しずく 手のひら
木立 悟
曲がり角の雨
踊り場の雨
常に潜む雨
葉を照らす雨
理由もなく
人のかたちをしている蛭が
街を造り
歩きつづけている
空の子蜘蛛
低い青
かすかに触れる
窓に映る髪
目の上の雨から
枝葉がとどき
かたちや色や音は消え
光だけがそよいでいる
水の足跡と影のはざまに
別の街が揺れている
野と荒れ地の向こうには
無数の虹がひらきゆく
踊りと笑みの軌跡のなかを
花を追うように消えゆく子
水の標から外れながら
ひとつの岬
ひとつの光に振り返る
自由詩
しずく 手のひら
Copyright
木立 悟
2016-10-19 08:45:06
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