建築現場の鉄骨が
空の重さに耐えている
昼下がり
子供たちがホースで虹をつくる
二階のベランダから身を乗り出す猫
視線の先には
鳥が羽を休めている
鉄骨が発する低い唸り声が
体 ....
俺は真夜中のゴールキーパー
昼間は俺よりいいキーパーがいるさ
俺の背番号は「1」じゃない
真夜中になると
いろんなヤツが
攻撃してくる
俺は俺の大切な人を
....
俺は真夜中のゴールキーパー
昼間は
味方の攻めも良し
守りも良しで
ボールは飛んでこないんだ
観客が喜んだり悲しんだりして帰った後
俺にお呼びがかかる
夜は弱 ....
37.2度の恒温動物は
夜行性の眼を光らせている
今日は何だか疲れてしまって憂鬱
そんなセリフは引き裂いてやった
暗闇の方へ
暗闇が呼んでいる
それはまったく習性で
インター ....
2月になりはしても 北方の冬は
大雪の屋根に腰掛けたまま
目を細めて今日も 微笑んでいる
南風の萌黄色のシフォンスカートを
夜明けごといたずらに ほつれさせながら
生まれた街では凍える ....
愛しい君の投げた矢が、僕のケツにHit!
悶絶する僕に
君の第一声は
「あなたをねらったわけではありません!」
(って、そのセリフが痛い)
「ごめんなさいね・・・」
( ....
じーちゃんは 耳が遠い
ばーちゃんは 歯がなくて発音が悪い
二人の会話は
何度も聞き直し
何度も言い直し
互いの顔を
くっつけるように近づいて
可愛らしくて
仲がいい
ばーち ....
うさぎのうんちは、
にんじゃうんち。
ちょこにまぎれて、どろんどろん。
うしのうんちは、
ほかほかうんち。
じょうきがもうもう、うっしっしー。
うまのうんちは、
うる ....
降りしきる雪の中で
傘も差さずに立ち尽くすあの子は
雪が好きなのだろうか
あの子の黒い髪に
はらはらとまきつく白い雪は
あの子が好きなのだろうか
あの子が手のひらを前に出した
....
母さん、へその緒を 僕に再接続して下さい。
このままじゃ、無重力の彼方に飛ばされてしまいそうさ。
身体中に 接続をあつめて、
軽薄な この僕を どうか しっかり つないでいて。
臆病な ....
一月の風が過ぎ去った頃
空を迷って辿り着いた木の実が
夜を探していました
まだ
日暮れ前の鳥たちが並んで飛んでいる
公園の歩道には誰かが落としたハンカチが
あと少しで浮こうとしています ....
どんなにひっそり生きてみても
こんなに邪魔な僕はいない
と、思って
せめて自分のにおいを消そうと消臭スプレー
かけてみた
しゅーっと吹くと腕が消えた
なんだ僕はまるでにおいのか ....
この住宅地は
どこか変なんです
川っぷちにあって
どぶ臭いなんてことは問題じゃありません
臭いのならむしろ
どこからともなく漂う
昔の横須賀線の臭いの方が
ずっと気になります
日当たり ....
I Sucked Pink.
I Smoked Pink.
I Spanked Pink.
I Stuuupid Pink.
ワン!
と唐突に始まる詩
を数編書き
少女はそれから二度と詩を書こうとはしなかった
ターコイズ、ターコイズ、ターコイズ・マーチ
ターコイズ・マーチ
先生!山下君のターコイズ・マーチ ....
午前1時
上手く眠れずに
煙草を吸おうとして
小さな丸い換気口を開けると
コォー コォー
とガランとした舗道を
駆ける風の音がした
清らかで濃密な
午前1時の音だ
....
指先でつまんで
そのあとどうするの?
まさか捨てたりしないよね
脇役は最後まで残っても
結局脇役で
だけどその場面を彩るのには必要なんだ
パセリ
緑色のアクセント
僕が ....
『努力』
本当に努力をしている人は、その自覚が無いし客観的に見ても分らないことが多いだろう。端から見て、努力しているように見える人は、そう見えるよう努力しているだけだ。
『誰かのため』 ....
空に向かって
「さよなら!」って言っても
空はなくならなかった
僕もそのまま
ただ思い出だけが
涙を揺らします
「さよなら」は
いつも寂しい風でした
口でいう以上に、
口でする以上に、
愛して下さい。
何もかも面倒くさくなって
風呂に入るかわりに洗濯機に入ってみた
さすがに寒いと思ったので
あたためた風呂の残り水をポンプで移動
全自動のスイッチを「お急ぎ」にして
ボディーソー ....
冬の陽射しの中
公園のベンチに座って
君のことを想う
悲しみの後には
きっと喜びが来る
凍りついた涙も
きっと雪解けのようになくなる
冬の陽射しの中
....
さしこむ月明かりに
浮かび上がる
窓枠におかれた青白い手
古びたホログラムのような
その手の
輪郭が、ぶれ
はしる、ノイズ
握られたナイフの
かるい重み
ナイフは澄んだ鏡
凪い ....
ため息を薄めた空気を吐き出せば
白くけむった現実が儚く揺れる
滅んでゆく世界が急激に収縮すると
必至にしがみつかなければ吸い込まれてしまう
その前に見えた
一瞬の閃光を書きとどめるた ....
眠れば朝が転がってくる
なんて
朝から寝た奴には夜しかやってこない
昼夜逆転 俺はそれをドラキュラ化と名づけた
あぁ、朝日が目に滲みて溶けそうだ
何度も何度も触れてくるのに
けして苦しくなることのない
数え切れぬ手 ふたつの手
近づき 重なり
離れゆく手
離れ 離れて
響きわたる手
さくさくと向かい風
にじむ ....
ギュッと唇かみしめて、
「負けない」というような顔をする君。
グッと手に力を入れ、
「泣かない」というような顔をする君。
グーッと何かを我慢する君。
僕は言いたくなる。
「もう、何 ....
今日も行くわよドラッグストア!
新製品が目白押し
入り口近くでドリンク剤が
横目で誘惑してくるよ
エステティックはT○C!
そうは言ってもエステは高い
ローン組んだらつぶれたなんて
よく ....
連立する高層住宅の緑は孤独
メタリックな金魚は
雨の日に口を開けて上昇するんだ
施錠された鍵は傷ついている
何度も何度も何度も
屋上に取り付けられたばかりに
また傷ついている
無 ....
壊された未来
殺された明日
それでも
....
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