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開かれた窓が必ずしも
空ではないとゆう君が開く
歌集の背景も部屋ではないとゆう
綱渡りな瞬間が連続している
今日は一番新しい日
みんなに会いに行こうと思ったけど
道はすべて絶たれて ....
青く揺れる影
むせかえる油絵の具
染まりゆく
ある日見た青空に、こがれて
狂人にも似た欲望で
部屋中を空への入り口に変える
たった一言交わして
すれ違うだけの人にも
私を憶えていてほしい
それは贅沢なことだろうか
食卓や墓地や廃屋にさえ
いつも人の面影があった
私の生まれは人だから
....
行ったきり帰って来ない父を待っている間に
僕は肩を壊してボールを握れなくなった
故障した肩は匂いや形が花に似ているみたいで
通りを歩いていると勘違いしたハチが集まってきて困る
その度にそよ ....
秋になったかは知らんが
満たされない月に向かって吠えます
オレンジの灰が屋上の地面を転がってゆき
本当の地上へ、ダイブ
深夜3時になりそう
明日への特急が来るなら何故に荷物をつくらないの、と ....
金色の
呼吸が
金属から
美しく
小さくても
低音が
空を秋に
高く押し上げた
公園で
ぼろを着た
青年の
胸で光る
金色の ....
膝についた土の足影
太陽で溶かした黒印
混じらない遠吠えに
砕かれる夜霧の血脈
降りていく杖の焜炉
縮んだ石からり炒り
潰した靴直して履く
立てるならまだ歩く
風のつよく吹く日には
惑星間電話で
火星に電話をかける。
受話器のむこうから伝わる
赤錆色した砂あらし。
その夢の原石のような響きに、
そっと
耳を澄ますために。
と何回唱えても
僕の鼓動は少しずつ速くなって
よくあることさ
とつぶやくと
君は翼で空をひとつたたいて
すいと方角を変えて行く
見上げれば
立 ....
肌を、エア。気づくとイラつく太陽は頂上。知らずのぼくらの、ここそこあそこを均等に、均等に照らすのでした。光、光光、だから見えるってさ。記憶って、街中に溶けて流れて固まってつまり建物とか電柱とかそういう ....
たこ焼き屋のまえで
たこ焼きが出来上がるのをじっと待っているジャリたれは
いつも実存のことばかりに頭を巡らせているので
たこ焼きくるくるするの難しい?
としつこく同じことを尋ねては
店のおば ....
どううぶつえんの檻の前で親友は盤を取り出し
飛車角落ちで良い、と言う
親友の温かい手から飛車と角を受け取り
どううぶつの檻に投げる
どううぶつは隅でうずくまったまま見向きもしない
飛 ....
手のひらが いちまい
めくられて
ぼくらの普通の暮らしを
すっきりと覆いかくす 朝ぼらけ
―大海原のかなたには
銀色の大きな秤が
沈んでいて
" ....
あたたかい あったかい それは屋根の上でかなほしのひかり ぼくは ほーほーと呼ぶよ あなたのとおい暖かみを翼はかたいし ....
余計なものはすべて捨てた
部屋にはダンボール箱が一つ
私は体を折りたたんでその中に入り
蓋を閉める
部屋には今、箱だけがある
かや かや かや
しなの ほの なき
かな かな かな
つれた つもり の そそらの はなお
ひせの くら ふき
さや さや さや
冷え切った校舎の裏
ささくれ立った言い訳をした日
嘘をつくのは単なる処世術ではなく
空気と同じなんだと信じることにした
地球は今この瞬間も律儀に回っている
無数の嘘を繋ぎ止めながら
....
「メリーゴーラウンド」 8
一生
ぐるぐる回るものが
昔から好きだった
図書館で本を読んでいて
ふと見あげた壁かけ時計から
目が ....
今日、雪が降らなかった土地に
雨が降る
今日、晴れなかった土地が
曇り
曇らなかった土地が
晴れる
起こらなかったことも起きたことであり
起きたことも起こらなかったことのなかで
....
琥珀色の部屋
細い指先が伸びれば、
全てが開放されて
あたりに充満する
あの日から
いくつもの罪を
学問と呼ぶことで
耐え忍ぶ人たちは
かろうじて名を残した
パンドーラ
あ ....
ちきゅうはまるいから ぼくらはこのほしのちゅうしんにむかってあしをのばしてあるいている そらはどこでもあおいから ぼくたちはいつでもすがすがしくいられる チャンゴやテグムやアリランやプチェチュムをしら ....
ほら
こうして
鈴をつるしたフラスコの
空気をだんだん抜いていく
鈴の音はやがて
震えるだけの記号となって
あのフラスコにわたしは
どうしても
ティンカー・ベルを入れ ....
墨の馨りで安堵する
筆の固さでしなやかという言葉を知る
半紙のムラに感嘆を覚える
文鎮の重鎮さで精進を知る
今日の午後はひとり書道の時間
山にこもる友達が
もう疲れたからって言って
キャンプ場から2、3キロ離れた場所から
ずぶぬれで降りてきた
俺の部屋で毛布をかぶり震える指で
タバコを吸うので
うまいかい?と尋ねたら
....
ありったけの小銭を持って
僕らはオークションに出かけた
実家が火事なんです
と泣きじゃくる男の人に競り勝ち
三匹のサワガニを落札した
一匹は僕が名前をつけて
一匹は彼女が名前をつけ
....
連れてこられました
真っ青な部屋です
まるで深い青空のなかを
迷う小鳥のような気分にもなれ
濃ゆ過ぎる空を切り取ったような
真っ青な部屋です
君は今ごろどうしているだろう
連れてこられま ....
赤ん坊の頬をなぜるように
水蜜桃の皮をむいていく
あなたの指が
汁にまみれて
窓から差し込む光に包まれている
甘い水が
赤ん坊の膚のような
産毛の柔らかい皮をはぐたび
したたる
した ....
驚くほど滑らかなスプーンの潜水
ぼくらは口を開けたまま黙る
ひとすくいの果物が次々と放り込まれて
租借には百や千の年月を要する
ぼくらは汚れの取れたスプーンを見るか
白猫の耳
草の下の水晶
白猫の耳
切っても切ってもひとふさだけ
長くのびる髪の毛を
目にかざし 陽にかざし
わずかに異なる小さなふるえ小さなふたえそのままで
ひ ....
陸橋の上では
なにもかも、音色だ
誰かの哀しみも
誰かの嘆きも
低く、
低く、
艶やか、に
奏でて
奏でて
陸橋の下に
五線譜、のレール
行き交う列車たちはアレグロ
速 ....
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