低いベッド 
壊れた水平線を 
修復する 
年老いた水夫 
子どもたちは 
遊びまわる 
紐状のもので 
いたるところで 
フェンスの中に 
迷い込んだ 
夏の蟻が 
 ....
 
 
空の化石を
定規で測る
本棚に
古い指紋
人がいた
人はいた
肩幅の広さに
干されたままの
下着類
飲み物のない
簡単な食事を
フォークで
唇に運ぶ
言葉への失 ....
 
 
熱帯植物園の温室に
雪が降り積もる
さっきまで君と話をしていた
多分、話をしていた
メリーゴーランドの馬たちが
干し草を食む
クジラが次のバス停を目指して
暗い海を航行する
 ....
 
 
レジの長い列に並ぶ
列は進んでいるのに
なかなか順番は回ってこない
季節はいつしかすっかり秋となり
半袖のTシャツでは
肌寒く感じるようになった
小腹も空いた
トイレにも行き ....
縄跳びの途中で
砂を買いに行った母が
未明、父の心の中で
発見された



ベッドを買うのに
十円足りない
だから今夜も
寝られない



夏なのに
シチューの話 ....
わたしの雨は
昨日すべて
降ってしまいました
あんなにたくさん
両腕に抱えていたのに
傘が眠っています
夜明けの寂しい
コンクリートのように
 
 
鬼ごっこをしているうちに
本物の鬼になっていました
友達は逃げ回っている間に
立派な大人になり
一人また一人と
遊びから抜けていきました
夜は水槽の魚に
言葉を教えて過ごしま ....
 W.K.六回目です。たまにはさらりと本文に入りましょう。いえ、べつにどろりと入ってもいいんですけどね。ぐだぐだと最初に書かずに行こうということです。いっそのことそちらの方が潔い、という趣がそこかしこ ....  
 
窓を開けて
春の風が入ってきて
ピアノの鍵盤ひとつ
押して消えてく

そんな嘘のような
ことがあったなら
それはきっと君の
優しさのせい

窓を開けて
流れ星が入って ....
 
 
あの日、きみと
秘密の場所に埋めた
玩具のクハ103は
地下鉄になって
今ごろどの辺りを
走っているのだろう
お腹の弱いきみと
意気地なしのぼく
二人を乗せたままで
 
 ....
 
 
夕食の支度をする
そう言って彼女は
地下鉄に乗り込み
買い物に出かける

何となく僕は
ビールが飲みたくて
反対のホームから
地下鉄に乗る

笑っている人
泣いている ....
 
 
僕の自転車が
僕から離れて
砂漠を横断する
暑くないように
ハンドルに括りつけておいた
涼しい模様の日傘を
ボロボロにして
それでも自転車は
たった一台で
砂漠を横断し続 ....
 
 
選手もいない
観客もいない
ただマウンドの上に
白く滑らかな豆腐だけがあって
時折吹く風に
ふるふるとしている
気がつくといつも
そんな球場を眺めている

 
 
 
 
台所に行くと小さな深海がある
水圧で食器洗浄機が潰れている
よくあることだね
きみが見たこともない魚を
きれいに包丁でさばいている
時々あることだね
たまにあることだね
 
 ....
 
 
カマキリ会社のカマキリ社長は
用件が済むと電話を切る
鎌で電話のコードを切る
以下、カマキリ専務、カマキリ部長、
カマキリ課長、カマキリ平社員
みんな電話のコードを切る
だから ....
 
 
月のきれいな公園で
偽物の手品師が
偽物の練習をする
隣のブランコでは
飼い猫が眠っている
昔から偽物だから
何も出せないし
何も消せない
しかも猫すら
なついてくれな ....
 
 
外付けの階段で子供たちが
ナフタリン遊びをしている
前の道路を走って行った腰痛のバスは
小さな水たまりの側
もの静かなバッタになる
このアパートには冷蔵庫の幽霊が出る
隣室の人 ....
 
 
ホタル、採れたよ
光の点滅する虫かごを掲げて
妻と娘が遠くから走ってくる
遅かったじゃないか、心配したんだぞ
そう言って犬と駆け寄る
月明かりの下
家族で手を取り合う
(犬は ....
 
 
フェンスがどこまでも
長く続いている夏
午後、知らない所で
知っている人は逝った
乗客も乗務員も置いて
青い列車は海に向かって出発する
座席には誰かが忘れていった
大人用の眼 ....
 
 
ヒグラシが鳴き始めた
雨は降ったり、降らなかったり
時々、知らなかったり
 
フラスコ売りの兄は
すべてのキャベツを刻み終えると
沈まない潜水艦に乗って
埼玉に帰っていった
 ....
 W.K.第五回。もう、粛々といきます。もう。牛。今回は趣向を変えて、サックスプレイヤーのポール・デスモンドについて語ります。といっても、そんなにJAZZに詳しくわけではありません。ブルー・ノート、何 ....  
 
深夜、小さな
発車ベルが鳴って
ジェット・コースターは
動き出す
大きな音をたてずに
ゆっくりと
星と星の間を落下する
乗っている人を
起こさないように
幸せな夢を
壊 ....
 
 
テレビで野球中継を見ていると
ボールを渡される
九回裏ツーアウト・スリーボール・ツーストライク
最後の一球を投げるのがぼくの役目らしい
キャッチャーの構えたところに渾身の直球を投げ ....
 
 
縄跳び遊びをしていると
友だちの山村さんがやってきて
それ、ヘビだよ、と
声をあげて笑う
よく見るとわたしの握っているのは
ヘビの頭と尻尾
地面に何度も打ちつけられたヘビは
 ....
 しかし、W.K.も四回目を迎えました。
 と、唐突に書き出しますか、という感じの四回目です。不評ですが、続けます。前回の「細々と」からさらに下方修正してみます。
 さて、今回は少し趣向を変えまし ....
 
 
潮風が吹くだけの頁がある
そこまで読むと
少年はいつも眠くなってしまう
少しずつ部屋に隙間ができる
西日とともに
明日、と呼ばれる不安が
部屋を満たし始める
ハエが小さな声で ....
 
 
壊れたヤドカリが階段を上る
その先には二階があるだけなのに
暑いと感じる人は、暑い、と言う
今日という退屈な一日
下駄屋のおじいさんが亡くなった
母を斎場まで車で送った
一時間 ....
 ということで、W.K.も回を重ねて三回目になります。前回、「好評につき」という枕詞をつけましたが、今回は「細々と続く」という枕詞に若干下方修正させていただきます。
 それでは細々と続くW.K.の三 ....
 
 
どこかで小型犬が吠えている
真夏なのに帽子を被った女性の人が
オレンジ色の自動車を運転している
ガソリンは昨日より一リットルあたり二円安い
空は曇っている、天気予報士がしゃべったと ....
 
 
キャッチャーがサインを出す
マウンドでは扇風機が首を振っている
サインを変える
それでも扇風機は首を振る
そうしているうちに
野手も打者も応援団も実況席も
夏の暑さに溶けていく ....
たもつ(1691)
タイトル カテゴリ Point 日付
不定自由詩311/10/6 19:06
部屋の空気自由詩1011/10/4 19:25
話をしていた自由詩611/10/3 19:21
レジに並ぶと自由詩611/10/2 18:48
あるひ、あるとき自由詩211/10/1 17:26
童話(雨)[group]自由詩411/9/28 19:27
童話(鬼ごっこ)[group]自由詩811/9/27 18:39
W.K.第六回「宇多田ヒカル『ULTRA BLUE』〜青空に ...散文(批評 ...1*11/9/26 19:37
春の風、流れ星自由詩611/9/24 19:12
地下鉄に乗って自由詩511/9/23 17:54
自由詩311/9/19 18:30
かげろう自由詩611/9/17 19:01
豆腐球場自由詩511/9/14 19:57
浮上する、朝に自由詩611/9/13 19:49
カマキリ会社の皆さん自由詩1011/9/12 21:16
月夜の偽物自由詩211/9/11 20:21
新婚自由詩111/9/10 20:30
月明かりの家族自由詩311/9/8 22:00
青い列車自由詩611/9/5 21:27
ヒグラシ自由詩311/9/4 18:55
W.K.第五回「ポール・デスモンド『ファースト・プレイス・ア ...散文(批評 ...1*11/9/3 16:56
夜行ジェット自由詩211/9/1 19:06
さよなら中継自由詩711/8/31 17:59
迷子自由詩511/8/30 18:05
W.K.第四回「低価格で買えるCD短評〜邦楽編第一弾」散文(批評 ...2*11/8/28 20:45
潮風の頁自由詩511/8/27 19:03
海の生き物自由詩311/8/25 18:04
W.K.第三回「二枚のカヴァーアルバムYO!HO!〜山崎さん ...散文(批評 ...1*11/8/24 18:16
手を繋いでいる自由詩511/8/22 17:48
真夏の戦い自由詩311/8/21 17:32

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