しあわせがこわい
ふしあわせのほうが
ほっとできる
しあわせをもとめているのに
ふしあわせのほうに
よりそってしまう
「わたしがすきなひとのじょうけんは
....
子猫を飼いたい
小さくて
あったかい
なんにでも
目を丸くして
追いかけて
いってしまうんだ
そんな光景を見て
ふたりで笑うんだ
日曜の朝から
早起きして
しあわせだねって
....
本当はあなたと一緒に
花壇を作りたかったのだ
ともに暮らす家だとか
肩を並べてドライブする車だとか
そういったものはどうでもよくて
ただ花壇を作って花を育てたかったのだ
だから花は好き ....
一人の少年の出現に
森はざわめき始めた
樹々に宿る精たちが
その瑞々しい肌を巡って
争うこととなる
乳房のような
臀部のような
熟した果実をふくらませ
森は目覚めに入った
....
朝が昼に
昼が夜に
夜が朝に
かわってゆくのを
空を
見つめていると
ああわかる
さかいめなんて何処にもないよ
こころもきっとおなじ
つらいこころも
かなしいこころも
み ....
女にふられたので、
嘘だと思うかもしれないが、ほんとうに、
女にふられたので、
レッド・ツェッペリン聞いて死のうと思った。
なんでレッド・ツェッペリンかとゆうと、
彼女はサイモン&ガーファン ....
きみのとなりを歩くとき
ぼくはガイコツになりたいのです
骨だらけの傘をさしかけて
あばらに雨が透ける
きみのふくよかなみみたぶに
ちらっと目をやれば
ぼくの目はがらんどうだから
ああなに ....
いくつかの知識を失くしたために
それの侵入から逃れるプログラムを
組み立てられなくなった
僕は時々あなたと話しているつもりで
言葉を発していないことがある
あなたは僕を寡黙だと思っている ....
上手に生きてゆかなくちゃ
そう毎日思いながら生きてきた
弱い振りをして後ろに隠れながら
笑顔でいれば偽物でも幸せになれるって
誰かが教えてくれたっけ
嘘も時には必要らしい
知らない ....
女にふられたので、
稚内へ行って死んできた。
稚内へは、羽田から直行便が出ている。
うすぐもりの空がまるでばけものの飛ぶ空のように広い。
ツアー客のでっかいトランクのなか、
浪人生みたいに手 ....
ちょっと調子にのっていた
そこを突かれちまった
まいったね
身体と精神がまた少し
イカレちまった
お陰で
仕事を失くしたよ
本当の正義の味方というのは
割に合わないぜ
まったく
貧 ....
容れ物のように穴のあいた胸に
こっくりと深い紅の薔薇を生けた
晒されて焼けついた
空の心を
かざりたてた
胸にあいた穴が底をうがつ時が
いづれくることを予想 ....
さなぎがさなぎを終えようとする
待ち受ける憂いの数々は
渦を巻く歓びのなかで
やわらかに
刃となる
饒舌なのぞみはいつも
逃れるすべを根絶やしにして
油彩画はただ
鱗粉にま ....
空に、鳥の滑空していく
きん、とした音が響いている
いつも何かが足りない
青いだけの視界を補うように
手のひらはいつも、上を向いている
いつも着地する景色には
逃げ出してしまう色が ....
その日
朝起きて鏡を見ると
顔が
武田鉄矢だった。
んなんですかぁ〜って
髪を掻きあげてみる
んなんですかぁ〜って
泣けてきた
女にフラ ....
その部屋のドアには
いつも鍵なんてかかってない
何を見るでも無くつけてあるテレビ
壊れかけのVHSプレーヤーの中から
半分だけ顔を出しているアダルトビデオ
埃をかぶった少し古めのDVDプ ....
空をあおいだとき
こころはすでに羽ばたいている
青空に溶け
どこまでも広がる未来を抱えて
翼をもたない、にんげんも
溜息すら零せない
その瞬間に愕然とする
どこかで満足しているのだろう
終焉を望んでいるのだから
薄ら寒い笑いに包まれて
不要たる存在としての自己
無視と嘲笑の天秤は
変わらずに揺れ動 ....
{引用=秘密と呟けば
何か呪文のようで心地良い
おんなのこ
ないしょと声に出せば
かわいらしいのに
秘密
お月様が昨日より欠けてく
ずいぶんと
欠片が順々に宿る秘密
昼間花柄が ....
もうひとつの太陽が
もうひとつの月が
何処かに隠してあるのだろうか
もう疲れたと言って
勤勉な太陽が
沖の向こうに沈む頃には
新しい曲に乗って
新しい太陽が
夕焼け雲に乗っかっ ....
想像して
君はよくそう言うけれど
実際のところ僕は、何も思い出せずにいる
海沿いの寂しい国道を夕暮れに倣って左に折れると
何もない町があるのか
君の住む町があるのか
もう、どこにも行けない ....
私は誘惑者
ひらひらと舞う薄紅の蝶
蛇のようにまとわりつき
蛭のように愛し
己の炎に身を焦し
灰になってもなお
気まぐれな風と交わる
はるか高き星を目指し
異国をさ迷い歩き
満たされ ....
昨日
お風呂の栓を外した
なぜ右に渦を巻くのか
思い出そうとしたけれど面倒なのでやめた
いろんなガラクタが勢いよく吸い込まれていった
目に見えない微生物やら希望やらもたぶん一 ....
今日は まあ
なんとなく すごして
夜には たっぷり寝て
明日 がんばることにする
というふうに
毎日を過ごしていく
にっこりしたり
ほろりと泣いたり
なんにもできないけれど
....
彼がいる。
此処彼処に彼がいるので、
落ち着いて眠れない。
彼は日暮れになると満ち満ちてくる。
丑の刻を迎える頃には、
遙か彼方まで彼で満たされる。
此 ....
群れてはいけない
支倉常長は
伊達政宗の命を受け
ガレオン船に乗り込んで
はるばるスペインに渡り
ヨーロッパを通商の旅して
ローマでは貴族に列せられ
帰国して
キリシタン禁 ....
山麓の寂しい町に
月はかうかうと照つてゐた
すべての人が
月を見たわけではないけれど
みんな
ボールを胸に抱へるやうにして
眠つてゐた
今日一日の食事を得るために
精を出して働くことは
意味のあること
今日一日の家族を養うために
無理をして働くことも
意味のあること
それらは生きてゆくための
目的なのだから
....
私が死んでも
私を壊した人達は
きっとなんとも思わない
ごめんね
ごめんね
私は毎日懸命に死のうとしているよ
いくつも戦いに出向いてきたのは
誰かが私を殺してくれるんじゃないかって
....
何の間違いか
朝にこの世に出てしまった
しかもよりよって
大都会の大きな駅の改札口にだ
どういう原理でなのかは
こっちにいる科学者たちでも
解明できていない
ともあれ
普段は生 ....
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