雨雲が宇宙を拭うと
夜は一層明るくなって
地上を照らす

俺には生憎
童話の様な
月や星まで届く手も
ブラシもないので
とりあえず
埃だらけの部屋の電球を磨く

少し明るくなった ....
遥けき天を流るる河よ
今宵は誰が胸の願い乗するや
想いの下流を辿らば
母の背より浮かべし
銀紙の小船
現在は何処の星の海
星の国
星の里

静けき闇に輝く河よ
今宵は誰が夢照らせし ....
文月を何触ること無く過ごせれど
何をか踏まずに過ごせざりけり
半月の間に二度の葬儀あり一人は身内一人は知り合い

葬礼の献花を貰い帰った日花瓶にはまだ先日の献花

二度の香二辺の念仏沁みたまま一張羅の喪服洗濯屋に出す

念仏も御香も花も間に合わぬ世界 ....
皆が悲しい時
感情が感情に嘘を付かせる時がある
「私は大丈夫だから」と言わせる
「そちらを先に」と言わせる
高齢者も子供も男も女も
誰もがそれが誠の嘘だと分かっていて
そして世界で一番短い ....
板前も厨房もなき休校舎漁師の包丁上手あり

剣豪も抜けば珠散る名刀も大根菜っ葉に歯が立たず

安物の包丁なれど大根の百や二百は活かして錆びよう

包丁を一度持たば芋ひとつ胡瓜一本真剣勝負
 ....
小さな傷には小さなばんそうこうを
大きな傷には大きなばんそうこうを
深い傷には情けないほど無力だけれど
ポケットに入れておいても邪魔にはならないはずさ
自分に使ってもいいさ
誰かにあげてもい ....
親しめばいつか尾を振り向こうからここ掘れわんわん言って来るかなあ

あれこれとやな事ばかり指図してよき関係の育つ筈無く

深々と眉間に皺寄せ近づけば何事やろかと尻尾潜める

立ち座り人の服 ....
一貫痩せて
憂う人無く

一貫肥へて
憂う人も無く

ああ私は

月になりたい
咲いた花実は何もしなくても
雨に風に歳月にいつかは落とされる
枝も木も
どんなに立派で大きくても
終わりは来てしまう

そんな世界にせっかく頑張って立っているものを
そんなに無下に揺すり ....
私は酒が飲めない
飲めないから酒に酔ったことが無い
酔ってくだを巻いたことが無い
だから酔わずに文句を言う他ない
だがほとんどが
酔わずには言えない文句ばかりだ
私はあきらめる
それでも ....
興らくの人々の
あやうきあしどり
法うながせば
宴はいとさみしくなりそうらう

さりとて
お膳をこさへるかたまでも
ようたら御酒もすすまず
歌を詠む御方までようたなら
せつかくの
 ....
{ルビ鰭=ひれ}

少ないということは
時に惨めなことだ
僅かということも
なんだかみすぼらしくて
心細い

単純ということは
なんにも飾りようがなく
寂しいことで
易しいという ....
興醒めした夜のひび割れから
奴の鎮魂歌が聞こえる
よせやい
まだ早いぜ

ただ夜に紛れて
お前の様に美しく拗ねて見たかっただけさ

世間の事なんか何も知っちゃいないで
独り口笛吹いて ....
朝も夜も
頭に思い浮かぶのは
ただひとつ

あのこの
おっぱい

何よりも柔らかく
何よりも近寄りがたい
そのふくらみが

すべての悩みをぶっとばす
すべての望みもぶっとばす
 ....
忘れようとするほどに
溢れてしまう貴方を
きつく胸の底に収めて
ただ昔の思い出として
そのシフォンケーキのような重みと
和らぎだけを感じながら生きていこうとしても

「今も愛している」
 ....
おい、野郎どもよ
いつまでそんな狭い小島で遊んでやがる
五歳を越えたんなら
さっさとママのおっぱいから錨をあげな
人生なんてなよお
メダカのちんちんよりみじけえんだぜ
そんな小島はとっとと ....
夕暮れの
お台所の とこで
弟の
ゆうちゃん が

ぼくのママのおっぱい、
のんでいたよ

おっぱい
ぼくのおっぱい
おいしそうに のんでいたよ

ゆうちゃん
もうはなれてよ ....
仏壇の奥から
じいちゃんの入れ歯が出てきた
まるで貝のようにぴったり重ねてあって
今にも「がははは」とじいちゃんの声で笑い出しそうだ
でもじいちゃんは小さい時の僕を
よくこの入れ歯でびびらせ ....
寒さに縮こまったその尻尾を
エイトビートでおっ立てたら
部屋でゴム毬追いかけている奴等なんかよそ目に
始めようぜ
春の陽気の中でも
真夏の渇きの中でも忘れはしなかった
狼達のロックンロール ....
「金子みすず」という詩人さんを
皆さんご存知だろうか
私はそれほどご存知ではないですが
尊敬している詩人さんです、
彼女の事をはじめて知ったのは五年ぐらいまえで
それでもその詩についてちゃん ....
ふと考えてみると
最近自分の畑が石ころと草だらけで、何も収穫できない所になっていた、
そりゃそうだ、
近所にはスーパーにコンビニに産地直送市場まで何だってあって、
ちょっとこまめに足を運べば
 ....
猫のミーが
窓から初雪を見ている
たんぽぽの綿毛よりも
静かで美しいそれは
いつか別れた母親の
しっぽの色だった


ミー
君の耳も
同じ色をしているよ
僕らには何らかの足と
時間があるのに

階段はいつも
非常口の奥で
しんとしている



「何階ですか?」

機械のゆみこが訪ねると

「トナカイです」と

どこか遠くか ....
茶釜(24)
タイトル カテゴリ Point 日付
地上の星座自由詩215/7/14 19:59
天の河自由詩015/7/6 18:06
ahiṃsā自由詩013/7/9 23:12
短歌2*11/4/10 22:38
うた自由詩211/3/22 12:21
短歌111/3/19 13:39
自由詩4*11/3/18 9:27
言の葉短歌110/7/21 17:22
自由詩010/6/17 21:14
月風鳥花人自由詩1*09/5/10 18:40
下戸自由詩209/4/3 20:23
自由詩008/11/6 20:35
自由詩108/9/17 21:27
sax自由詩108/1/29 19:00
おっぱいⅣ自由詩208/1/13 22:43
おっぱいⅢ自由詩107/6/17 12:57
おっぱいⅡ自由詩107/6/9 20:02
おっぱいⅠ自由詩107/6/7 20:45
入れ歯自由詩3*07/1/15 18:51
howling自由詩007/1/14 17:48
敗北宣言散文(批評 ...1*07/1/9 17:03
ネロウルフの誓い散文(批評 ...1*07/1/6 19:37
「白雪」 冬の童話より自由詩11*05/12/15 0:14
世界機械[group]自由詩405/12/11 22:11

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