外へ むらさき
木立 悟
低い空の斜め左に
かがやいては煙となる光
煙が煙でなくなるまで
煙は光を昇りつづける
流れ星が流れ星にぶつかり
祈る間もなく 消えてゆく
けだものの夜
やわらかな羽根
夏の言葉
空の金属
地に冷え 地にはねかえり
あらゆる水にまたたくもの
岩の上の銀河
夜の波の火
海の上の径
遠去かる曇の音
どこにいるのか
わからない友の声
星に到かず
海に落ちる声
ちろちろと壁を舐める影
雨をふたつすぎた明るさ
指の深さに渦まく草むら
遠い水にかざす手のひら
歩みを止めたものの足元へ
水が水を招んでいる
星は岩に突き刺さり
光は光のむらさきを昇る