新聞縛るために買ってきた紙紐を
首に巻く
ぎり ときしむ
苦しがる顔を見たいだけだから
すぐゆるめて
とっとと消えな
とうそぶこうとして
やめる

感情なんて要らない
悲鳴も聞きた ....
夢の中で川を下ったのと云ったら
ああそうなんだきみも下ったのかと
あのかたは云ったのだけれど
そういうあのかたは
夢の中で川を下ったことなどないのだと
わたしは知っていた

ほんとうのこ ....
サッカー場には
虹になりそこねたかけらが落ちている。

足も頭もかすりさえしなかった、
何人もが身体をこちらに向けたのに、
とひとつのかけらが嘆く。

飛んでいった方角には誰もいなかった ....
霧は晴れた 夜は明けた そして戦争は終わった
だからこそカーニヴァルがひらかれ
娘たちと青年たちはみな
陽気な音楽のリズムに身体を預け踊り狂ったのだ

レイヴンよ おまえは覚えているか
戦 ....
茫然としています
断たれたものは暖流です
亡霊ではありませんが
足はどこにもないようです
手紙を書きました
円い手紙です
噛みつぶしたひとさしゆびから
したたるもので書きました
あなた ....
ゴキブリは変わらない
うちの台所でも
熱帯樹林でも
恐竜が跋扈した古生代の森でも
同じような姿で
同じような生態で
どこにでも適応し
タフに何でも食いまくり
殺虫剤にも負けず
三億年 ....
奇怪な生物が群れ泳ぐ
微細な海で
きみは自在にはねまわる

ぼくはきみをすりつぶす
人差し指の先っちょで

ぼくと君のあいだにある
屈曲率が
あんまり悲しいので




( ....
妬ましきをみなの名を
記しては破り、
願へども叶はぬ懸想を
綴りては破り、

執心こめたる{ルビ玉章=たまずさ}を
{ルビ文車=ふぐるま}に納めしをみなは
{ルビ西方=さいほう}へ去りて ....
蛙が蛙であることは
とある詩人により確認されているが
虫が虫であることは
いまだいかなる学者も確認に成功していない

蛙が蛙であるとしても蛙は虫であり
蛇も虫であり
政治家も虫であり
 ....
[黒き衣に]

星は輝けども
我を導かず
月は地を照らせども
我を照らさず

我が手を取りて
道示したるそのひとは
黒き{ルビ衣=きぬ}召し
闇に立ちたり

さればこそ
黒き ....
言語化された街で俺はサボテンとして歩いていた 言
語化された街にある俺はサボテンとして記述された以
上サボテンとして歩く他なかったが かつて人間であ
った記憶の残滓が言語化されていたため  ....
おまえは準備しているか、
俺たちは戦わなければならないのだ、
クローンの少年少女が大群となって押し寄せてくる、
選挙権もないくせに武器だけは手にしている、
だから俺は来るべき戦いについ ....
幻想された異国のどこかで
ゆらたのざんげまださらせえ
少女の舌がキーボードの上をさまよいます
なるさばどーえゆたなかさ
キーボードはよだれでべとべとしています
ふはなたまやはなたや ....
血みどろの両手を大きく広げ、
髪を真っ赤に染めた少女が走ってくる。

抱きとめてあげなさい。
そして高らかに愛を歌え。

紅葉が落ちる時を心得ているように、
火だるまの愛は落ちる時を心得 ....
もしかしたら私はFtMかもしれないと深刻に考えていた時期があった(当時FtMという言葉は一般的でなかった。私もそのころはこの言葉を知らなかった。知らなかったけれど悩みは深刻だった。FtMの意味がわかん .... 満月の夜に三度続けて風が鳴いたら
五十年間誰も触れたことのない箱を開いたら
雨の日に空を見上げ濡れて歩いたら
六分間息を止めていられたら
衣装だんすのなかで外套にくるまったら
布団の中でまじ ....
誰もいない部屋にうっすらと
埃がたまっていて

埃はほんのわずか
かきみだされた跡を残していて

白光にさらされて
ひとは乾いてゆく

終わりはないのだと
それはけしてこないのだと ....
あの男はこちらをみようとしなかった
真っすぐなまなざしはただ至高をみつめた

わたしのうつくしい洞窟に散在する
瑪瑙 水晶 玉髄
わたしの配下にあるそれら輝かしい石の花々を
あの男は全くか ....
ちいさなときからいつも
あなたはいました

呼びかけたことも
あったように思います

部活をさぼって
学校の裏の給水塔から
校庭をみおろしていたときも

みんなが塾に行ってしまうの ....
私がなくなりかかっています。身体の各部分の名称も消え始めていて。ええ。私はほとんど消えかかっています。あなたは、消えてゆく私をどうこうすることができません。私は以前と変わらずあなたの前に姿を見せるでし ....  北風はものごとを深く考えません。単純で、勝手で、自由なのです。

(ぼくは生きてるんだ!)

 北風がそのことに気がついたのは、高い山を駆け下りているときでした。それまで北風は、何ひとつ ....
華奢で薄っぺらな皮膜
穴だらけの軽い骨
重い脳髄を容れるには向かない
貝殻のように脆い頭蓋

骨と皮だけの
しかし巨大な翼竜
ケツァルコアトルスは

ほんのわずか風が強くなると
も ....
さて地球のこのあたりはまたも日輪を見失い
「私」は青みがかった夕暮れ過ぎの色彩を見ながら
そろそろ晩飯を作らなければ
いやそれよりも洗濯物をとりこまなければ
などと考えている

するとそこ ....
みつべえさんの「そろもん」シリーズについて、書きたい。このシリーズは、「噴水の話」からはじまり現時点で「王の話」まで、30作品以上が投稿されている。すべての作品にリンクを貼るのはめんどいので、みつべえ .... ひららが飛んでゐます。

蝶でも 恋文でも 紅葉でもない、
あれはひらら。
まろやかな曲線を描く翅をひらめかせ、
たおやかに灰色の空を飛んでゆく・・・
あれはひらら。
ひらら ....
耳の後ろに接続したチューブから
調整済みの化学物質が流れ込む
注入が終わると自動的にチューブが外れる
痛みはないが不快で
私の機嫌は最悪だ
しかしレセプターはまだ目詰まりしていないし
私が ....
肉が食いたい
焼き肉じゃなくて生肉が食いたい
ニンニクもショウガもなしで
醤油も塩もソースもかけずに
なまぐさい肉のなまぐささを
そのままに味わいたい
ねっとりと歯にまとわりつく生肉を
 ....
そうじゃないよきみ
と言いたくてうずうずしている
大人げない大人たちに
注射器で若さを注入してやる
若さは活性酸素でできているから
一週間したら致死性の猛毒にかわる
踊り尽きた月 雲もない ....
1.

とても静かな村だった。今もきっと静かだと思う。
お祭りのときだってそんなに大騒ぎにはならなかったの。
屋台もちっぽけなのが五つくらい出ただけで。
綿菓子とお好み焼きと鯛焼きと。あとは ....
『紫苑の園/香澄』
松田瓊子著 小学館文庫 ISBN【4094044116】 733円
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4094044116/24 ....
佐々宝砂(921)
タイトル カテゴリ Point 日付
帰郷自由詩304/12/31 2:48
まるでどこかにつながっているかのように自由詩704/12/31 2:17
虹の軌道自由詩104/12/28 19:44
真昼の霧、あるいは老いた詩人たち自由詩304/12/28 5:29
投瓶通信[group]自由詩104/12/28 4:53
脱走したひとへの恋唄自由詩3*04/12/28 4:29
水のなかの女自由詩404/12/28 3:44
文車妖妃[group]自由詩204/12/27 3:45
人間である虫について自由詩204/12/27 3:39
月光庭園 —大正風な少女趣味のソネット—自由詩1*04/12/26 3:55
言語化された街自由詩404/12/26 3:48
来るべき戦いについて自由詩304/12/26 3:33
ひざやにいらえんよごら自由詩1*04/12/24 5:59
赤いファンファーレ自由詩104/12/23 4:33
『万物理論』とsex散文(批評 ...6*04/12/22 17:59
仮定する自由詩304/12/22 4:27
白い終曲自由詩304/12/21 17:10
石の花あるいは山のサロメ[group]自由詩2*04/12/21 5:04
あっちにいるひと自由詩204/12/21 3:27
燃えないゴミ自由詩104/12/21 2:38
北風と太陽散文(批評 ...304/12/21 2:07
テケリ・リ![group]自由詩304/12/20 4:59
「あなた」と「私」に幸あれと自由詩104/12/20 4:54
【批評祭参加作品】おーい、そろもん!散文(批評 ...604/12/19 23:19
ひらら自由詩304/12/19 4:30
リハビリテーション自由詩1*04/12/19 4:16
自由詩104/12/19 3:35
明日にゆくのはたやすい自由詩204/12/19 3:16
彼等[group]自由詩4*04/12/18 2:32
【批評祭参加作品】偽善、または『紫苑の園』散文(批評 ...504/12/17 2:31

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