バラ色の土を 見たことないあたしは
その匂いを 想像してみることがある
アフリカ アフリカ
女たちよ
あなたたちの
悲しみは
あたしのと同じ?
寂しい月が光る夜
開 ....
自分が不正直であるかのように
投函したポストに手をはさまれても
心ここにあらず
無理やり服を着せられてる
かわいそうな犬が
その俺に憐憫の目を送ってきても
心ここ ....
「影絵はわたし
それはわたしの影」
二体の像に支配されて
イコンの外に出られない
むかし二人のひとがいて
街の女と里の老婆が交わって
生まれた虫が、糸を吐く
紡いだ糸が川にな ....
背くことも従うことも
いつか見た夢喰いが製る幻影
と 去就の門を依頼したのだ
止まる思考は廃墟のビルになり
留まる思考は看護士だけの病院に
固まる体は魔術師のいないカラクリの箱
弱 ....
右手で鉛筆を握れば
白紙に数多の糸が行き交う
複雑で繊細な
心の世界が姿を現す
左手で消しゴムを握ると
もつれた糸が消えてゆく
過ちも涙さえも
左手がくずに変える
右手に鉛筆を ....
願い事が叶うなら
世界中の人となんの垣根をもたず
仲良くして
友達になれたらいいなぁ
国や人種や性別や環境に関係なく
年や顔や学歴や過去の過ちなんかに関係なく
まず玄 ....
はるかあとおくうのお かぜのおむこおにい
きてきいのおおとのお
ちり〜ん
と
ゆうおじさんのリヤカーが通り過ぎる
ゆうおじさんのリヤカーには
ぽるしぇ
と書いて ....
世界が途切れる最後の日をラブホテルで過ごそうと思った
窓の光も入らない暗い暗い新宿の安ホテルで
外界全てをシャットアウトして過ごそうと思った
風呂に水を張り
白と黒の写真と真っ赤な薔薇を浮 ....
くるまのなかからみわたした日常、って
やけにへいわで
しあわせな夢を見そうになった
うたたね
微睡んでいるあいだ
あの人がくるまをすすめたぶん
訊けないことがおおくなる ....
ずっと抱えていた影は
君の光で消し飛んだ
強烈で鮮烈な光
を
君は持っている
強烈で鮮烈な光
で
新たな影を抱えたあたしは
どうやって歩いていこうか
新しい影は
光をうつしてよ ....
はちまきを締めて
タンクローリーで
液化天然ガスを運ぶ
おまえら
圧力の掛かったボンベに詰められ
おとなしく液体にされたままのガス
見栄も誇りも持たないのか
唯々諾々と頭を下げて ....
毎朝一缶のお酒を買う
ちいねえちゃんのことを思いながら
それを飲む
僕は頭のなかにいる人達を整列させる
たいていは 小さな羽アリに変身していて
ほとんどぼやけて見 ....
子供は手加減をしらない
子供は遊びたおして
それが仕事
大人になると
しがらみで
視野がしぼんでいく
北風吹く雑踏の中で
未来の心配は膨らんで行く
....
にゃんこの目
かまいたちの爪
きたきつねの背中
ぴかりと光る稲光
みんなみんなまぶしくて
なまこのまなこは目をつむる
浜から揚がったお地蔵さんは
ぐっと一息飲み干す定め
辛口の ....
「月が明るい夜は
外に出てはいけない
みどりのコートを着たコドモが
生まれる時間だから」
そう聞かされていた
街のはずれの丘は
建設工事が中止になって ....
なんでだろね
分かり切ったことを聞かれる
分かり切ったことを聞かれて
分かり切った返事をしても
なんでだろは安心しない
ひとばんじゅう
なんでだろって
うるさく呟いて
それで安心して眠 ....
インターネット・セキュリティー
ガイドブックを読む
マイクロマシンのドライバーを
インストールする
パーソナルファイアーウオールを
粉砕するマクロウィルスと
アプリケーションの追加 ....
紅い氷に
蒼い光はそそがれて
溶けては凍り
溶けては凍り
土へと向かう重なりの
まばゆい柱になってゆく
雪が召ばれ
風が召ばれる
木々は皆いっせいに
かしいではも ....
ちょっとお茶でもしようよ
マックの珈琲じゃなくて
ルノワールにでも行こう
ふかふかの椅子で
お茶でもしようよ
ちょっとだけ
時々自分自身が嫌になる
自殺したいような
誰かを殺したい ....
雨と雪の数えうた
青と金の飾りの手
かたびら かぐら
しずくのふるえ
色と色の板たちが
音の無い地に鳴り響き
しずくの上に羽を描いて
空を少しずつ明るくしてゆく
....
あんな これ かあさんの べにやねん
ところどころはえかけの ふぞろいのは
にかっと みせて
おろしたてのきものをき
しょうじょが みつおりついて ごあいさつ
しゃしんでしか
しらなか ....
僕からそう遠くないところで
少女は泣いている
時代は弱肉強食
弱き者は部屋に束縛され
いずれ病院に搬送される
僕からそう遠くないところで
少年は処理できない情熱を ....
敗者には栄光も声も無く
ただただ真っ暗な陰の中ですすり泣いて
優しく叩かれた背中を伸ばして
鼻水垂らしながら泣くしか無いって言うのか
敗者にかける言葉を探し続ける
煙草を吸っても珈琲を飲 ....
僕らは今日も一緒に歌った
だけどそれは永遠には続かない
今年はここでみんなで歌えた
来年も全員がここにいるのか
ほんとうは誰も知らないんだ
この星は汚れゆき
戦争は終わらない
歌い終 ....
ひととちがうとなじってみてはくるりとまわってぽーずをぴたり
ひととおなじとぐちってみてはするりとかわしてすまいるにかり
そういうあんたはどこにいるのとたずねてかえせばちんもくとろり
わたしは ....
黒雲にひそみ
激しく眩しく光るもの
音速を超えて空気を切り裂き
激しく低く轟くもの
決して海の中には
ひそまないもの
巨大なものを打ち消し合って
生み出すもの ....
いつのまに
我が胸に吹き込んできた
風の{ルビ女=ひと}よ
君が踏みつけられた花を見て
傘をさしたまま立ち尽くし
ひび割れた心のすき間をほの青く光らせ
雨音に{ルビ滲=にじ}む心を痛め ....
敗者にかける言葉を探している
窓ガラスの内側から
草原のような海を見渡す
波と風が
交互にやってきて
その青はどこまでも青かった
窓ガラスの内側から
光がこぼれ落ちる森の空気を吸う
鳥は人のために鳴かず
虫 ....
あなたに隠し事なんてできない
24時間私が何してるかなんて
あなたは全部お見通し
でも私にはあなたが見えない
あなたから毎晩届く手紙は
何十にも秘密の魔法がかけられていて
私はそれ ....
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