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あなただけじゃないんだよ
死ぬのは
あなただけじゃないんだよ
年を取るのは
あなただけじゃないんだよ
思い通りにいかないのは
一人で苦しむことないんだよ
クロッキー
齧りかけの林檎をはじめて描いたのは、13
歳のクロッキーで、もう、20年も前のこと。
その後、デッサン、水彩画、詩の入ったポス
ターカラー仕上げ、油絵、完成した絵は一枚
だ ....
放課後、
人目をきにする、
体育館裏の日陰で、
男の子たちだけで、
こっそりたのしんだ、
女の子たちがしていた、
ゴムとびあそび、
てあそび、
あやとり、
そんな、
あおい花、
....
給料日の朝は
女房が珍しく玄関まで見送りながら
「今日はまっすぐに帰ってきてね」
とやさしく声をかける
会社に着くと
いつになく仕事に力が入る
給料袋を渡される時間になると
上司から一人 ....
秋の風は寄せては返す波
蝉は近くてどこか遠い
空洞に宿った声もまたよそよそしい
蝶のかたはね、
蜘蛛のひとあし、
うすい影をまとって
手のひらにのせれば
軽くて重い
この夏を生き延びた ....
雨が用意されている
雨は、いつも用意されていた
夏の終わりに
情けなく溶けだした
アスファルトの上に
生き延びた午後の渇きに
焼き場の長い煙突に
ひとすじの
細く白い煙に
(鉄の塊
....
土砂降りを浴びて
雷さまが落ちた夕暮れに
雲と蒲焼きの匂いが過ぎてゆく
汗とガリガリ君も遠ざかる
そして何処からともなく
幽かな松茸の馨りがやってくる
定番は土瓶蒸しに焼き松茸、
そ ....
丸い朝が
四角いビルにやってきて
直角三角形の僕は
平行四辺形に駅で出会って
無数の三角錐をごみ箱に捨てた
朝からブラックホールだ
*
なんだかんだと言って
あれやこれやと言い返さ ....
この
せっかくの機会を
楽しもう 楽しめなければ
味わおう そうでなければもったいない
人生は一度限りだもの
だけれどね
肉体的に激痛があれば
あれば ガマン出来ないね
泣いて ....
いなくなった人へは
何も書けないから
妻へ
前略
草々
としたため
渡した手紙は
洗濯されて
入道雲の下に干してあった
立ち上がる
背伸びをした
その、もっと上に ....
ようやくもの心地ついたよ
って
一旦やめる
一旦やめることを始める
一旦やめることをやめる
そう
こんなもんかって
帰れない夜に
ぐるぐるまわって
溶けるように
こんな ....
角の本屋さんの奥で万年筆を売っている
仕事帰りの女がそっとのぞきこんだ
くもりひとつない飾り棚は
そんな町が好きだった
ゆっくりと溶け始めるアスファルトが
蟻や落ち葉を運んで ....
悪人である私善人である私
どちらでもない私
これらみんなが私
いかがかしら?
とんぼが負ける
こえは たましい
漂っ ている
こえは
森の
乾けない
空
ひきずられる 影
あ
....
目が覚める
生存しているのは誰か
私とは誰なのか
空気の中を漂って
街道に迷子している
雲間に揺れている
教えてくれないか
何処にいるのか
誰がいるのか
今も何 ....
生ぬるい水滴が顔に当たる
スコールのせいでグロテスクに地面が陥没する
逃げるように
雨を避けて
ヤモリがへばりついてる
軒下のアクアリウム
傘を忘れたから
家に帰れない
....
水浸しの草原に黒い鳥たちがいる
どこまでも濡れた大地に星が映っていた
シマウマに乗って宇宙へ行く
果てしなく遠い、天地の境を行けば
そこに揺らめく虚空の入口がある
朝が来れば揺らめきは消えて ....
新しい病院へ向かう車の後部座席で寝転がっ
て、窓の向こうを見ていた。お泊りはもうい
やなんだけど、もう、指を銜えるほどちっち
ゃい子供でもない。やがてドアが開き、傘を
さしながら「ゴメン」と言 ....
私はゴリラ 悪口でいうところのゴリラ
可愛いものに囲まれて生きる ドラミングは控えてる
猫に小判? 可愛いだけでいいじゃない
こっちはゴリラにハイヒールよ 前足はつかないわ
晩 ....
いいにおいがするよ
ひとがゆくところ
いいにおいがいっぱいするよな
かぜにさそわれ
やさいがやさしくいためられ
そっとおはしがならんで
みずまきのてをやすめると
....
・{引用
⚪︎}
波音 のない夜の海の
靴底の湿りけ。
波の 、{ルビ音=ね}に
{引用=
𝘹 }
{引用=なにも 想うことは ....
ひとつ物音が消えてなくなれば、かき消され
ていた音が聞こえてきます。テレビを消して
みましょうか。ちょうど今頃は庭先から、み
なさんがよく知ってるものや、そうではない
虫の音も聞こえてきます。 ....
白い、
そして少し青みがかった雪に身を投ずれば、
はるか昔の少年がいる
そういえば私は昔、少年だった。
と言葉を発する
誰にでもない、
おびただしく佇んだ雪達に向かって
私は ....
草が草の記憶を語りだすと
風の結晶はふと風に溶けていく
掌で温めていた卵が消えてしまった時
わたしは初めて言葉を知った
その日の夕方
新しいベッドを買ってもらった
感謝の気持ちを伝 ....
宇宙のどこかで超新星が爆発している頃
ぼくは縁側で爪を切っている
我々という混沌を気にもせず
おはようございますと近所を装う
猫が欲しい 人も欲しい お金も欲しい
そろそろ寝ますか
それと ....
ちいさくて固い 心臓が
そっと弛まるように
白い雲は
もう 空の高さを競わなくなった
風が足跡をうずめるように
虫達も その聲を次第に顰ませて
次つぎと落ちて プリズムの ....
ダイヤモンドの針をそっと置く
行っておいで
想い出は遠くなるばかりで
美化されたがっているのはなぜだろうか
この溝は
なぞられれば現れる道だ
ふたたび
さみしさの琴線に音を咲かせ ....
十九
土間のかおりが濃い風の中で
今もまだ鏡を磨くその人は
母方の大叔父だった
茶摘みが好きな
ハモニカの上手が
無口な夏の
終わらぬ波の狭間へ
時の流 ....
私たちは畔にいる
この川に隔てられ
あなたとわたし
大空の下 太陽の下
絶え間なく絶え間なく
落ち続けて昇り続けて
洋上で過ごすように
日がな一日、
畔で待ち続けて
絶えず思い出 ....
砂を、食べている
無限に広がる
砂漠で
時々蜘蛛を、見つける
その、内臓も食べる。
そうして今日も
照りつける太陽に焼かれて
流れ出る汗と熱に
揺れる視界に
方向感覚 ....
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