あるひのいっしゅん
みどりにひかる
わたしの元素
待つ心は
次第に凍ってゆきました
次に覚めたら
乾いているでしょうか
ドライフラワーのみる夢は
草原の太陽
君の優しさ
二酸化炭素が 輪を描く
行き場を無くしたヘモグロビンは
気体の中に染みていく
静寂に響く 水の一滴が落ちる音
果ての無い霧の向こうまで
歩く人が一人 また一人
道の先の先ま ....
かんらんしゃのまどから
みたけしきをおもいだしている
ひとがありみたいにちいさくて
たてものもおもちゃみたい
ゆいいつおおきくみえたのは
あおいそらとしろいくも
お ....
心からこぼれでた糸の上を
綱渡りするように歩いています
悲しい時には右にふれ
うれしい時には左にふれる ゆれる
だれしももってる感情の
糸は夜風にゆれている
涙の分だけ重くなり
両の ....
白々とした蛍光灯
清潔な薄いグレーの床
僕の影を映し出す
ツンと香る消毒アルコール
ナースが忙しそうに動いている
『ああ、病院に居るんだな』
と思う
不安げな患者達は
診察 ....
瞼を閉じて見えるもの
それは漆黒の闇ではなくて
無限に飛び回る光の残像
この目で見た世界の景色を
逃さぬように閉じ込める
それは僕が生きた軌跡
焼き付けたら
また目を開こう
....
指先で蠢く明日の匂い
触れられないから
ぼんやりと
唯々ぼんやりと
眺めるしかできなくて
願ってみたり
祈ってみたり
いつかしたようなことを繰り返す
優しさで世界が溢れ ....
夏空を仰いでラムネを飲もう
泡とともに気分も弾ける
南風が運ぶ夏の匂い
むせかえるような命の匂い
走りだそう
この夏こそ
あの憂いの夏の分まで
禍々しくて凶暴な
熱 ....
夏の終わり
ちっと舌打ちした彼女の悪意は
秋の初めには
彼女のもとへ戻るだろう
向日葵のような少女の笑顔は
来年の桜の頃
少女のもとへ戻るだろう
悪しきの足は速く
良のもの ....
夕焼けを迎える前
乳白色に染まる空
その色がまるでホットミルク
凍える冬を終わらせるための魔法
芽吹き始めた桜
風に震えるつぼみ
その色はまるでホットミルク
長い冬を眠らせるための魔 ....
酸素と染色体を使うことで蛋白質を
透明に軟骨を青に骨を赤に染め上げる透明骨格標本。
私、これに成りたい。
人間は汚いよ
臓器も醜い
だから骨に成りたいとずっと思っていた。
透明 ....
水面は乱反射して
様々な絵を描く
現れては消え
現れては消え
複雑な世界が
泡沫であることを
教えてくれる
僕は光の悪戯で
ここにいるのかと思う
そう
次の瞬間には ....
暗い岩陰で炎々と青が光る。
一粒の青。
その青い粒は
輝きの絶頂で突然、
光るのをやめた。
残ったのは、
闇。
微かに見えるのは
黄色くぼやけたその残像。
やがてそいつは
再び輝き ....
あの日、あなたは逝ってしまったと
聞いた
ぼくはドーン・グロウの朝焼けを
小さな宝石にして
ポケットにしまった
憎しみは残り続けるかもしれない
しかし、憎しみとはなんと
陳腐 ....
揺らぐ音によって
支えられる日々
わたしは鼓膜に偶然を装って
きみに「好き」と云った
美しくなる途中に
きみは止まったままで
笑った
笑いながら「面倒だ」と云った
そういう ....
蝉の抜け殻を見つけた
希望に溢れて殻を脱いだのだろう
解放と自由の空
命懸けで恋するために
体が破けるくらい大声で
今が夏と教えてくれる
炎天下の中に響き渡る
原初からの生命 ....
あなた
あなた
あなたに会いたいのです
こんなんじゃ何処へも行けやしないのに
窓ガラスに
幼い指紋がついていた
指紋をめくると
それは昔の日記帳だった
歩道橋で終わっていた
日記の続きを書くために
歩道橋を最後まで渡り
階段を下りた
まだ小学生で
....
1時間で1万円。
それが私の値段だ。
更に言えば、それは私の裸体の値段で、『私』自身の価値ではない。外側だけの値段である。
『客』に呼ばれる部屋は、ホテルであったり、自室であったりす ....
深い息を繰り返せば
みるみるうちに
あなたへと
浸透してゆく
震える場所
昨日よりも
支配したい
こうして
わたしだけが
秘密を増やす
風がないので動けないのか
止まったままの風車が
申し訳なさそうに立っている
手のひらをめいいっぱい広げて
わずかな空気をとらえたら
小さな風が生まれた
見えない風が水田の上を走り
....
波打ち際で
寄せ返す白線を
追いかけたり逃げたり
入るつもりもなかったのに
いつの間にか裸足になって冷たくて
まくったズボンが不意の波にずぶ濡れて
そういう夏を何度も繰り返していた
....
なんて幸せな人生なんだろう
なんて素晴らしい世界なんだろう
こんなにも人々の祝福が嬉しくて
お嫁さんもお婿さんも笑っているよ
空だってこんなにも高く青く晴れ渡っているし
高速道路やダムを政治 ....
食べることが
とても楽しくて
悲しい
命を奪い続けるぼくたちに
本当の優しさなんか無いと知っのは
何時頃からだったのか
命を奪い続けるぼくらには
甘い言葉など何の役にもたたなくて ....
にんげんのいない
夏草荒れる
河原に錆びた金網の
フェンスで四角く切り取られた何もない
空き地に
忘れ去られたベンチがあって
風雨にさらされ陽に照らされて
座れば崩れてしまいそうな
そ ....
スカートの裾を直す
あなたに見えるように
恋をして恋をして恋をして、わたしに
だけど好きだって、言葉にしないで
ひとりきりの部屋パソコンですきな音楽を流す
夜も朝もようやく終わる頃になっ ....
なぜかはわからないけれど、世界はとおくにある。
朝顔の花でつくるいろ水や、
海辺でひろう角のとれたガラス、
いいにおいのする果物の皮
そういう、心地よくて意味のないものになりたかっ ....
重心をほんの少しずらせば
スローモーションに身体は傾き
世界はするりとひっくり返る
そのままで
そのままでいて
頭の上に足をつけたきみが見えるよ
わたしたちが歩く世界は
....
一億年くらい眠ろうか
きっと全てが変わっているさ
でも
きっと
ひとりぼっち
それが望んだ世界なのだろう?
鉄条網に縛られた
このくだらない日常を
全部吹き飛ばしたいのだろ ....
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