冬の{ルビ夕=}小窓を占める巨{ルビ仙人掌=さぼてん}

くれなゐに芯のゆらめく冬日かな

日記買う届けるこころ計る為

日向ぼこ猫のつもりで小半日

冬眠を宿して疎ら山の樹々
{ルビ瞑=つむ}る眼のうすさ彩る冬かがり

冬来れば{ルビ郵便函=ポスト}の赤もあかあかと

音もなく小鳥しゅんじゅん冬の梅

{ルビ初氷=はつごおり}青空のゆび爪は鷹

{ルビ朴落葉 ....
しめったそで口で
動かないまま
秋は静かにながれていった
黄色な落ち葉が
くるんと円弧を描き
たのしく自分を捨てたのがみえた
水にひたされた情念は
真鴨のかき足に
優しくほだされていた ....
大変才のある人は
まずそれの自覚ののち倫理に趨り
中盤に於いては体力を尊び
終盤に差し掛かっては冷淡な老人のステッキと化すのでしょう
しかし
そのどの地点を採っても
一々の
ウイリアム・ ....
すなおに

真っ直ぐとおち

地をすこしだけ

湿らし

消える

星の一粒

のように

なりたかった

{ルビ摘=つ}んできて悔いてももとの土の空

戸惑いがほどよくとけて音と雨

分からぬといったら分かる火の火の粉

たゆたって鯨の{ルビ背中=せな}に厭離穢土

大の字の伽藍のような太 ....
星一つ有れば無月に山の影

一輪の菊のうなじに蝶の風

薄闇にそっと放って小春虫

石一つ置いて流星待つこ宵

クレヨンに水色無くて{ルビ泪=なみだ}色

さっぱりとした塩味の森の ....
それは
樋を伝いおちる雨水でたりるのか
集まった微細な水蒸気が露として結ばれるそのことでたりるのか
全開にした蛇口から無制限に流れでる水道水でたりるのか
海の容積でたりるのか

涙 ....
遠くで
どこかで
風が吹いている

耳たぶをさわりながら
少し冷静でいよう

三つ葉のクローバーを
親指と人差し指のあいだで
やさしくしよう

生きている
だけで
何かをよご ....
個人的な事で恐縮だが、ずいぶん長いこと失読の状態が続き、もう、右も左も訳も分からずいることが多くなる近頃にあって、一つだけ読める文章がある。

その文章はたったの十五行である。岩波文庫版 柳田國男 ....
{引用=脳に落ちました

今に
至ります

そういう蛙は
手のひらの吸着力は
詩魂で濡らす
井戸の縦長は
哲理の電解質です

雷が直下型に
地球のコアへ落すれば
炭化した蛙 ....
色んなものへと
いきとどかぬ途中では
一人のできることなんて
川沿いに歩く
ことに似ている

タンポポは地面が好き
ごめん
しか知らない

訳せない生姜紅茶の味
掘り起こし
川 ....
その奥に
何をしのばせている

そこにいて
どこにいて

なにをして

どんなかんがえ

ぼくが笑えば

きみはどうする

君も笑うか

かなしいね

そして君は君 ....
「飛行士の帰還」

一輪のマーガレットを買い
空を睨む
ぐわぁーんと
敗戦
神話を書き付ける
円形に
鼠蹊に
時間機械に
リラックス・タイム
おんざ
ブラッドベリ
さよなら
 ....
すごいいい詩ばかり書いちゃって
なんか立派な賞をもらって
インタヴューまでされる夢をみてしまった
インタヴューアーは「あなたの詩を三つのワードで表すと?」とマイクをむける
ぼくはこう答えた
 ....
蝶番が何億光年か先にある大きな部屋では
たくさんのことが大変だ

想像してみて

太陽系はその部屋の住人の
鼻の穴の鼻毛のそよぎのようなもの
鼻毛を横切る彗星とアポロの夢
エウロパの謎 ....
白紙があるだけで
大半は満足だ
詩人らが挙って
製紙工場へ見学に行ったいう話を
ついぞ聞かないのは
退行現象か
『詩論』で有名なホラティウスだって
パピルス製造工場を
覗いてみたこと ....
ニュートリノを一つ買った

こないだの事もあるから
今度は慎重だ
骨董屋によくその出処をきくと
そこまでいうならと
裏から鑑定書を引っ張ってきた

ほらご覧なさい
この通り小柴先生の ....
今日19号線を松本市へ向かい走っていたら、途中三匹のタヌキの死骸と出くわした。そのうち一匹は道路の真ん中でひどい死に方をしていた。自分の身の丈の三倍はあろうかという腸を、はげしく飛び出させていたのだ .... なにも
いらない

なににも
ならない

ひじょうに肩がこる
欲得のかげは
うすい

ぜんぶの詩が
じつは
ローカロイド宝石

個人的ななにかを誤読し
あとは
愛する ....
どんどん
書けなくなる
次第に
言葉の壁が四方から迫ってくる

盗掘したわけではないのに
インディージョーンズでもあるまいし

スナイパーが潜伏しているらしい
フレーズの ....
風に栞をはさみ
手をかけると
ノブは風化していた
脳りの白亜層に
つき琴は鳴り

ゆっくりと
蝸牛のツノは
五うんの
河を
{ルビ攀=よ}じのぼる

類語字典は灼き
ふむ草の ....
躁うつ病がデフォルトの惑星の住人にもメンタルクリニックはある。という事はつまり、一人の男が気分の波の喪失に困り、とあるメンタルクリニックに足を運ぶこともあるのだ。

紫色の雨の降る、春でも夏でも秋 ....
こういう一つの思想がある

在るものはみなかいくぐり来、即今、そこここに顕現している

という思想である

砂粒一粒にも、数世代前の恒星系の残闕、それを成す要素の一々にも、億百の御霊の凋落 ....
ぼくは自分自身のふせいじつに爆弾を落としたいです。

あるいは、詩を一日三十は書いてそのうちの十を投稿してしまう発作に。

俳句も、白状しましょう。ああいうのは、読みふるしの文庫版の歳時記から ....
一つ銀河を買った
安かった
お値打ちだよと町の骨董屋が言った
どのへんのですかと尋ねたら
古いのだからずっと遠くのらしいねと答えた
持って帰って
包みをほどいて中を覗くと
赤い惑星に
 ....
「太陽の失態」午前1時

のんきな太陽が退屈のあまり海を覗いたそうな
するとパラオの海にぽちゃんとおとなしい波を落としてしまったそうな
だから大西洋はいつも時化なのだそうな


「眠りあ ....
{ルビ凩=こがらし}や袖でミラーを拭きし恋

寒風のとえにはたえや砂の色

{ルビ空風=からかぜ}の上州廻りに馬具にほふ

くらき夜の背わたごそりと{ルビ偸=ぬす}まれり

{ルビ夕凍 ....
自分は、昔からサイエンス・フィクションを愛してやまない人間であった。昨日、ある詩人の方が投稿された詩を読んでいて、忘れかけていたそんな思いが胸のうちに甦ってきた。

自分はかつて夢を見ていた。SF ....
闘いの始まりではなく
始まりの闘いが続いている

クローゼットの把手の
象徴は
クローゼットの中の死体に拠るよりも
振り返った先の
あなたの微笑に降ろす
錨かもしれない

そうやっ ....
道草次郎(650)
タイトル カテゴリ Point 日付
冬に灯す俳句1*20/11/21 22:23
愉快な冬迷路俳句020/11/21 20:11
去りゆく秋へ自由詩320/11/21 13:41
天啓と天才自由詩020/11/21 9:02
つぶやき自由詩220/11/20 22:35
逆鱗と無縫俳句2*20/11/20 22:32
比喩と幻想俳句2*20/11/20 21:33
無言の自由詩220/11/20 10:41
そこへ行きたい自由詩720/11/20 6:34
長い失読の状態について散文(批評 ...120/11/19 21:52
漁火と自愛[group]自由詩220/11/19 8:56
帰り路自由詩320/11/18 16:47
この何にもならない思い自由詩220/11/18 8:31
帰還 他自由詩2*20/11/17 12:29
エデン自由詩020/11/17 9:18
とても広い部屋[group]自由詩320/11/17 2:21
パピルスの諌言自由詩320/11/16 12:18
ニュートリノを買う自由詩120/11/16 7:32
イマジネーション散文(批評 ...320/11/15 21:42
鉱夫自由詩320/11/15 7:55
言葉の壁に挟まれる(!)自由詩120/11/14 16:50
月と名のない花自由詩220/11/14 7:02
白の惑星自由詩120/11/13 18:30
在る自由詩320/11/13 11:14
接地のための投下散文(批評 ...1*20/11/12 22:01
銀河を買う[group]自由詩1120/11/12 17:13
ふみんふーみん自由詩120/11/12 9:00
こがらしと温もり俳句2*20/11/11 21:56
苔生した遺跡群の中の「SF(サイエンス・フィクション)」散文(批評 ...5*20/11/11 20:27
海の把手自由詩220/11/11 11:13

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