変化 またたき
木立 悟






氷の上の雨
滴の上の紋
霧散 飛散
穿つむらさき


誰も乗っていない列車が
真昼の原を分けてゆく
集まる音
緑と無言


地の午後は昇り
空の午後は去る
径と行方 立ち止まる鳥
曲がり角を曲がり 消えてゆく影


時を知らぬものは
時を恨まない
雪に擬態するものたちが
雪を妬みながら融けてゆく


泡の声は速く 速く
泡なのかどうかさえわからずに弾け
音は光を上書きし
夜の部屋に積もりつづける


爪の内の黄
見つめる実
手負いの鹿の背
段丘は煙り 見えなくなる


無数の冬の景色から
鳥一羽分のかたちを切り取り
幼い虹は横たわる
のばした腕が乱すものを見つめながら



























自由詩 変化 またたき Copyright 木立 悟 2017-02-26 22:46:25
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