ホルモンの乱れが、というかふつうに生理前とか最中とか、ほんとにもうこれでおしまいだってくらいに落ち込んでもう生きていてはだめだ、ほんなのわかりきってるだろ、それなのにここまで来てしまってさーという .... バターの日
強ばった手足に蜜を塗り
小鳥たちに愛を与える

ナイフ、なにも
切らないでいられるうちは
美しく澄んでいて

でもわたしたちには生活がある
パンもバターも熊の夢も ....
軽くて暖かそうなコートを一枚着て歩くひとを羨ましく見ながら、厚ぼったい、そのくせ風の通るような洋服をなんまいも重ねてぎゅっと縮んで歩いてます。
二十日間も雨が降らないで、ぱりぱりと乾くような空気 ....
熊たちは夜をかみ砕き
蜂蜜の朝を得た
意味の羅列を踏みこえて
あたらしい夢をみるんだ

配管 像 通勤ラッシュ
茜色 ポリタンク 出されない葉書
僕の隣は空き続ける
なされなか ....
遠くまで
悲しみを はこぶのに
蝶をつかった

少しずつ
少しずつ
悲しみをちぎっては
蝶たちの背にのせた
けれども
かなしみは もう
重すぎて
蝶はみな とべなくなった
 ....
明日
走って行く
風のつめたい方へ
呼ぶ手もないのに
走って行く
擦り減らして
擦り減らして
走って行く
うまいこと 体を置き去れれば
もっと軽くなって
走って行く
そのうち ....
そして、見知ったような街で生活している。
すべての箱を開けて、埃を拭い、それなりの場所に配置して、箱を潰しきるのには5日あれば十分だった。そのあとは右のものを左に動かしたり、左のものを上へ持ちあ ....
風がいよいよつめたくなってきた
頁をめくるときがきた、と君が言う
ぼくは12頁めの一行めを読む
愛してくれるなら誰でも良かった
乱丁だろうか
次の行は暗く潰れて
愛して良いならだれ ....
いくつかの枝葉をのこして、花を切っていく。もっと沢山の花を咲かせるために必要な処理だ。
そして、わたしたちはまた違う街へきた。

これまででいちばん短い期間での引越しだった。短い春と長い ....
あらゆる全部に値札がついて
かんたんに花をつむこともできない
ぴかぴかの看板を背負ってあるき
いちにち集めた小銭とひきかえに
やさしい、こまかい花を持ちかえる
世界はわたしを許したこ ....
ひと山いくらのりんごから
いちばん赤いのをみがいて
光らせて持ち帰る

夕暮れに
朝焼けに
割れるような喪失を持ちながら
生活のすみずみを拭き上げる

その割れが
ひとかけ ....
うすい殻は
かなしみを透過して
だれかのために
破れようとしている

壊れながら
守ろうとする
消えることで
在ろうとする

正しくないと 知りながら
知ることで 許されよう ....
おしよせる 一切の祈りを
ものともせず 飛んでいく
あおい飛蝗たち

届かないと知りながら
対岸へ跳ねた
少女だった 絶望だった
永久みたいな 夏も暮れかかり

ソーダの飛沫にも ....
愛などなかったと思うと
体がすうすうした
夢などみなかった
明日など持たなかった
そう思えばすうすうして
にんべんをはずした私の、
うすっぺらい物語も
すこし良いものに思えた
 ....
慣れた雑音から
都合のいい言葉を拾いだし
持ち帰って洗う

良い音を聞かせ
温い茶をのませ
夜には撫でてやった

ぼんやりと月夜には
影を分けあって吸った

しばらく暮し ....
おもいのほか
ながい旅になったね

きみが言うとき
夏はもっと熱くなる

もっと遠くへ行かれたね

言い合いながら
右往左往した
春や秋や冬を思い出すと
夏はますます長く ....
どんなに濃い風が吹いてももう思い出みたいなものしか書けなくなって、
名前はもちろんその表情、片側に多いほくろや厚い手のひら、
柔軟剤の匂い、街の音も乗り換えかたもぜんぶ変わって
そりゃあ ....
 蝉が破裂しそうに鳴いている。ぐるりと囲むメタセコイアの枝のすべてから鳴き声が降り注ぐ、時々ふっとそれが止むと、夏の日ざしも相まって、ちょっと世界が終わったみたいになる。
 その大きなニュースが ....
つめたい廊下で私が泣いている
母が作ってくれた帽子だ
思い通りになることの方が少ない
熱湯のような日々で
わたしたちが破裂しそうだ
はやく、それを被って抱いてもらいな
でも、母の腕はも ....
熱のなかで
ほどけていくときに
みんな ひとつの 記憶でした

ひすい色の鳥
一切れの歌声
水の運動

ほんのわずかの 知っていること をとおして
世界をみようとするとき
 ....
咲きすぎておもたい頭を擡げている紫陽花。ばらはとっくに咲き終えて、さっぱりと刈り込まれ、薬を撒かれる。陽をうけて広がってゆくマリーゴールド、日々草、トレニア。階段を降れば日本庭園の水場に睡蓮が浮んで、 .... 雨降りの間際で
それは恋だった
降り出してしまえば楽になる
頭の痛みに似て
激しいほど
わたしたちは
正気を取り戻していく
夕立の跳ねて乾いてアスファルト 湿る私のおもたい体

どうしても遠いあなたと山椒の木 羽を乾かす若い蝶蝶

このままじゃ動けなくなるから行こう 猫は恋を終え 沙羅は咲いてる

なげうっ ....
骨で寝息を守る夜
祈りのなかにあるのは死
死のなかには
小さな庭を作り
可愛いベンチを飾ります
誰も彼もが座れるように
イチゴ色のゼリーにのせられるわたしの人生
微睡みの匙は脆く
ひと掬いもできないで夢が終る

せめてクリームで飾れば良かったわと
言う
母や 姉や 叔母が
女という呪いを無自覚に吐き散 ....
せまい街の隙間を歩き
気持とはなれたまま生活をする
花を摘み
名を刻み
いくつか忘れながら

君が
こともなげに「過去」と言う
そのなかでまだ生きている
春はみじかくて、すぐ終わってしまう。恋人の背に物語が咲いて育っている。知らないまちの空はどことなく高くて、咲きはじめたばら、パンの匂い、錆、信号機、そういうものに救いを求める。
あたらしい部屋は ....
わざと生まれた
でもこのためじゃない
そう思う余地も残らない
知っていたと思う
愛することや
あたたかいこと
つめたい風のしたに眠る種たちが
さんざん踏みしだかれても
春になれば芽 ....
部屋のなかにいて、やるべきことをあれこれと思い浮かべていると、とつぜん頭のなかがきゅんと鳴って止まってしまう。窓の向こうの方の白い建物に陽が当たってまぶしいさまや、風どうしがぶつかってひゅうひゅう .... あなたのかわいい
おくれがちな相槌
寒すぎて ちょっと笑ったよね
愛してたけど
愛じゃなくてもべつによかった

隣りあう洗濯物
使いふるされた工具
石ころ
乾いたスポンジ
 ....
はるな(1733)
タイトル カテゴリ Point 日付
ないですメモ散文(批評 ...123/1/17 23:29
バターの日自由詩623/1/14 10:08
メモ[group]散文(批評 ...323/1/12 15:50
パンの朝、蜂蜜の朝自由詩823/1/4 14:03
ガラスのはね自由詩422/12/14 1:14
明日自由詩422/11/22 0:23
取るに足らない嘘のこと散文(批評 ...422/11/17 8:50
読書自由詩422/11/9 23:16
メモ[group]散文(批評 ...422/10/16 8:45
秋桜自由詩922/10/5 13:29
りんご自由詩422/9/20 23:29
透過自由詩222/9/8 1:17
ばった自由詩322/9/5 23:18
にんべん自由詩622/8/24 10:38
雑音自由詩322/8/15 14:30
自由詩622/8/3 16:28
蝶蝶の缶詰自由詩422/7/21 17:33
メモ散文(批評 ...322/7/20 9:18
回遊自由詩222/6/30 6:19
自由詩222/6/29 16:48
庭のこと[group]散文(批評 ...322/6/23 16:56
正気自由詩422/6/15 17:58
猛暑日[group]短歌122/6/2 16:12
自由詩522/5/22 0:16
イチゴ自由詩122/5/6 22:36
過去自由詩522/4/21 16:34
メモ[group]散文(批評 ...5*22/4/18 10:23
_自由詩122/3/4 16:30
メモ[group]散文(批評 ...722/2/21 9:37
洗濯物自由詩1122/2/15 17:47

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