外へ むらさき
木立 悟






低い空の斜め左に
かがやいては煙となる光
煙が煙でなくなるまで
煙は光を昇りつづける


流れ星が流れ星にぶつかり
祈る間もなく 消えてゆく
けだものの夜
やわらかな羽根


夏の言葉
空の金属
地に冷え 地にはねかえり
あらゆる水にまたたくもの


岩の上の銀河
夜の波の火
海の上の径
遠去かる曇の音


どこにいるのか
わからない友の声
星に到かず
海に落ちる声


ちろちろと壁を舐める影
雨をふたつすぎた明るさ
指の深さに渦まく草むら
遠い水にかざす手のひら


歩みを止めたものの足元へ
水が水を招んでいる
星は岩に突き刺さり
光は光のむらさきを昇る

























自由詩 外へ むらさき Copyright 木立 悟 2016-08-25 19:42:35
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