君は今どこにいるのか?
深い深い海の底で
さながら交換不可能な進化の果てにいるのか?
でも君は人気者だよ
今だってセカイジュウのケンキュウシャたちが
瞳を真っ赤に染めて
君を探してる
で ....
その夜の月は
暗闇の中にぽっかりと開いた
白い穴のように
輝いておりました
私は
目を背けることができず
ただただ
見つめておりました
月は
ほんとうにまん丸で
とっかかりがありま ....
名付けたいひかりの先に
やさしいリビング・ルームがない
一握りのたましいが
あかるみに美しく滅んでいる
並んで有機物が芽吹く
動とも植とも
青とも赤ともつかないまま
....
空の曇った暗い日に
ざわめく森の木々に潜む
五月の怪しい緑の精は
幹から{ルビ朧=おぼろ}な顔を現し
無数の葉を天にひらく
わたしを囲む森に{ルビ佇=たたず}み
ベンチに ....
もう 戻れないのかもしれない
戦慄にも似た 予感
夜空を見上げると
瞬くシリウスの
見るたびに変わる青い光に
どこかが 痛くなる
目がくらむくらいに
その光が 強い
それから横 ....
真っ白な 世界に行きたい
一度だけで かまわないから
何もない ただの 白い世界に行きたい
私は 何者でもなくて
白くもなくて
黒くもなくて
中途半端なままに
エゴを 抱き続けている ....
虹色の服を着た少年が
壁をよじ登る
若い母は
きゅっ と眉をしかめ
平手で幼い尻を
幾度も叩く
( 次男坊は、黙って菓子を、食べていた )
母の隣に座らされた少 ....
解けない謎なぞ
アイシテルの知恵の輪
君は味方?
そっと耳打ちをして
二人掛けのボートに横になって
お気に入りの歌を口ずさむ
照らすのは
零時の月明かり
憂鬱からの解放
....
マグリットの絵のような
不思議な鳥が飛んでいる
私の命なんて
永遠の中のほんの一瞬
でもこの一瞬が
永遠を支えている
白い鳥が
消えていく
永遠の彼方に
ぬるり、となつのくうきが身をおおっていきます
ざわり、とふゆのくうきが一人を明確にします
あたためあうには世界は暖かすぎて、
手を離すには冷たすぎる。
つないだ手がはなせない。
ほら、出 ....
しきりに蝉が鳴く中で
曲がった坂道を
ようやく下ってゆくと
夏を渡る大きな橋がある
ふと橋から見下ろせば
ずっと下に川が流れている
手すりもないまま
幅狭くまっすぐに
ずっと続いている ....
日曜の午後
鎌倉の喫茶店で
「 詩人の肖像 」
という本を読んでいた
店内の天井から
ぴったりと静止した
サーカスのブランコのように
ぶら下がる
....
五月のあいだは
まぶしいけど
風に吹かれて
わからなかった
この六月の
乱反射する鏡の河に
吐き出した
五月のあいだは
まぶしいけど
風に ....
微動だにせず
私をのっめり
包みこむ
この体温のような 空気
体がてろてろのゴムのように伸びきって
あくびが地面にのたくる
開け放たれた こころ
ネコがゴロゴロ
この体温の ....
吹きぬける冷たい風の空高く
ひかりの鼓動は
静かにそそぐ
雪解けをあつめて川は哭いている
生まれたばかりのわたしの春に
ひとひらの可憐な花は弓使い
瞳砕けて曇りをうるむ ....
胸の中の灰色の重たるい空に
気怠く浮かぶとりどりの飴玉のような
飛行船の数を数える
数えたそばから何度でも忘れるために
恋ってこんなにも かなしい ものだった?
{引用=
? 彼
味噌っかすの子でありました
家での安らぎの場所は押入れの暗闇
たいていそこで うつらうつらと
青空と雲
黄昏の風と 夕焼け
を眺めている ....
泣いている声
穴が開いたように
暗い底から聞こえてくる
だけども姿は見えない
夜の東京
もしかしたら聞き間違いだったのではないのか
射光する物体が通り過ぎ
ネオン ....
空が横倒しになり
星が包まれるとき
そのとき私は
包丁を刻み
煉瓦で川をつくり
小麦で塔を建てるでしょう
そしてできた塔にお客をお招きし
窓際にテーブルを置いて
楽しく喧嘩する ....
ブルース聴かせて
友達がそう言ったのはいつだったろう
その夜に僕たちは並んで写真を撮った
この町を出ていくと聞いてから
僕は戸棚を漁って古いアルバムを捜しているのだが
少し ....
ポイントは、スロウ
誰かが間違ったとか、テレビが吐き出しているけれど
それが本当かどうかなんて誰にも、分からなくて
無駄なものを省いてきた、そんなつもりの生き方だけれど
結局何も捨て切れて ....
いつかそんな風の中で、
僕らは、
(僕らは、といっても、極極限られた世界の中の
回る。
くるくる回る。
その霜を吹き飛ばす?は、知覧一体の茶畑の中に{ルビ犇=ひしめ}く林立し、
....
(そこはそらのとおりみち
なもないとりがとんでいて
はながたくさんさいている
そんなゆめをみた
ゆめはずっととおくまでつづいていて
そらはすんでいてとってもきれいだった
だからきがつか ....
5
ささやきとゆめとで満たされている
乳白色の匂いが駆け巡り
スカートの裾と共に影がゆれる
したたかに群れるとりどりの手足に
手招かれるのは
おなじ匂いをさせる 少女
....
一人暮らしの アパートに
大きな箱が とどいたよ
野菜 果物 地場産品
お米 お茶っ葉 お手紙と
意味不明なる ふるさとの
町の指定ゴミ袋
でも なによりも うれしいは
....
南風に乗って、夏が
駆け込んできた
いつだったか あなたは
疑いなく寄せるそれを
レモンの光、と呼んで
指先で掬い上げて口付けをした
透明な時軸につかまって、僕は
ひとま ....
2007/05/12
テレビの中にも
イースターエッグが飾られて
西欧の春のお祭りとして
楽しげに語られていて
季節の再生の喜びで
人々は笑顔ではち切れそ ....
さあ 遠い 遠いだろう
線路がどこまでも広がってる 遥か
矛盾の地平線を越えて
此処にはもう何も走らない
ただどこかの荒れ狂った国の
少女の吐いた溜息が風葬されるだけ
視点が届かな ....
眠れない夜には手を繋いで
目覚めない朝には肩を揺すって
やさしく やさしく
エッタ カーテンの向こうをのぞいてごらん
お月さまが金色でまぶしいだろう
たくさんの星が光っているね
あした ....
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