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氷の上の雨
滴の上の紋
霧散 飛散
穿つむらさき


誰も乗っていない列車が
真昼の原を分けてゆく
集まる音
緑と無言


地の午後は昇り
空の午後は去る ....
果物の皮
草の波
腹をくすぐる
紙の飛行機


割れてしまう
雪の空
痛みはわずか
銀の柱


通りの名前
風から剥ぎ取り
霧に投げつけ
午後の川となる
 ....
額の上の
紙の風見鶏
けだものはただ聴いている
手のひらのなか冷える円柱


空のはさみ
晴れとしずく
風と渇き
音と苦み


筒の空を伝う水
上の上 ....
海の底から立ち上がる城
瓦礫の泡 草の鎖
空と樹 樹の前の樹が重なり
骸のように立ち尽くす


霧と岩は夜に溶け
雷雲は野外の舞台を照らす
山の裾野を登る波音
水 ....
湯のなかで痛む指
数えても終わらない曇の流れ
冷たさを呑むこと
手のひらの空をかき混ぜること


双つの明るい星
火と火の生きもの
森の目 岩の目がひらき
ふたたび静 ....
光を打つものの影が
空に映り揺らめいている
二本の穂の墓
影が影に寄り添ううた


切り落とされても切り落とされても
見えない部位は羽ばたきつづけ
音の無い風が生ま ....
曲がり角の雨
踊り場の雨
常に潜む雨
葉を照らす雨


理由もなく
人のかたちをしている蛭が
街を造り
歩きつづけている


空の子蜘蛛
低い青
かすか ....
何も見えない湖は
来るもの 発つもので騒がしい
無数の軌跡
無の飛跡


まつろわぬものらの轟きの朝
すべてからすべてから離れてやっと
自分自身で居られる音の
近く遠 ....
針の翼
夜の屋根
緑の雨が
楽譜を照らす


街の起伏
夢のつづきの夢ばかりつづき
目覚めも指も
夜になれない夜をこぼす


葉の陰の硝子
雨の奥の太陽
扉 ....
低い空の斜め左に
かがやいては煙となる光
煙が煙でなくなるまで
煙は光を昇りつづける


流れ星が流れ星にぶつかり
祈る間もなく 消えてゆく
けだものの夜
やわら ....
{ルビ断頭台=ギロチン}に葛ちらせて{ルビ骸酒=むくろざけ}



片目あけ光の血まみれ五月雨夜



岸に降るけだものひとり振り返る



撃てと ....
立小便いつもスムース・クリミナル



気が付けば俺もゾンビで踊ってた



仁王立ち眩さゆえのサングラス



白と黒どっちなんだと詰め寄られ

 ....
太陽のようにほどける髪が
小さな鈴の樹を隠している
地から昇るたくさんの音が
空に晴れを運び込む


虫から生まれる滴が
霧のなかの径を見ている
銀の歪みに映る
碧い ....
夜は爆ぜ
すぐにまた現われ
朝へ朝へあとずさる
雨に
種を蒔きながら


触れれば空に到く
咲かないものの履歴
指は水を編む
夜を高くする


何処にも行けな ....
不幸自慢の座頭蜘蛛
緑の文字にうろついている
燃やしても燃やしても
早朝を喰みにやってくる
光の格子と格子が重なり
水のように空へ昇る
光を内に持つものが
ひとつまたひとつ消えてゆく


空より早く目は翳り
屋根の滴を欲しがっている
幻でしかないふたりは終わり ....
暗がりを廻すまばたきについて
本をひらけば忘れてしまう
脆くまばゆい粉について
うたうことは覆うこと
それでもけして埋まることのない
ひとりとひとりのはざまについて


宙 ....
波打ち際
囚われ
葉の陰の家


ひらくことのない窓の奥で
何かが白く動いている
夜と夕べ
決まった時間に


舌に触れる
かたまりの記憶
触れては遠のく ....
暗がりのなか
後ろにふいに立つ人影を
走り寄って手で払うと
数秒後に窓の外から
叫び声が昇り 消えた


ああ そっちの方へ抜けたのかと
納得した




 ....
今は六時
光のうろこ
空の隙間
土からの声


風とおしの良い
泥の街だ
姿の無い
列車の音も聞こえくる


うなじに揺れる羽も尾も
すぎる翠の反対を向く
背中 ....
割れた橋から
差し出される手
何も映さない
水たまり


指の上
冬の川
霧のゆく先
池を伝う陽


外灯の裏の夜を歩き
晒されつづけるはらわたと骨
水 ....
ある日
猫に似た尿意が告げた

(あなたはけして)
(あなたではない)

だからわたしは
めざめて最初に見たものへ
放った











 ....
凍った川をさかのぼる
振り向かずとも
わかっている


触れるものを飛ばそうと
緑たちは待ちかまえている
午後から夜への 径にふるえる


森の歩みが 響いている
 ....
死神の愛馬はたいて冬囃子


傘を咬む波の輪かかげ雨を招ぶ   


まぼろしはまぼろしのまま糸車


泣く子から泣く子へ雨を遠去ける


髪の毛の花と同じ空く ....
空気のにおいが変わり
熱と衣は円に舞う
夢を盗む夢を見たあと
共犯者を思い出せない


葉と花の足跡
街を分け つづく
はじまりを知らず ただ
はじまりから来たことだけを ....
望まれてあなたの髪に入る冬



待つことも降ることもなし神帰月



呼べば降る呼ばずとも降る鬼火かな



骨の冬気付かず歩み骨となる



 ....
午後に流れる
偽り無きもの
門の上の鳥
泉は鳴いて


見えない冠のうたううた
影が切り取る街の陰
空から 地から
泡の振動


水にひらく
誰かの手
 ....
原に沈む舟
わたしと水は
互いを聴く
陽はそこに没し
そこに没する
原に沈む舟
午後はくりかえす
夜の目の前
午後を くりかえす








 ....
実のつらなりが
水に映る
逆さになり
雨が来る


遠くと近くの震えが混ざり
小さな 音だけの雨となり
曇へ降る虹
曇から降る虹を見つめる


指のかたちの熱が ....
暗がりを作る小さなものを
目をつむり見つめる
どんなかたちも妨げない
光の矜持がある


よびさます きざまれる
ふりまかれる こがねでもあり
みどりでもあ ....
鵜飼千代子さんの木立 悟さんおすすめリスト(69)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
変化_またたき- 木立 悟自由詩417-2-26
冬と祈り- 木立 悟自由詩417-2-11
ふたつ_満ちて_Ⅱ- 木立 悟自由詩416-12-24
ひとつ_水音- 木立 悟自由詩616-12-3
ひとつ_露光- 木立 悟自由詩716-11-24
ふたつ_冬野- 木立 悟自由詩1716-11-14
しずく_手のひら- 木立 悟自由詩516-10-19
白_めぐる白- 木立 悟自由詩816-10-6
あゆみ_むらさき_Ⅱ- 木立 悟自由詩816-9-15
外へ_むらさき- 木立 悟自由詩516-8-25
二季応禍- 木立 悟俳句516-6-29
ジャイケル・マクソン- 木立 悟川柳516-6-29
ひとつ_曳光- 木立 悟自由詩415-11-1
銀の生まれ- 木立 悟自由詩615-8-23
ノート(52Y.8・22)- 木立 悟自由詩615-8-23
終わらないもの- 木立 悟自由詩315-3-22
ふたつ_ひびき- 木立 悟自由詩313-10-15
ことわりの海- 木立 悟自由詩513-9-4
ノート(ぬけ)- 木立 悟自由詩313-9-4
ひかり_めぐり- 木立 悟自由詩613-6-21
水と水- 木立 悟自由詩413-5-8
ノート(尿意)- 木立 悟自由詩313-5-8
こがね_こがね- 木立 悟自由詩313-3-26
冬と呪- 木立 悟俳句312-11-22
昼と白- 木立 悟自由詩712-11-18
冬とまばたき- 木立 悟俳句512-11-16
ひかり_めぐり_Ⅴ- 木立 悟自由詩712-10-7
ノート(ひとつ)- 木立 悟自由詩312-9-17
夜と辺- 木立 悟自由詩1410-9-29
不季途- 木立 悟自由詩510-9-17

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