自分というだめなものを持ち上げて
よいしょっと背負えるようになりたい
それができず
自分を引きずっている毎日
自分にがっかりし
がっかりしたくないがため
投げやりになる
日々
....
{引用=或いは小噺『洗顔異譚』}
「顔を洗って出直して来い!」って言われたんで
顔を洗ったら顔がとれちまってね
仕方がないからそのまんま取って返すと
....
ぼくらがその時住んでいたアパートは二階建てで、二階のちょうど真ん中の部屋がぼくらの住処だった。
深夜一時半、月が白々と全てを明るく照らし出している夜の中へ、ぼくはひっそりと出ていくことにした。
....
{引用=信じられないことがある
それは一つの、収束}
帰ってきて皿を洗って、シャワーを浴びる。それからごみ捨てをして(妻にはいつもシャワー前にごみ捨てをしろといわれたが、どうにも守れない)、雑 ....
{引用=*《明科》
{ルビ山間=やまあい}にある明科という名の小さな駅から、ぼくは下りの電車に乗った。よく知っている場所のよく知らない駅だった。それは梅雨入り前のこと ....
反射したい
反射でありたい
思考という
関所はいらない
星間物質という
まどろこしさはいらない
隣合う惑星系と惑星系
へリオポーズすら無用
即でありたい
相即不離
なか ....
親しみを覚えるのはノリに乗った文章ではない。
ところどころ覚束無い感じの消しゴムで消した跡が今にも見えてきそうな文章がいい。
ためらいがちで、口下手で、それでいて丹念な性格が見て取れるよう ....
流れてきたものを
流れていくままに
コンビニのfreeWiFiに仮登録して
電波具合の良い右から2番目の駐車スペースで
病んだ獣のように
無料アダルト動画をダウンロードしまくる
....
死にたいとググッたらこころの健康相談ダイヤルの番号が表示された
生きたいとググッてみたところ同じくこころの健康相談ダイヤルの番号が表示された
すこし元気が出た
なんのひかりもありません
しにたいです
けど
ひかりがないことと
しにたいことが
つながるのは
おかしいですね
わたしのこしらえきた
なにかは
たんらくてきに
どこまでも
まちが ....
営農センターの方から多くの桃が北側の倉庫に運ばれて来ていた。
フォークリフトの爪が木製のパレットに引っ掛かかる時に出す苦しげな音が梅雨明けの北信地方に反響し、鉄で出来た{ルビ軌条=レール}のような態 ....
与えてそして奪った
傷だらけだよ
もう
もうだめだよ
でも
あなたの方が
苦しいんだ
そうなんだよ
あなたの張りつめた姿
そのまつ毛
見てられないよ
ぼくは単純で
おまけに ....
ただ一つの言葉を言えないばかりに
君は長い長い詩を書く
ただ一つの言葉
それを君は覚えているかい?
君は君が詩を書く動機を
まだ覚えているかい?
君は詩を書くことで
気を紛らわす苦しみか ....
ぼくががんばればいいだけなら
さみしさをこらえて やる よ
やる といったのだからそのことばでもって
ぼくをしばりつけてくれればいいさ
せんそうやさいがいではないんだ
にちじょうのなか ....
誰かとあって
そのひとも
いつかは死んでしまって
ぼくもしんでしまって
でもぼくがしんだら
もう誰も死ねないね
だからごめん
花の首飾りがしたい
空はぽかんとあいた人間で
世 ....
おだやかな
初夏の朝
気持ちのイイ空気を吸って
ぢめんにコインを並べる人たちが話し合っている
地球のほうはどうですか?
ところで、さざなみ、という言葉はいいですな
もしもし
あ。 ....
その歳若い上司は、ぼくどころか妻よりもずっと若く、なんとその若さで現場のチーフを仰せつかっているとの事だった。
妻はつねづね、その上司が、制服の上から胸や腹のあたりを無造作にガリガリと掻きむしるのが ....
物音と話し声を聞いたとき、ぼくは布団の中いた。
ぼくは、しばらくじっとして、できるだけ注意深く外に耳を済ませることにした。
空耳ではないはずだった。
たしかに、微かな話し声と、横たえられ ....
どうか
この手が
だれかを
たたいたり
せずに
ありますように
どうか
この脚が
届けものを
とどけ
続け
られますように
どうか
この瞳が
まっすぐで
逸らされ ....
法則
{引用=山で
イノシシとリスが
談笑している
団栗と
木の実は
こっそりと交換される}
航海
{引用=海は平面を
船乗りに諭しつづける
地球の丸み ....
ぶっこわれたたなごころ
ぶっこわれたたなごころ
荒くれ者の堕天使と
ふにくをくらうバクの群れ
ぶっこわれたいちじくの
ぶっこわれたがための
処女懐胎
赤く爛れたぐじゅぐじゅの ....
何もかも全然なっていないなと思う
みんな自分よりずっと立派にやっているよ
ぼくが彼らの何を知っているというのか
彼らの生活と考えと家庭事情の何を知っているというのか
ぼくは本当にこのま ....
心奪われる詩、とりわけ自由詩のそれにかんしてはだいたい数行読んだだけでピンと来て、後頭部から頭のてっぺんにかけてスッコーンと何かが抜けるものだ。
しかし、なかには例外もあり、これが不思議なところ ....
夜はいい
家人がめくる新聞紙の音
県道を走るオートバイ
二件むこうの玄関ベル
ナツメ電球のだいだい色
夜はいい
電気の下のアイロン台
扇風機の弱
並んだい草のスリッパ
蚊 ....
けっきょく
弱い人 なんだ
つっく づく
弱い人 なんだ
最後はやっぱり
弱い人 が
すごイんだ
そうなんだ
愛 なんだ
{引用=V6『愛なんだ』か ....
{引用=くたびれはてたやつらが
ざくざくとわきだしてきて
としとったたいようとあくしゅをする
わたくしは
くるい
すべてをだめにしたあとで
えりをただして
あしたにあいさつへいこう}
....
20代後半の頃、ボランティアをしていた事があった。
それは人生で唯一、サンタクロースの恰好をしてジングルベルを歌うのを自分に許せた季節であり、一銭にもならない仕事の代わりに、食べきれない量のお菓 ....
{引用=「言葉にならないなら、無理しなくてもいいよ。だって海にならないからって、水は流れるのをやめる?」}
サクラソウという名前の花を買った。帰り道に食材を買いに寄ったホームセンターの見切り ....
「自殺した人、地獄にいくのかな?」
深夜2時13分。サイレントモードにしてあるスマートフォンの画面が前触れなく光を発する。
{引用=ザメハ}
その5秒後に、ぼくは反射的にこう返信して ....
{引用=地球に於ける生命の反転現象について}
そろそろ認めよう、途轍も
なく分からないのを。まず世界の根底が
分からない。そして根底に根底が
あるかも、根底
の構 ....
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