吐き出した言葉が
気泡になって
無人のブランコを揺らす
 
目を瞑ると
魚たちが
瞼を触りにやってくる
 
部品を捨てながら
自転車は走る
ただ一つの
点になるために ....
三月まで残る雪
路傍で灰色に汚れる
事故のようにゆっくりと
とりかえしのつかないことを
ふりつもらせて
やっぱり雪が空に戻ることはなくて
溶けるか
三月まで残る雪
路傍
灰色に汚れる ....
 
奥の虫歯が痛かったので
バスに乗った
バスなんてないのに
歯なんてとっくの昔に
なくしてしまったのに

強風波浪注意報の町で
希望、という名の音楽を買った
嬉しいことが
少しだ ....

梨の花に囲まれて延びる
二車線の県道を通って
家に帰った
その時に好んで聴いていたのは
Eaglesの
hotel Californiaだった

一日をじんわりと焼いて終った夕陽が ....
少年は夢の中で
少女を追いかけて走った
他愛もない遊び
もう少しでつかまえられる
というところで目が覚める
隣では妻が寝ている
自分はこの少女の何を
つかまえることができただろう
 ....
 
 
今日、豆腐は
朝から不在だった
テレビの画面でも
新聞や本などの印刷物でも
その姿を見かけなかったし
豆腐、という言葉すら
出てくることはなかった

妻との他愛もない会話に ....
 
 
深夜、きみが
コップを割ってしまった
きみの夢の中で

思い出の品だったのだろうか
きみは泣き出して
泣き止まなかった
ぼくはきみの夢の中で
ただおろおろするばかりだった
 ....
 
 
戦場で扇風機が回る
生活が確かにあった
セミは鳴く
脊椎動物たちが
忙しく生きた夏に
 
 
 
 
 
ありがとう
そんな簡単な言葉を
忘れたまま
一応の今日がある
体積は権利
表面積は義務
肉体は続く
魂の原野
そのつきあたりまで
 
 
 
 
誰に手紙を書こうか
考えているうちに
便箋はみな鳥になって
飛んで行ってしまいました
ペンを持った私だけが
窓辺の席に座り
次の遠い春を待つ人のように
外の音を聞いたりしてい ....
進化したヤカンが
群れて空を飛ぶ

どうしてだろう
せっかく産まれてきたのに
生きることと
死ぬことばかり考えてる

大通りでタクシーを拾う
そのまま
ポケットに入れる
秒針が地球儀のようなものを一周すると、
あなたは
いたずらに、ひとりごとを歌った

残像になった月曜日を憂うよりはやく、
空は、当たり前のように青みを誘って
駆け抜けてしまった


 ....
冷却用ファンの駆動音がとても耳障りだ。
滑り込んだまま息を止めた羽虫のざわめき。
そして鼓膜に貼りついた薄笑い、
揺れる蛍光灯に磨耗していく孤独。
羽虫はまたそこに集まって、
わたしの目に、 ....
 
 
紙を飛行機にして
窓から飛ばす
しばらくして
砂漠に不時着する
近くでは
砂場と間違えて迷い込んだ男の子が
砂遊びをしている
こんなに集めたよ
振り返って
砂でいっぱいに ....
つながり続けるアールイーから



mon 16:52
「きょうはサイダーとサングリアと いろんなラムネ20錠コースです。明日やすみだからもっと盛大にいきたいところだけど、からだが重くな ....
 
 
テレビで野球中継を見ていると
ボールを渡される
九回裏ツーアウト・スリーボール・ツーストライク
最後の一球を投げるのがぼくの役目らしい
キャッチャーの構えたところに渾身の直球を投げ ....
蝶々結びをして
眠たい人は眠って
それで構わない

犬の耳を噛っても
壊れたペットボトルでは
水、そのものを
飲むことはできないのだから

交番がボンヤリと光る、今夜
月 ....
  
 
辞書を落とす
ページがめくれて
言葉が次々と
空にむかって
飛んで行ってしまう
真っ白になった辞書を抱えたまま
駅のある方へ歩く
今日話そうとしていたことは
正確な意味 ....
  余計な話ばかり
  聞いて
  喋って、
  つかれてしまったよ



  関係ない
  関係ない
  椅子と
  ブランケットをたのむよ
  飲みものはいい

 ....
 

歯を磨いた
言い訳をした
良い年をして
どちらもまだ
苦手にしている
食事をすれば
あたりまえのように
食べ物をこぼす
それでも箸の持ち方は
三年前に直した
誰も傷つける ....
{引用=







とても固い結晶が
流水よりも早く融けるのを見た

蒸発したあの人の姿は
あの人以外の誰も知らない



釣竿を垂らして
静かな時間と彼方に見 ....
{引用=





生きていくのに必要な
自分の命を数えたら、わからない
人に「1」だと教わっても
まだ、わからない
とても汚くつかってしまう


生きていくのに必要な
人 ....


小糠雨の止む
午前十時の
霧起つ街路では
弱い日光を
全身に溜めた
雨粒が
エレジーとともに
消える

無色透明の中の
一筋の色ガラス
たちの群れ

粒子のように渡 ....
しらないまちを
あるいた

しらないというだけで
まちはふるくなり
あたらしくもなっていく

しらないまちのひとにも
わかるような
ことばではなした

ほとんどつうじ ....
/AM2:00

天国って宇宙のどっかにあんのかな
と僕がたずねると
女は黙って指をさした

窓辺においたベッドから
起き直って首を曲げる
ちょうおどろいた
世界の破滅みたいに大きな ....
 
 
ゼリーでできた椅子に座る
蟻がたかる
僕はゼリーではないのに
椅子に座っているだけなのに

娘が小走りでやってくる
お薬、買って来たよ
笑いながら黄色い水薬が入った容器を見せ ....
{引用=











ぼくがはじめてきみになかだしをしたよる
ぼくのなかのぼくはほとんどしんだ





額からこぼれ落ちてくる
角を拾い集めて
 ....
 
 
パンを一口かじる
柔らかくて美味しいので
生きた心地がしない

少年が救急車の真似をして
変電所の方へと走っていく
その距離と速度の先に
助けなければならない人がいるのだ
 ....
 
 
今日、先生は優しかった
黒板に大きな
黒板の絵を描いてくれた
それから、ぼくらの名前を
ひとりひとり読み上げて
絵の黒板に
名前の絵を描いていった
校庭の先にある建物の方から ....
 
 
枕元のバス停に
バスがとまる
幽霊たちが降車してくる
薄目で見ると
いつもと同じ顔ぶれ
時々人数が違うのは
シフトなどの関係だろうか
幽霊たちは寝ているわたしに気を遣って
 ....
山中 烏流さんのおすすめリスト(1126)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夕暮れは- たもつ自由詩1213-4-7
_- 水町綜助自由詩513-3-9
さよならの町から- たもつ自由詩1212-12-22
あんな思い出のせいだろう- 飯沼ふる ...自由詩212-9-11
ボーイ・ミーツ・ガール(僕だけの)- たもつ自由詩8*12-7-17
豆腐の不在- たもつ自由詩912-6-9
思い出- たもつ自由詩1112-5-7
生活- たもつ自由詩512-4-26
age45(一応の終わり)- たもつ自由詩912-4-7
age37- たもつ自由詩812-3-30
age31- たもつ自由詩612-3-24
シーズナル・フィロソフィ- 桐原 真自由詩11*12-1-22
沈黙- ブロッコ ...自由詩3*12-1-21
不時着- たもつ自由詩811-10-16
vivid- 水町綜助自由詩911-10-10
さよなら中継- たもつ自由詩711-8-31
猫背- たもつ自由詩311-7-10
説明- たもつ自由詩611-6-25
銃声- 草野春心自由詩5*11-6-21
箸の持ち方- たもつ自由詩711-6-19
空についての四つの短編- 石田 圭 ...自由詩2311-6-13
星の家族- 石田 圭 ...自由詩1811-6-12
なみだ- 塩崎みあ ...自由詩6*11-6-2
知らない街- 小川 葉自由詩511-5-31
祈りの鐘- コーリャ自由詩911-5-12
水薬- たもつ自由詩511-4-29
Nv0iceTと罪のないアヒル- 石田 圭 ...自由詩2910-10-14
歯形- たもつ自由詩1010-9-23
黒板- たもつ自由詩910-9-15
幽霊- たもつ自由詩910-9-5

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