まどろみの中で
自由に走らせたペンが
どんな言葉を生んだのか
引き戻された現実には
何一つ確かなものは無く
書き上げたその時
心から染み出た安らぎは
今は思い出す事もない
きっ ....
あなたがいつまでも
空の切れ端と手を繋いで眠るものだから
私は枕元でやわらかい髪を撫でるしかない
頬を寄せれば懐かしい夏の匂い
あなたの瞳の色と
私の夜の海のような色はよく似ている
....
夜中にラーメンが食いたくなるってことは
生きてることなのか
どんぶりに残った千切れたラーメンを
蛆虫と思うのは
生きてることなのか
痛み、痛みは反応で
生の確認にはならない
どん ....
僕の左手には有刺鉄線が巻きついている。
それはどこにつながっているのかわからない。
目の前には壊れたフェンスがあって
入り口を思わせるかのようにそこだけ蹴破られている。
左手を動か ....
そのように、生きてみたいと願う
いつまでも二階より上の景色に臨めなくても
遠い車窓に同じ肩幅で揺れているだけだとしても
ノイズ混じりのカーラジオの表面に
透き通らない感情を混ぜている
....
肌をあわせて
肩を抱いて引き寄せて
薄暗い明かりに照らし出された
非現実なひとかたまり
粘膜の全てをすり合わせて
やっとどうにか温かい
やわらかな空間の中でやすらかに眠る
手をつないで命 ....
父は聖書を読んでいた
本屋さんの片隅の椅子に座り世間から隠れるように
家族から遠く離れていくように
哲学書の背表紙を意味もなく鳴らしながら
横目で父の姿を盗み見る
十戒を教えてくれたのは ....
何年かぶりに レトルトカレーを食べる
熱湯のなかで黙りこくる レトルトパウチ
封を切ったら 嬉しそうにカレーが飛び出した
どんどん出てくる 熱いカレー
1食分は出た そろそろ終 ....
裏通りの月は
ゆらゆらと揺れて
消える事を恐れない
表通りの月は
隠れればライトを浴びせられるから考える事を辞めた
繁華街の円卓に出された七面鳥に名前をつけていた彼女は 食べる前 ....
夜は時間や気持ちが止まるから
普段言えない様な気持ちや感覚や
そういうものが合わさって
色んな種類の欲望や、感情や
通行止めにしてしまえばいい
きみに触らないように鍵をか ....
ホカホカ鍋をつつきましょう。
自分の立ち位置も分からないのに
理論構築に躍起になっても仕方ありません。
ネギが好きなのか、ササミが好きなのか
豆腐なのか、タラなのか、はたまたうどんなのか
そ ....
町も風もかなしく震えるので、
ろうそくの火のように、
さびしいやさしさで、
生きものは尖ってゆく、
のだと思う
生きものは、
風の群れ、
消え入りそうなほど、
ほそく、とがって、
....
ブリキの玩具
軒下に
雨に晒され
色あせる
ガラスの箱に
蝶の亡骸
夜更けに嘲笑う
蝋人形
乾いた心は
痛みなどとうに感じず
窪んだ眼(まなこ)は ....
夜が更けていきますね
送電線を伝わって
ふらりふらりと麦畑を行けば
ほら
電線が囁いている
星屑をまとった天使たちが
口笛を吹きながら散歩しているんだ
軍用ブルドーザーに破壊されたガ ....
穴を ほじくってみる
宝のありかは深く 血を
流さずには とどかない
じぶんの言葉で じぶんを
否認できないやつは 信用しない
春を誘う様な陽射しを集め
自然の暖かさを肌で感じる
それは君の温もりに似ていた
珈琲の苦さが口の中一杯に広がり
小さな角砂糖を一つ落とす
真っ白なそれは黒に染まり
形がなく ....
凍てついた大地に
透きとおった花弁。
水晶の葉。
小さくて
脆い棘をもつ
花が一輪。
誰が知るのか。
それはかつて
紅い花弁をもっていた。
棘すらもその身に纏っていなかった。
....
月に侵食されて私たち
どこへ向かうというのか
森は遠く雪は深く
車道の雪は歩みを遅め
靴に沁み込む水が
僕を
惨めな気分にさせるんだ
凍りついた雪が
シ ....
自分が肉の一片に成ってしまう夢など
誰が望んでみるものですか
(けれど毎夜、私はふつりふつりと千切れていく)
私以外の誰かが望んでいるとしか思えませんね
この体たらく この ....
ネオンカラーをまきちらそう
悪い夢が覚めないのなら
そのあざやかさで視覚を刺して
あの子はバケツいっぱいの蛍光ブルーをぶちまけた
スローモーションで
白い布切れみたいなうすいドレスが
....
影法師の女の子
どこまで歩いても
水槽の底
影法師の女の子
どこまで旅しても
あたまのなか
影法師の女の子
あなたの足跡は
道にはならず
まどろみの浜辺は
うつ ....
泣いていたわけじゃない
でも泣いていると思われた
両腕に抱えきれない
沢山の華に潰された
泣いていないと否定をしても
心に生まれた
小波に揺れる
私の横顔は
濡れていた
....
心の中は決して明るくなんかないけど
サクセスストーリーはきっとここからはじまるから
準備しなくちゃって思った
何も無いからってさぼってちゃいけないし
許せないことは
バニラアイスに混ぜて ....
毎朝決まって川沿いの遊歩道を散歩している
古びた 老人ロボットと
ほとんど毎日すれ違っている女子高生ロボットの側で
ガンジールックな哲学者が行ったり来たりしながら
何やら彼にとっては
非 ....
良かった
頭ごなしに否定されて良かった
鍬を振り上げるとその先端が夕日と重なった
そして不条理と不合理とカキ氷の違いが何となく理解できるようになった
君たちの言っていることが全くわ ....
こわしたいのよ いいかげんないいつけを
ほしくずのスープなんか嘘
もう食べたくないの
ひっくり返そうよ
瞳のキラキラも
目を覚ましたらケロイドになっちゃって
そいつがうたうたうんだ 音 ....
轍に映る
音の魚
午後へ午後へ流れつき
雨のように息をめぐる
偽の季節の声があり
激しく隙間多く震え
水と風の
通り道は濃く
頬をすぎる波
くちびるの波
....
とても個人的な告白だけど
下痢が続いています
どのくらい続いているかって
正確にはわからないけど
3年くらいになるだろうか
そういえばずっと悪いなと
気付いたのは最 ....
砂漠の中のテトラポット ただ意味のない 物達が
僕の前をうろついてる、
土が無いのに花が咲いたり
水がないのに魚が泳いだり
ぽっかりと赤に浮かぶ雲がボクを見て笑ってる
”お前の常 ....
波音に耳を澄まし、東の最果てを想ふ
異国で知る祖国に手紙を書き連ね
今日も過客の群れへ夕暮れと共に埋没してゆく
隣の爺さんや婆さんはもういないかも知れない
悪餓鬼も汚らしい酒屋も、すっ ....
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