それから
すこしだけはなしをした
核心の
すこし手前をうめていくように
ほんとうは
言葉も
いらなかったけど
なんとなく
そうしたほうがいいような気がして
す ....
シルバー
とてもながい時が過ぎた
とてもほんとうとは思えないくらいの
シルバー、
それでもまだそこにいてくれる?
シルバー
みんなが言う
あたしがすっかり変わったって
シルバー ....
「海は嫌い、夏も嫌いだし、晴れも嫌い」 僕が何よりすきだった君
わがままな人ほど白が似合うのだと知った 季節が変わる音がきこえた
そのかわり僕のなまえを覚えてて 僕がきみを忘れるかわりに
ティッシュペーパーに百円ショップのサインペンで絵を書いていたよね。いちばん毒々しい色合いになるからって。僕は意味がわからなかったけど、なんとなくかなしい感じにえがかれるティッシュペーパー嫌いじゃな ....
似合わない靴をはいて
おもいきりはでな下着をつける
季節のかわりめには
いつもよりとおくへ行こう
どうぞお好きに
すきなだけ
貪るあなたは
貪られている
気づかないままで
どうぞ
お好きに
肌に吐息を
響かせる
指に匂いを
響かせる
声に憂いを
響かせる
そのようにして
生に命を
響かせる
一滴が
先端から
こぼれ落ちる
わたしは
きっともう
その痛みに耐えられない
耐えられない
貝殻が
閉じたあたりを
ゆびさして
ここが ずれ て、
いるから
もとの世界には
戻れないと
腕のほそい頃の
わたしが
言う
痛みは
嘆くもので
悲しみは
か ....
説明して
今すぐに
わたしに
女の子のわたしに
それをする必要があったのかどうか
でも
説明なんてしないで
理由なんて持たないで
女のわたしに
説明なんて
しないで
....
ある種の恋愛をすると、わたしはかなしくなってしまう。それが順調にいっているかそうでないかとは関係なく。むしろ順調にいっているときに。途方もなく、きりもなくかなしくなってしまう。意味もなく、理由もな ....
動かないで。動いたら動かされてしまう。動かないで。動かさないで。動きたいけど。動かないで。絶対に動かされてしまう。そうして次には自分から動いてしまう。そうなってしまうから動かないで。わたしを愛さないな ....
ひと息で
その
わずかな角度で
意味とか
理由は
なくなる
ねえ
あたしは
生き残るから
あなたも
生き抜いて
どうせ
あたしたちが会う場所に
善悪などないのだし
....
うんと薄くつくったカルピスは母のワンピースに似て少しかなしい
これ以上泣いたり笑ったりできないくらいに疲れてそれでもお金は味方だと思った。一粒500円のチョコレートを買ったり髪の色を5日ごとに変えたりしてそれでやっと立てている感じがした。洋服より下着にお金をかけ ....
42℃の
アスファルト
を
ながめながら
冷えた部屋で
毛布
に
くるまり
92℃の
コーヒーを
飲む
そんな
かんじで
幸福が
だんだん
遠ざかっていく
....
夏の底では
夜が冷える
縫い合わせた理性では
この泥濘は超えられぬ
凍ったラムを
コーラで溶かす
溶けきる前に
罵倒しに来て
あなたが
あんまりにも
潔く笑うので
わたしの胸に
轍ができた
そうしてそのうち
深い森になった
庭は
しめっている
しずかに
でも
着実に
窓際には
枯れた花が
咲いている
わたしは
濡れた戸を背に
立っている
あなたが
部屋のなかにいるのがみえる
....
よごれた指を
水につけて
すこし
きれいになり
水は
わずかに
濁る
わたしを
これ以上
みじめに
させないで
あなたに
抱かれたことが
何にかの糧になるだろうと
思っていた
でも
ちがったね
何にもならないから
いいのね
役に立つ恋愛なんて
信じられないものね
わたしは
自慰をして
足らずに
よくしらない男を
呼び出して
抱かれる
さいきんのモーテルは
清潔であかるいし
窓だってある
そうして
そこを出た足で
花を買いに ....
果物はみな少なからず官能的だと思うのだけれど、桃なんてその最たるものだ。たたずまいや、匂いや、舌触りや、もちろん味も。
桃の皮を剥くのって、肌を剥くのとも似ている。薄皮を剥がす感じ。熟れた桃の、 ....
フォークで人を殺すことはできるか?
午前2時のグラスは汗をかいている
ため息がちぎれる夜に正座して冷蔵庫からの明かりで本読む
息つぎの仕方をうまく覚えられぬうちに夜はどんどん深まり
静謐をやぶる術をしりたくて肌を押したり引いたりしてみる
ざらざらの ....
熟れすぎた花がはじけるとろとろと下着をつけない肌のあいだに
砂浜は背につめたく体温は胸にあつくってどこへもゆけない
こんな日に果実が海に生るなんて 咲かせばすぐに摘み取る指に
這うように日々をゆく目の多きこと嘆きながら同じ目をして
あのとき
すでにはじまっていた
たぶん すべて
あまりにも静かで
気付くのが遅れた
あまりにも
当然のことのようで
そうして
後ろぐらい気持ちで
重ねあうからだを
自由 ....
骨のおくに
しまっておいたのを
一瞬でうばわれた
根こそぎ
そのとき
愛って
おもったな
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