喫茶店が次々に店を閉じたというのに
この店だけは流行っています
屋根すらない喫茶なのです
白木蓮を囲んで 簡単な椅子が置かれています
清水から作った ささやかな飲み物があるだけの店です ....
【カタツムリの抜け殻】
実家には もう人の気配は無い
生気のない 家に行くには 迂回路しかなく
すぐそこに家はあるのに ふるい路は
家を まの当たりにしていながら ゆるやかに曲がり ....
駅のホーム
立ち食いそば屋で
かき揚げそばをすすりながら
おにぎりをほおばる
小学生の高学年
夏休みなどに入ると
私はひとりで新幹線に四時間ほど乗り
田舎に帰省していた
とても酔う ....
130314
まずはおめでとう
年度末は
がんばったねぇと
誰かが祝杯を挙げる声もして
今日も花霞の空が続く
花と空と地との境目も無くなって
夢のような ....
水を掬いましょう
ただひとつの命も救えないのなら
水を掬いましょう
掬って
飲みましょう
ただひとつの命も救えないのなら
せめて
この命だけは救いましょう
なにくそと
....
映された暗闇が
温かいのに
苦しくて
この髪この声が
のびてゆく先に
ふれたのは月光
冷たいひかりを
ひとつだけ
静かに受け止める
きっとこれが最後
いつもそう思っていた
なにかさやかなことがあると
神さまから戴いているこの世での運を
いまこそ使い果たしているんだ
と
見あげるとどうやら降りそう
雪? だといいけ ....
今年最後の
オナニーだけは
何も見ないで
済ませてみたい
あなたのことを
思い浮かべて
器具も使わず
済ませてみたい
いろんなことを
試したけれど
やっぱりあなたに
帰っ ....
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猫よ
我々には降誕祭も
盆暮れ正月だって
自身の誕生日さえ
周囲とは異なり
意味を持たない
然し
猫 ....
毎日どこかが痛い
遺言を書き直してる年の内
良い人は扱いやすさで軽んじられる
良い人は時に利用されて捨てられる
良い人はもてない分だけ深みが増す
男女交際において
良い人という呼称は決定的なダメージの象徴だが
良い人が好きだ
....
すべてのITシステムに信頼を
そんなキャッチコピーを見つめている
すすめセラミックス
そんなキャッチコピーも見つめている
疲れることがおーいーなー
そんなこころを持て余している
ウワサに ....
お友だちあつめて内閣つくるなよ
パパくれた国という名のおもちゃ箱
棚ぼたを民意と言い換えほくそ笑む
某首相尖閣諸島に島流し
変わり身のオセロを凌ぐ鮮やかさ
日銀を悪魔に渡 ....
その金曜日の午後
いつものように黄色いスクールバスから降りてきた
娘達の笑顔を確認してから
思い切り抱き締める
「ねえ、ねえ、今日学校でこれを描いたんだよ」
私の腕を振り切る勢いで バックパ ....
ポンポン雲が青空に
向かいのビルは墓標です
冬がなんぼか寒空に
墓標は死者の眼差しです
あかるい砂漠が
くらあく湿る
にんげんたちが
くらあく陰る
そうさグッバイ
ポンポン雲が青 ....
娘は
今日も一日家にいた
年を取るのは嫌だ嫌だと言いながら
母親は水ぶくれの手で
何種類ものクリームを塗ったくっている
客の食べ残しを載せた皿を今日も洗う為
にせ鰐皮のバッグは椅子の上
....
鏡の前の
リクライニングに座り
鋏を手にしたおじさんに
全てをまかせて、瞳を閉じる
ぱさ、ぱさ、と切り落とし
頭はだんだん軽くなる
ぱさ、ぱさ、と切り落とし
心はだんだ ....
とにかくむふふ・・・なのだ
なにがって
この国の選挙結果に
むふふ・・・なのだ
ほんと
アホ
だね
アホ
に
仕立てられてるね
あれだけ
痛みつけられ
嘘ばっかり
....
スカイツリーに昇った
天望回廊まで昇った
世界一の高さ
634メートルの
スカイツリー
「ムサシ」と
覚えるのだという
天望デッキの上にある
天望回 ....
手のひらを
空が ざわざわしている
手袋の上に舞い降りて
うっ、雪達は しまった まずいと むずむず
気が付いた
この肌に触れれば 飛べない水滴
水っぽい冷汗ならいいのですが
....
泣いていた心理相談受けた人
「路上で突然ですが、
果物買ってくれませんか?」
「さっきまで
そこで売っていたのですが、
少し残っちゃって」
立川駅の歩道橋の下で
前を歩いていた人に袖にされた、 ....
煩わしい些事にまみれて
退屈と馬鹿らしさのなかで
諦めと悲しみにくれる日々
それでも
煩わしさのなかに
救いがあるように
諦めのなかに
優しさがあるように
些事のなかに
....
ごちそうさまのあとに
ひとりさびしくパセリくん
ビタミンミネラル優等生のはずなのに
ワンレンボディコンお立ち台
ユーロビートトランスハウスパーティー
レイバーヒップホップアン ....
小さな花が
音も無く咲くとき
小さいなりの輝きがあるだろう
太陽は
惜しみなく笑顔を贈るだろう
私たちは
知っている
どんな花も魂をゆさぶると
小さい花は
小さいことを
....
父母の死骸が漂着した浜辺で
わたしは目を細めている
命を細めてしまった妹の責任の所在をおもいながら
眉をそっている。
この列島に
もはや窓はなく。
わたしはおうどいろの浜辺をセ ....
たずねてくれた
優しいひとに
わたし打ち明けられなかった
淋しいんです
おなか空いてます
泣きたいんです
理由わかんないけど
部屋まで毎週来てくれる
とってもあたたかなひとに
....
壁に吊されて
忘れたいことなどありはしない
色とりどりの画鋲が
それぞれの過去を留める
僕は整理できない
だから
貼っておきたいんだ
伝言板のように
メモみたいな思い出から
....
地面とじかに触れ合う春は
たった一つの落し物をした
そのたった一つの落し物が
みるみるうちに散らばっていって
こんなに豊かな花々になった
花々は凍り続ける
大気が花々を許すその日まで
....
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