生きていくのは
老いゆくこと
病む心身ともに
死にゆくこと

愛でたいものとは
いずれ別れる
怨みつらみは
つのるのみ

求めるものは
手に入らず
感覚過剰で
脳の混乱
 ....
何故に君は
空を見る?
孤高を気取って
窓辺に立つ?

何故に君は
逃避する?
逃げ道さえなく
迷ってる?

何故に君は
うたを書く?
生産性なき
駄文つらねる?

 ....
まだまだか
まだだめか
助けてと言うのは
まだだめか

もういいか
もういいかい
助けてのたの字くらい
もういいか

もういいかい
まあだだよ

もういいかい
まあだだ ....
もくもくと
立ちあがってくるもの
頭をもたげて

どくどく血は駆け
はみだしそうな
身の皮一枚

こんこんと
湧き出る想念
いき場もなくて

つんつん立って
はりつめる呼 ....
光が
眼を射抜く
明るさが
全身を焦がす

闇と静寂のうち
それだけが
僕を活かす
空間と時間

夜のサイレンが
耳を衝く
胸騒ぐ
遠いかすかな音

風が空が
笑っ ....
今をひとつ
今をひとつと
拾っていく

両手に抱えても
指のあいだから
こぼれ落ちていくもの

拾った今は
手に取る途端に
今ではなくなる

過去は
記憶として変質し
 ....
希望をもっては
挫折をおぼえ
夢を見ては
幻想と気付き

目覚めては
明るさにうちのめされ
眠りにつけば
だるさが増し

自らの闇が
意識にのぼれば
自らの不如意に
恐れ ....
純粋な不機嫌
憂鬱ではなく
正しく怒るのでもなく
ニィと笑える
この不機嫌

病気の子供のそれらしさで
つねに何かを云う事ができる
イエス、ノオ、
肯定でなく否定でなく
沈黙し ....
静寂の中
聞こえぬ音が
漂っている
リアルな凹凸
まだ見ぬ実体

見はなされ
おびやかされ
晒された者の
裏返る脳裡
粘液質のものが痛々しく
外気に触れられてゆく

これ ....
つながらない
不安
つながることの
難儀

削除できない
発信着信
とり返しのつかない
関係性

つながらない
優しさ
つながることの
厳しさ

独りでは生きられない ....
さらさらとせせらぎ
さびれた散歩道

からからと風ぐるま
隠れた木の葉

深々とした静けさ
寂しく晒されるもの

こんこんと浮く言葉
濃く強く焦がれる

咲くものかはさてお ....
秋の風がやってきて
酸素をたっぷり運んできたので
僕はなんとか息をもちなおしたのだった

空は高くなったので
僕の周りの空間も広がった
圧迫と窒息からまぬがれて
今またわずかに力を回 ....
重みのみ
かたどられて
古びたソファに
なお
居つづけるものあり

存在しないことの
実在
居つづける
無きもの

その日の窓枠が低すぎたので
思惑どおり
その人は落ちて ....
あぜ道
土手道
アスファルト

地に足つけて
歩く人


目で見て
聞き耳
手足でさわる

現実つかむ
歩く人


我流
下流
それぞれ流儀

流れるままに ....
どんづまり!
この
どうしようもないどんづまり
にやって来た

しかしながらそう言う文句が
初めて聞く人にさえ
了解可能な
どんな絶望的事件もここになく
そのこと自体が一つの絶望 ....
僕のキボウたちが
帰還した
脆弱で
ふわふわと
吹けば飛ぶような

キボウたちは
希望の面をかぶった
苦悩かもしれない
でもそんなことは
もうどうでもいいのだ
キボウたちは
 ....
バッタがぴょん
土手道よこぎる
バッタばったり
ぴょんぴょんと

とんぼがスイ
稲刈る田んぼに
とんぼとんで
スイスイと

小石がぽちゃ
静かな川面
小石濃い清水に
ぽっ ....
九月に
花咲くものもあるのだ
ぐんとのびる空と雲と
肌さわる大気

苦しみのさなかにもある
はたとした気づきの殴打
群青の宙の下
張りつめる呼気

言ってしまうと
軽々しく浮 ....
知らない街に居た
いやよく知ってる街だった

移ったばかりの部屋の
窓際に
くる日もくる日も座っていた
窓際に立つと眩暈が起こるので
窓際に座っていた

これは一つの逃走だった
 ....
死をそんなに簡単に
書くな
語るな
考えるな

生を受ける困難に
見みえて
負けるな
間違うな

精神の見様は
生を活する
性質もつか

死を見る者は
真なるものを
 ....
晩夏の空に
立つ雲は
白さと翳り
あわせもつ

晩夏の風の
吹く川は
渦巻きうねり
流れゆく

空も雲も
風も川も
うたう挽歌に
色そえる

光も陰も
宙も時も
 ....
自分を殺し
自分の死体を
自分で捨てにゆく

光も闇もない
密かな墓所へ
自分を捨てにゆく

人目を逃れて
死体を隠して
何くわぬ顔をして

死はもとより
生すら
なか ....
しぃつがしろいな
しょうどくとがぁぜのにおいがするな
なにかにつながれているな
なにかのきぐがこきゅうしてるな
つめたいがあたたかい
まどがあいたな
かぜがふいてるな
はながさいてる ....
「希望の氾濫のなかで
 僕は溺死しそうだ」

という言葉を
何かの本で読んだ
実際僕は
無邪気で無責任な
愛すべきキボウのおかげで
かろうじてなんとか生きている

僕の小さなキ ....
僕には何かが見えている
例えば
ときどき視界の隅を横ぎる
小動物の残像
虫たちの群がり
風の色
人々の悪意

悪魔の顔だ妖精の舞いだ
僕には聞こえるのだ
内なる声の
閉じこめ ....
額ぶちを
ばさりと
鳥が斜めに横ぎった
びくりと
骨ばった視線の止まる
瞬間

空腹も満腹も
傷口もかさぶたも
窓の光に
照らされる

額ぶちの
向こうからの光に

 ....
切迫した最期の
夏の到来は
記憶の中でぶよぶよしつつあって

ゆっくり弛緩しつづける
こよりみたい
つづく夏を重ねるたび

もはや静止でも
昂ぶりでもなく
無為のまま指先にふれ ....
緑波立つ
一面田の面
太陽真上に
正午の沈黙

見時葉の月
一よう多様
大気の底で
焦土の地が沸く

あの夏の日々
われを失う
瀕死の乱心

あの夏の日々
割れる脳内 ....
ピルキュルと
遠く鳥の飛び交うのを聞く

重ねて飼い犬らの間歇的な
へだてて呼び合う吠え声が

窓は笛の穴ともなって
聞かせるつよい南風

〈なにものでもない耳の人間〉

例 ....
あつくこく
たかぶりゆく盛夏

うごめき
上昇気分

厚く濃いこの空気の中ひそやかに
偏在しているエアポケット

ひとり
静寂の中にとりこまれて

ぽたりと汗のひとしずく
 ....
シホ.N(421)
タイトル カテゴリ Point 日付
深淵自由詩211/11/2 2:15
何故に自由詩311/10/27 23:09
自由詩311/10/24 23:42
試練自由詩311/10/21 23:26
日と夜のあいだに自由詩311/10/17 23:19
自由詩311/10/13 23:50
掌握自由詩211/10/11 23:22
無声の本当らしさ自由詩211/10/6 23:59
覚醒する幾千の日と夜自由詩411/10/5 21:16
たづな自由詩311/9/30 23:36
流れ自由詩211/9/30 2:07
秋風自由詩111/9/29 7:24
座る非在自由詩5*11/9/22 23:16
歩く人自由詩311/9/20 0:10
躓きのブレス自由詩311/9/17 23:34
あしあと自由詩511/9/13 23:15
歩いてゆこう自由詩411/9/11 5:20
九月自由詩211/9/7 17:20
窓際の眩暈自由詩311/9/4 21:15
簡単な困難自由詩111/9/3 16:07
晩夏自由詩111/8/30 17:12
完全犯罪自由詩2*11/8/26 20:51
植物人間自由詩311/8/25 0:20
キボウ自由詩311/8/22 23:30
リアリティを追って自由詩311/8/19 23:09
自由詩411/8/16 21:14
夏の晩年自由詩411/8/13 15:17
八月自由詩611/8/7 13:04
耳の人間自由詩311/8/6 1:56
盛夏の中の静止の音自由詩211/8/4 23:52

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 
0.31sec.