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また一つ
約束を破った
夕涼む縁側
うちわ
ねつ
におい
笑うしかないと
娘は知っている
あ、あー、あ。
ニューステージでは、悲しいこともあるよ。
雨振ればバラバラでもう元に戻せない、けれど今日、暗い夜の丸い月の射し込む光、そして負。ぼくらの足音はひどく響いて ....
雑音まじりのレコードを絵にしたら
古いテレビの画像みたいになって
鳥と葉っぱの区別がつかなくなった
川べりを歩く ゆうぐれ
右の道が途切れると
橋をわたる
左の道が終わりそうになった ....
仕事から帰ると
ぼくの部屋からは、なにもかもなくなっていた
電話台の上に電話はなく
テレビ台の上にテレビはなく
洗濯機と冷蔵庫は
黒っぽい埃の四角形だけ残し
スチールのベッドだけはなぜ ....
花を摘んだの?
群青に沈んでゆく
風の流れてゆく
窓辺で
聞かれて
君の後れ毛を
遠くに感じて
僕は急に
君の腕をつかんだ
とてもやさしい腕を
君は驚いてそして笑っ ....
つぎはぎの笑顔
目を閉じた笑顔
ひらくたびに変わり
ひとつ前のかたちに
重なりゆく笑顔
鳥のようなさよなら
午後の水たまりの道を飛ぶ
雲ひとつなく まばゆさもなく
....
峠には若い糸杉の木が一本生えている
すっくと立ち、
天を指差して
糸杉の木が、生えている
峠の糸杉から少し離れたところに、
朽ちかけた切り株がある
....
生きていること
朝が また 私を 駆り立て
呼吸とともに 一日が始まる
縛られていること
気持ちからは 成り立たない 行動
目頭は いつだって 乾いている
歩くということ
....
あたしの中で
水が{ルビ捩=よじ}れる
還るべき水脈を何処かに探してのことなのか
それとも単に気まぐれなのかはわからないが
あたしの中で
時折ふいに
水が捩れる
たとえばそれは
安易な ....
冷蔵庫が空と意味の境目を走る
洗濯機は今日も何かを言いそびれている
昔、電子レンジで猫を乾かそうとした人の話を
聞いたことがある
まさか自分がその当事者になろうとは
炊飯器が黙祷を始めた ....
− 素子へ、特別版 −
子供の頃は戦後のモータリゼーションが
発展し始めた時期で
うちの車は初代パブリカのデラックス
その頃は車のグレードと言った ....
春の偏西風が吹いて反芻は加速度を増す
牧場は世界との境界線を更に曖昧にする
牛飼いは牛の記憶を朗読している
元牛飼いはふと乗り換えるべき駅を間違えている
世界で最も模範的な牛に関する解 ....
今朝ひとり海に行って
砂浜でナイフを拾い
海賊になる運命を知った
ああ
そうだったのだ
これまでの人生はすべて
海賊になるための
複雑な道程だったのだ
風をいっぱいに受けた帆が ....
0
プラズマ
プリズム
スコープの内側
気を失いそうなくらいに
星空だけがキレイだった
1
キラキラと一本に光をうける溝のなかをビー玉が転がっていく
....
初夏の夜、首が痛くなるほどに
高い空を見上げて、
あれがかんむり座だよと、
いつかそう教えたのに、
あなたは忘れてしまった。
七つの星でできた王冠を、
あっさりと投げて捨て ....
遠い、遠い、記憶の中
不安で、不安で、しかたなかった
つないでいた手を
ほどかれたとき
まるで自分の一部を失ったかのように
泣きじゃくった
子供の頃
デパートのおもちゃ売 ....
忍者になりかけてから
将来が心配になったので入ったのが大学でした
ここにはもう
学者はひとにぎりしかいないみたいで
あとはみんな
商社とか出版社とかに行くようです
父が忍者だったことを思い ....
送電線の向こう端は
切れ切れの雲で
まだ
見ぬ世界とつながっていた
あの日
エレクトロプス・ロピテクス
火を燃やし
水をせき止め
私たちはつながってゆく
雷鳴の夜
カイ ....
手をつないで
深いところまで、いってしまった
引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、 ....
よく晴れた昼過ぎ
満開の桜の木陰にすいよせられて
黒い幹に{ルビ凭=もた}れ腰を下ろしていた
桜の花々は音もなく風にざわつき
ふと 辺りを見わたすと
桜の{ルビ蕾等=つぼみら} ....
夕暮れに
ひめりんごの花弁が
雪のように散ってゆき
落ちた先は
あの子の眠る
寒い土の上でした
最期の言葉も
交わさぬまま
突然
冬空へと消えた
一つきりの ....
僕らの旅は午後の教室から始まる
机の上ではまだら模様の教科書が青い空を目指し
ゆっくりと羽化している
君の強固な筆入れは中身がすべて行方知らずの風紋
象が踏んでも壊れないけど
涙の一 ....
林檎を模った硝子細工を
両手で
そぉ っと
包み込む時の
その危うさに
胸が高鳴る
硝子は非常に薄く
一枚向こうに
仄かに伝わる体温
それで曇るほどだ
一層このまま
....
星の夜には
空から銀糸が降りてくるという幻想を持って
今は亡き
あの人と、あの人と、あの人と、あの子 と
日記のような会話をします。
瞬いた先から、雫が玉のように伝わって
....
海の底の火のような
風を花を歩むとき
わたしの横をすぎるひとが
空を指しては歌いはじめる
異なる時間が沈む草地に
生まれておいで 生まれておいでと
解けのこる雪 ....
ふらふらと
さまようのか
群集よ
醒めている目を閉じて
開いている口を噤んで
ふらふらと
朝から 夕へ
夕から 夜へと
たださまようのか
群集よ
君たちはまぼろし
まぼろしの ....
だけど君は駆けていったんだ
思い出の丘を、雲の影が滑る
丘の緑はかわることなく風に揺れ、
遥か彼方に、夏の海を臨んでいる
ごらん、あの細い坂道に
僕ら ....
ふわりふわりふわたり雨よ
ゆりちゃん、さわってごらん
うわぁ、ほんとにやわらかい雨
めったに見れないけしきだよ
むこうになにがみえるかな
お店がいっぱいみえてます
なのにとってもかろや ....
今日も俺は核家族のために働く
核家族を食わさなけらばならない
路頭に迷わせてはならない
俺はいとも簡単にスマイルを作り出し
その唇の端には
いつも核家族がぶら下がってる
連休は月並 ....
細かにえぐられた容積を抱え込む椎の木立が潜熱としての意味を失う地点であてどなくさざ波は広がる。枝間からこぼれ落ちる木の葉ははじまりを告げる単音を虚空に受精させ大気がむららと熟するのを苔のように待つ。
....
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