奇数は孤独でした
時々 胎児を宿す夢を見ました
(目覚める度に 酷く失望して)
奇数は孤独でした
時々 身体が欠ける夢を見ました
(目覚める度に 劣等感に襲われて)
奇 ....
世界内存在 投射 被投射
反復波長 残響 波線
作用点 式 了解の一致
支点 道具 肉体の延長
力点 観測 仮説の立証
球体視座に十一宇宙
純粋数学的なる幾何学 ....
違う/同じ
全ては前提条件のうえに踊る
ラグランジアンはお好きですか
aとbが群のなかで情熱的に僕を呼ぶ
彼らとは虚数にちかい関係
負にならなくたっていいのに
....
窓を開けて
春の風が入ってきて
ピアノの鍵盤ひとつ
押して消えてく
そんな嘘のような
ことがあったなら
それはきっと君の
優しさのせい
窓を開けて
流れ星が入って ....
残ったのは
氷の溶けたグラス
半分空いたボトル
そのグラスのふちあたり
ボトルの空洞のあたり
過ぎたもののかたちは
残ったのは
口づけ
残ったのは
あなた以外のすべて
....
あの日、きみと
秘密の場所に埋めた
玩具のクハ103は
地下鉄になって
今ごろどの辺りを
走っているのだろう
お腹の弱いきみと
意気地なしのぼく
二人を乗せたままで
....
秋晴れてんたかく、
静止した窓のむこう
水たまりを揺らすような声が
こだまする
静止した窓の向こう。
つらなる洗濯物の束の白(いたい)
枕にうもれた
寝顔のただしさよ
....
Dans des lumiéres de l'ancien Bordeaux tout le monde marche comme la mort.
ボルドーの光は古く死が歩く
あおいコーヒーミルが回す秋
せかいがもう
徹底的に
やさしくなっちゃって
きみを
守りたかったぼくは
傷つけるとこから
はじめた
万珠沙華に埋もれた肌の白さ
眩んだので栗の木肌に齧り付きました
露が濡らした唇から爪先の艶かしさ
喘ぐまいと墓を掘りました
落陽に照らされて香るしなやかな黒髪
乾いたので口に含み ....
アルコール漬けの脳髄が
ひとつ
秋の夕空に浮かんでいる
宇宙はこわれて
とろとろの熊になった
やわらかで許された
ひとりぼっちの熊
わたしが出会うのは
その熊の孫の孫の孫の孫
なのだけど
まだだれも知らない
とろとろの熊しかいない
....
なめくじの聞こえない歌声が家の下から聞こえる
なめくじの湿った心がぬるぬるの木屑から立ちのぼる
なめくじがゆっくりと顔をめぐらして食い物を探している
大食いなのだ この楽観論者は
金属質の ....
君の入力した行を
タイトルに
変更しますか
変更されたのは
中身ではなく
タイトルだけですか
タイトルは変更
されました 貴方ではない
誰かの
手を失った 足によ ....
空きびんのそこに
ひかりをいれるやりかた
まくらについたにおい
夜のしみついた
空きびんのそこにある
ひかりみたいに
安っぽく
安らかで
失われやすい
性質だったな
....
僕の自転車が
僕から離れて
砂漠を横断する
暑くないように
ハンドルに括りつけておいた
涼しい模様の日傘を
ボロボロにして
それでも自転車は
たった一台で
砂漠を横断し続 ....
失いながら朝がくる
おびえながら
いっぽいっぽいっぽ
支えるものなんかない
そんなことを考えるなと
君はいう
同じいっぽをだしながら
よるの
うろこぐもみて
あるいてると
およいでる
生きたい
と
おもいながら
生きていける
ようになるのは
いつだろう
あるひるさがり
わたしたちは
ひとのふりをして
おしゃべりしていたはずなのに
あなたはとつぜん
てのひらをあわせて
わたしをおがむのだった
どうかじょうぶつ
してく ....
コップへ注いだ水を飲んだら溺れてしまった
「陸で水を欲するからさ」
俎板の上の鮎が嗤う
だらだら、というよりはすらすらと、皮膚の上を汗が流れていく
視界の隅で蜘蛛が歪む
首筋が ....
死ぬって
いなくなるってことなんやね
もうあえない
あえるうちに
あいにいけばよかった
これからあたしは
何度そう思うんかな
なにがあたしをひきとめたのか
風にきく
太陽にきく
こ ....
夜が明けた。
冷酷な夜の鶏(とり)のサイレンの。
そうそれ無機質な(夜気)にひそむ
明けない呼吸
選手もいない
観客もいない
ただマウンドの上に
白く滑らかな豆腐だけがあって
時折吹く風に
ふるふるとしている
気がつくといつも
そんな球場を眺めている
それはいつもそこにあるから
しかたなくて
必死にいのちを擦りあった
てんてんと開いたあなから
すこしずつながれだして
しかたないから
必死にいのちを擦りあった
かなしくもない ....
都会はとても静かで
ちょっとかっこよくなりたくて
屋上に出たりする
前髪があるのも似合うねぇ
と友達が言ってくれた
少しずつ、変わるもの
都会はとても静かで
顔のわきっちょに ....
いすのないブランコが
かぜにゆれている
きっとあれは
おばけのブランコなのだ
ふざけてしゃがんで
ブランコのるふりしていると
かぜのこえが
こどものこえがきこえる ....
探し物をしている
今朝の気がかり
思い出せない名前
探し物をしている
ゆっくりそれでいて少し
あせりながら
だって今日がまた
終わってしまうから
見つけ出せずにいるのは
小さ ....
れいぞうこをあけると
いつかのなつの
せみのこえがきこえる
わたしは
トマトをひとつとりだし
つめたいそれにかぶりついた
れいぞうこをしめると
せみのこえはやみ
ト ....
液体で生まれる
混ざりながら/ゆっくりと凝固する
凝固したら溶ける
液体になる
蒸発する
液体で生まれる
あいということ
いきること/しぬこと
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