満ちたら
翼が生え
て
と ん で い こ う
おおぞらへ?
いいえ
うみのそこ
まだ、行ったことがな ....
あなたの胸で
私の名前が
今にも
消えそうだったから
蛍光ペンで
名前の上に
きゅっと明るい朱を入れた
それも
いつかは消えるから
名前の回りをぐるぐると
ボールペンで囲ん ....
世界は消えた。
今は、僕と言う個人が個人としてのアイデンティティとやらを活用し生成した【空間】とやらで
僕と言う個人は生きているらしい。
僕と言う空間には僕以外の誰もが不可侵であり、侵入は不可能 ....
日曜の朝のイメージは白
だったのは子ども時代の名残
めざめるとそこかしこに
ラメみたいに散る朝陽
日曜日だけは
がっこうの一時間めのじかんに
テレビアニメをやっていて
だから ....
雨は嫌いだ
なんてうそぶきながら
ちいさな人らが踊り始める
あかやあおやきいろやみどりの
ちいさな傘をくるくる回して
水溜りに波紋をつくる
ステップ ターン ステップ
ちいさな人らの ....
改04.05.16
原爆が落ちていらい
腹が立ってならない
土の色をした指が嘆く
野菜クズを畠に蒔いてヒマをつぶす晩秋
巫山戯 ....
カギっ子を見た
21世紀のこの時代に
まだカギをクビからぶら下げているんだな
って、感心する一方で
とてもなつかしい記憶がよみがえった
かく言う僕もカギっ子だった
両親が共 ....
わかりあえない
という
隙き間を
麻痺させるために
キスを する
まぶたを閉じるのは
酔いしれるためでなく
誰かを
明確に思い出すため
ある種の昆虫は
だ液と漆 ....
国語は嫌いでした。
算数は嫌いでした。
さりとて体育は苦手でした。
モテナイ君でした。
9人兄弟の末っ子で、中卒でした。
情けなくてある日つい白状してしまいました ....
そこから先には進めないときがある
そのたびに思い出す風景があって
背中の方から温もりを感じながらも
とても不安そうな少年の瞳に
問いかけられた言葉
飲み込めないまま
風にも ....
マフラーいい加減に巻いて
サンフランシスコの風みたいに
ロケットスタート ドリーマーは
サンスターでちゃんと歯を磨く
そろそろと差し出した上唇と靴下
いろいろと伸び悩んだあげく濡れて ....
はっぱをめくればなめくじ
みんなにきらわれて
しおをまかれたりする
おまえなめくじ
うまれてからずっと
からだじゅうでないている
おれだっておなじ
みんなにきらわれて ....
毎日は同じことの繰り返しのようでも
少しずつ違っているものだから
通勤電車の吊革をつかむ
君はまるで風に揺れる果実のように
その身を進行方向に傾けている
列車のドアが開くたび
....
海岸を歩きたい。
サンダルを引きずって。
花を育てたい。
誰にもないしょで。
野菜ジュースが飲みたい。
もろもろモロヘイヤの。
ペットボトルの中の
気味の悪い色をした液体が
....
種もつ闇の
ちらかる 真昼
夜から じっと
はりめぐらせた
たんたん ひとつぶ あまい 夢
たんとん ひとなみ ふるい 風
かすれた なきごえ
かみきる したあご
....
あなたがいないと
笑い方を忘れて
しまう
あなたがいないと
毎日どしゃ降りの
雨に
なってしまう
あなたがいないと
愛するってこと
わからなく
なってしまう
あなたがいないと
....
とれたての おれんじいかが
今なら 安くしておくよ
隠し味には おれんじの
もがれた時に 流した涙
これがすっごく甘いんだ
とれたてのおれんじいかが
今なら 安くしておくよ。
きみの涙は、
僕が舐めてあげる。
きみの瞼も、
きみの耳も、
背骨の窪みも、
おへその穴も、
その淡い茂みの奥も、
みんな僕が舐めてあげる。
おいで。
世 ....
将来のことが不安で、とかじゃなく
ただ、ただ単に
明日が来るのが怖い
って夜がたまにある
なぜだかは分からないが
ただ無性に明日が怖いのだ
夜はひたすらに眠れず、かと言って
....
何度目かの電話の奥で
口笛が聞こえた気がする
鼻歌だったのかもしれないけれど
もう遠くて追いつけない
近づいてくる海岸線からは、遠くは見えない
近くなら、というとそうでもない
指先はど ....
ポストになりたくて男は
ポストの隣に立ち大きく口を開けた
ご丁寧に首から
「本物のポストです」
と札もぶら下げてみた
けれど誰も手紙を入れてはくれない
華やかに装った初老の女性も
....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
アルマジロな午後。
僕は転がる。
あるまじき僕は正午。
ごろごろとアルマジロと転がり、
ヒジキを食べている。
ヒジキはあるまじき美味しさで、
もぐもぐとアル ....
眠れない夜の為に
眠れない夜の為に
眠れない夜の為に
眠れない夜の為に
眠れない夜の為に
側にいて欲しいが為に
側にいて欲しいが為に
その為だけに
ただその為だけに
誰かを欲 ....
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