喪失の途中
とんぼ

スカートの裾を直す
あなたに見えるように
恋をして恋をして恋をして、わたしに
だけど好きだって、言葉にしないで

ひとりきりの部屋パソコンですきな音楽を流す
夜も朝もようやく終わる頃になってやっと
これもそれも全部
あなたと聴いた曲だったと気付く
たとえば夏の日にあの道で
たとえば同じ枕に頭を乗せて窓の明るくなるのを見ていたあの畳の部屋で

あなたの弱いところやずるいところを
許してしまえるほどすきで、いられなくてごめんね
あなたはすきでいてくれたのに
わたしの卑怯なところもさみしいところも
たぶん全部

わたし、あなたの視界の1番隅のところに映るように道を歩いてる
わざと何かにつまづいたふりをしたりする
時々友だちを振り返るフリをして、あなたに見えるように笑顔を
恋をして、わたしに
どうか、忘れないで
だけど気持ちを声にしないで伝えないで
熱い熱い熱い、溶けちゃう、なくなっちゃう、消えちゃう、から


自由詩 喪失の途中 Copyright とんぼ 2010-08-10 14:05:04
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