こがね こがね
木立 悟





凍った川をさかのぼる
振り向かずとも
わかっている


触れるものを飛ばそうと
緑たちは待ちかまえている
午後から夜への 径にふるえる


森の歩みが 響いている
暮れの地層の上の
青空


こだまはこだまに凍りつき
池を歩幅に放り込んだ
青は降りおり 流れを踏んだ


渦のように私物化する
夜は下を下を向く
灯は坂のはじまりを照らす


澄んだ空の
何も無さ
鉱の森から 見え隠れする海


水たまりから空へ
つながる迷路
常に霧の体を指して


時はうなずかない
道化の一群
波打際に ふいに消える


羽の跡 ひかり 軽い咳
夜の卵 ひとつ 手のひら
こがね こがね ふりそそぐ


























自由詩 こがね こがね Copyright 木立 悟 2013-03-26 08:43:30
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