不協和音ではないのだと学んだ。
あれはいくつのときだったろうか?
確かに冬のことだった、
安アパートの小さなオルガンは、
不安げな和音を奏でてきしんだ。

夜。親密な顔した夢が僕の床 ....
青い花を探しているのだと
そのひとは言いました

私も青い花を探していたことがあったのです

ずっとずっと昔 千年のそのまた千年も前のこと
白茶けた山脈を歩いていました
足元には雪があり ....
わたしたちは歌いましょう
ここにはもう
陸地はない浜もない砂もない
貝のひとかけらも落ちてはいない
浪の花とて立ちはしない
そしてわたしたちには翼もない鰭もない
この海原にもうすぐ冷たい雨 ....
はだくると風がきけえま
かみんくる海になせてま
へめろほな丘にゆめめら
あろめてら嘘がはてらま

きら片靴を
てけれくらしま

はろさるい夏はきらとま
[まめ]

こまめにつかめ
たかめをつかめ

まめにかめかめ
わかめにごまめ



[ひめぎみのかぞえうた]

いちのひめぎみ いばらひめ
にいのひめぎみ にんぎょひめ
さ ....
森はくらく 山はしずか
河はふかく 木々はみどり
草はあおく 風はわずか
空はたかく わたしはひとり

雲はおどり 夜はふけて
月はひくく 丘をしたう
鳥はねむり 夢をかけて
星はとお ....
父はつまらぬ魚屋でございましたが、係累は多うございました。
たいそう古くから魚屋を営んでいたと申します。
けれども嫁はどこの馬の骨ともつかぬと祖母は母を貶めました。
わたしは母の係累をひとりも存 ....
今は崩れし前方後円墳
色褪せ剥がれたる胡粉
古への熱狂と興奮
陰鬱に漂へる悲憤

見出されし死者は怒り
水気無き額に雨滴り
明かされし{ルビ咒=じゅ}は空を{ルビ撓=たわ}め  ....
少年は旅ゆく広い北海道
耕耘機に乗り地道に移動
のんびり過ぎて地虫がたかる
地虫も喰えばうまいとわかる
なんと美食家この怪童


***


社長さんの実家は青森
故郷の地酒で今 ....
東の空 雲間から矢のように落ちる光
あれはヤコブの梯子というのだと
少年に教えたクリスマスの朝
うすらいは俺の足に踏みにじられ
音も立てずに割れた

少年の茶色っぽいクセっ毛を  ....
最初の舞台は私の家の玄関先
(もう三十年も前に植えたという)
ダイダイの木の濃緑の葉に
まんまるな卵が産み付けられたのは
風薫る五月の午後

 うるる。るる。うるる。
 あったかい。
 ....
きょうは朝から春の雨

森の仕事もできないし
畑の仕事もできないし
海草拾いもできないから
カイとふたりで赤いカサさして
てくてく出かける
ききみみ図書館

司書のおじいさんは
て ....
海はすっかり赤ワインで
空はすっかり酔っているのに
うみろばはまだやってこない

ところで
したり顔でカイが言うには
うみろばの役目は
海馬のはんたいなんだって
海馬ってなんだか知らな ....
春愁なんていまさら歌えない
だからカカカと明るく笑って
カイの住んでる森に行き
おっきな声で春を告げる

おおい、カイ!
起きてよ!
雪の女王はもう死んじゃったよ!
でかけるよ!

 ....
私が三流怪奇詩人を名乗ることにはいろーんな理由が多々あって、ひとくちには言えない。「三流」「二流」「一流」といったカテゴライズを、否カテゴライズそのものを嫌う人がいることは承知の上で、また、そもそも「 .... 「私を束ねないで」と書いた詩人・新川和江のことが私は大好きだけれども、あの詩はあんまり好きでない。束ねたければ束ねればよい。名付けたければ名付けてかまわん。カテゴライズしたけりゃ好きにすりゃいいじゃん .... 誰がなんと言おうとも、私は三流怪奇詩人でありたい。インターネット上において、私は、ポエム書きのパキーネだったり、リリック&ことばあそび書きのりりと☆だったり、連作詩書き兼マルクス主義フェミニストのルク .... [さ]


さあ差し向かいで
鯖煮
里芋
さよりの刺身
薩摩焼酎
差しつ差されつ

さわさわさざめき
早苗さみどり


さかなではさかしら
さかねじはさかうらみ
さしず ....
[へりくつのうた]


へりくつりくつ
かたっぽのくつ
へりくつりくつ
くらいどうくつ
へりくつりくつ
なんてたいくつ





[たらたらのうた]


 ....
勇猛果敢な、奮立つやうな、そんな詩を書けと言はれた。
だから男は詩を書いた。
勇猛果敢な、奮立つやうな、そんな詩を書いた。
二十年前だつたら書かなかつたやうな詩を書いた。

怠惰に醉ふてスラ ....
日本文学盛衰史
高橋 源一郎著
出版:講談社
ISBN:4-06-210585-3
発行年月:2001.5 本体価格: \2,500

 この600ページ近い大冊を書評するのは、個人的に ....
荒野には屍などない。屍は豊饒の証である。荒野は小気味よいほどの空白であり、そこにはふくふくした糞便も滋養豊かな腐肉もない。目立つものといったら枯れ木だけだが、その枯れ木ときたら、湿っぽいので燃料にもな .... [バリケードのこっち側]


その前日
あたしは工場で残業した
まんまるいちんち段ボールの箱と格闘して
それでもまだ働けとベルが鳴った

自転車をこいで家に帰ると
戦いは明日だと言う ....
[か]


彼女は語る
空笑いを髪に飾って
かりそめに交わすカタルシスを
からみあうカドリールを
軽やかなカデンツァを
金切り声で語る語る

彼は彼で
寡黙な肩で風切って
 ....
[あ]


憐れみを集めても
飽きられあしらわれ
愛されない

諦めはあたしに合わない

綾織りの雨を浴びて
あてなく歩こう

嵐のあと
あげひばりは
明るくあらがい
 ....
「わが青春の詩人たち」三木卓著 岩波書店 ISBN【4-00-002642-9】\2,500

 本を読んでいて、巻末に著者年譜があると、いつも、現在の自分の年齢にあたる部分を熟読してしまう。この ....
口紅を持たぬ日ありき麦芽ぐむ

伐られしは冬萌赤き若木なり

孕みをれば死は許されず冬の蜂

      *

紅挿すや湯冷めせしほど待ちわびて

寒紅を般若の面の裏に刷 ....
あいつは普通の人間なのだと、地上でごく当たり前に生きているひとりの男なのだと、そしてあいつとの交渉はつまりセックスに過ぎないのだと、そういうことにしてしまいたい誘惑に駆られる。そうしてしまえば、これら .... 闇にはいろいろな色があるのだと
幼稚園児だったわたしに
教えたのはあいつだが
あいつの言い分が
嘘っぱちだと気づいたのは
迂闊にも
二十歳すぎてからだった

あいつは今夜も黒で装ってい ....
星ふたつ、よっつ、
あるいは星がひとつもなくて、
真っ赤、真っ黒、真っ黄色。
みんな、ナミテントウ。

落ち葉の下に集まって
身を寄せあって。
風、さむいね。
さむいから、みんなでいよ ....
佐々宝砂(882)
タイトル カテゴリ Point 日付
聖夜のためのディミニッシュ・コード、失敗作ヴァリアント未詩・独白1*03/12/21 1:42
青い花自由詩4*03/12/21 0:36
千鳥ならざる者の歌自由詩2*03/12/20 23:47
きら片靴を自由詩2*03/12/19 17:51
りりと☆のことばあそびうた、また自由詩5*03/12/19 17:29
森のうた自由詩303/12/19 17:20
ゆうこく[group]自由詩7+*03/12/17 4:09
土塊に擬す自由詩203/12/16 20:25
都道府県リメリックス 北海道東北編自由詩2*03/12/16 20:09
ヤコブの梯子[group]自由詩203/12/16 0:02
ついの宿りは自由詩503/12/12 20:35
ききみみ図書館[group]自由詩403/12/10 5:05
うみろば風信[group]自由詩5*03/12/10 5:04
春咲ねこのて[group]自由詩5*03/12/10 5:03
名付けについて(二流詩人7つの条件補遺2)散文(批評 ...303/12/10 4:10
名乗りについて(二流詩人7つの条件補遺1)散文(批評 ...403/12/10 1:41
二流詩人7つの条件散文(批評 ...30*03/12/9 3:18
五十音頭韻ポエムさ〜そ[group]自由詩6*03/12/7 6:06
りりと☆のことばあそびうた自由詩7*03/12/6 2:10
贅澤品自由詩103/12/6 2:04
「日本文学盛衰史」書評散文(批評 ...4*03/12/5 17:56
贋者アリスの洞窟の冒険自由詩203/12/5 0:41
小詩集「マルメロジャムをもう一瓶」[group]自由詩18*03/12/3 16:59
五十音頭韻ポエムか〜こ[group]自由詩3*03/12/3 3:36
五十音頭韻ポエムあ〜お[group]自由詩3*03/12/3 3:34
三木卓『わが青春の詩人たち』書評散文(批評 ...403/12/3 2:26
寒紅[group]俳句103/12/2 5:50
あいつとわたし その3自由詩203/12/2 3:37
あいつとわたし その2自由詩003/12/2 2:23
ナミテントウ(百蟲譜13)[group]自由詩203/12/2 0:37

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