これから結婚について書きます。
その前に男性側の視点であることを前提としなければなりません。
何故なら私が男だからです。
女性側からの視点で書くことも不可能ではありません。
 ....
 
 
亀のレストランに入った
亀たちが食事を楽しんでいた
メニューにあった
「亀肉のソテー○○○風」
(○○○が何であったかは失念)
を注文した
料理名の下には
不慮の事故で死んだ ....
 
 
掌に雨が降る
小さな水溜りができて
魚たちが泳ぎ始める

両方の手で精一杯の
くぼみをつくる
それでも水や魚は
溢れ出してしまう

途方に暮れているうちに
いつしか雨は ....
 
 
おでんの中を艦船が航行する
デッキから若い水兵が
手を振ってくれる

大根とはんぺんが好き
牛スジは入れる習慣がない
ガンモは好んで食べないが
無ければ無いで淋しい

こ ....
 
 
道路を丸めて食べる
どうしたら草の音みたいに
生きることができるのだろう
 
曲った色鉛筆
間違えないように覚えた言葉
値札の無い指の軌跡
並べることばかり
いつの間にか上 ....
 
 
長いものに巻かれている
とても柔らかな
マシュマロに腰を掛けて

呼吸に合わせて
長いものが少しうねる
今まで大切な人と
大切なお話をしていたはずなのに
もう残りものの空し ....
 
 
整形外科で溺れた
子どもの頃から登り棒は得意だった
誰よりも早く天辺に登れる自信があった
それなのに整形外科で溺れてしまった
むしろ言葉の綾、
と言った方が正確なようにも思えるけ ....
 
 
売店で夕刊を買った
読むこともなく畳んで
テーブルの上に置いた
翌日から連泊の出張だった
帰ると夕刊はまだ同じ場所で
同じ格好をしていた
古新聞の上に積んだ
年を重ねるごとに ....
 
 
鉄条網を飲み込んだまま
息絶えたヘビ
懐かしいものはもう
手の甲に残る夏だけで構わない
「なつかしいなつ」
を逆さに読んでも
「なつかしいなつ」
になる
そんなはずもないの ....
 
 
スズメガの成虫が
ハマユウの蜜を吸う
どうして今日は草の上に
何もないのだろ
夏の薄暗い陽光の中
発酵する像
そして
沈黙を貫く耳、瓦礫に
 
 
 
 
町の公民館に移動映画館が来た
視聴覚室の小さなスクリーンと
パイプ椅子で上映された
打算的な男と女の物語だった
適当なところで事件が発生し
男も女もよく舌打ちをした
飽きてし ....
 
 
会社の電話が鳴る
受話器を取ると
雨音だけが聞こえる
すぐに父親からだとわかる
何の前触れもなく
そして何も話さないから
電話の時は昔からそう
ずっとそう

受話器から漏 ....
 
 
列車も停まらないような
ホームの一番端でひとり
ご飯を食べている
ちゃぶ台は誰かが置いていってくれた
多分、親切な人なのだと思う

納豆や根菜類の煮物など
好きなおかずを並べ ....
 
 
目が覚めるとわたしは突然
車掌さんになっていて
最後尾の車掌室にいる
夢の続きだろうか、と思い
頬っぺたをつねろうとするのに
指が見つからない
車掌さんなんてしたことなどないく ....
 
 
言葉に無いタクシーがいて
瞬きが出来ずに泣くきみがいて
ゆっくりとした雲が転がっている
 
優しい音のするヒトデがいて
何でもないイソギンチャクがいて
その間をどこまでも白線が ....
 
 
隙間なく敷き詰められた
ピアノたち
風が吹くと波状になる
泡として消えていく
音という音
装丁された楽譜は
わたしたちの情けない嘘
落葉と同じ速度で動く
メトロノームの側か ....
掌に観覧車
小さなゴンドラを覗くと
四人の家族が納まっている
父も母もまだ若かった
兄も私もまだ幼かった
それがまるで
ずっと続くかのように
ポケットに観覧車をしまう
思い ....
  

自分の手を差し出し
握り返してきたのがタコの手である
という笑い話もあるけれど
もっと簡単に見分ける方法がある
タコに書初めをさせてみればよい
筆を持った部位が手のような気持ちに ....
 
 
冷蔵庫の中から
ぼそ、ぼそ、と
人の呟きが聞こえてきた
扉を開ける
男の人が一人で
魚卵の粒を数えていた
時々、合わない、と言って
また一から数え始める
冷気と暗闇の中で
 ....
 
 
メニューに自分の名前があった
注文すると
同姓同名の別人が出てきた
別人はテーブルに金属製の皿を載せ
上手にその上に座った
目の中を大小の生物が泳ぎ
両耳から波音が漏れてく ....
 
 
コスモス畑の真ん中に
宝くじ売場ができた
カンガルーたちが並んで
順番待ちをしていた
くじを受け取ると
珍しそうに数字を眺めて
皆、帰って行った
大空を飛ぶことなど
すっか ....
 
 
一番星、と空を指差したきみ
その方向を見て
ほんとうだ、と言ったぼく

でもね、あれは嘘だったんだ
見つけられなかったんだよ
だって眼鏡の度が進んでいて
きみの指先を探すだけ ....
 
 
石化する
柔らかな石
心電図の
波形の谷間が
わたしたちの眠るところ
わたしたちの見聞きするところ
わたしたちの対話するところ

/年の瀬も差し迫ったふとしたある日
 一 ....
 
 
指先に砂漠の跡
そして爪という爪、
陽炎に揺らめく廃屋の一群
排水溝を清掃する団体職員、
その煤けた
人は物だから
光に影をつくる
坂上、とだけ書かれた表示板の下に
肉も無 ....
 
 
酢を飲んで 改札口で 待っている


汽車に乗り 行ってみたいな 試着室


犬走る 急行列車を 追いかけて


急行の 窓から見たら 走る犬


試着室 あなたの ....
 
 
無人のブランコが揺れる
温かくても冷たくても
風はいつもものを動かそうとする
ジャングルジムの天辺に登れた人が
みんなから尊敬されていた時もあった
そんなに昔のことではないけれど ....
 
 
蛇口をひねると
小さな雲が出てきました
まだ水を作っている途中でした
水道管の中から
作業中の囁きが聞こえてきます
小さな雲は部屋の中を
ふわふわ移動すると
一滴の雨を降らせ ....
 
 
青い空でした
どこまでも澄んでいました
こちらの方が戸惑うくらいに
名前がありませんでした
形がありませんでした
ありがとう、も
言うことができませんでした
ごめんなさい、と ....
 
 
真水で栞を作っています
本がすっかり乾いてしまったから
水に住む生き物や底に沈む石ころが
あれば良かったのですが
誰に許しを得れば良いのかわからないので
最初から無理な話でした
 ....
 
 
すべての子どもたちが夢や
夢とは違うものを見ている頃
誰もいない教室では
白墨が生徒の名前を
一人一人板書している

名前の下に記されているのは
その生徒にあった今日の出来事 ....
たもつ(1742)
タイトル カテゴリ Point 日付
結婚について自由詩2411/2/16 19:41
○○○風自由詩411/2/14 22:30
水溜り自由詩611/2/12 22:28
帰還自由詩711/2/11 16:48
手渡し自由詩1711/2/6 14:22
戸惑い自由詩511/2/5 10:05
エラ呼吸の仕組み自由詩311/2/2 18:44
ラブソング自由詩411/2/1 18:14
懐かしい夏自由詩211/1/29 20:13
ハマユウ自由詩211/1/28 18:56
舌打ち自由詩511/1/27 23:14
受話器の雨自由詩1011/1/25 22:03
お代り自由詩2011/1/23 21:55
車掌さん自由詩511/1/18 5:47
ルール自由詩511/1/16 14:53
船出自由詩511/1/14 22:54
掌観覧車自由詩6+11/1/9 18:16
タコの手自由詩711/1/8 11:19
呟きの夏自由詩311/1/7 6:55
別人の波音自由詩511/1/5 19:15
カンガルーの数字自由詩411/1/4 22:29
指先自由詩411/1/3 19:39
引越し自由詩710/12/31 6:26
風葬自由詩310/12/29 18:41
「本日の五七五」より その二川柳510/12/27 19:40
クリスマス自由詩5*10/12/25 22:10
童話(雲)[group]自由詩610/12/24 13:14
童話(空)[group]自由詩710/12/23 6:21
童話(栞)[group]自由詩410/12/21 20:16
教室というところ自由詩610/12/20 21:52

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