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の表の角を折り返して
曲がって曲がって
また曲がっていったらもう迷子で
あれから十数年経ったという記憶もあやふや
百年前から立っている樹に登っては降りて
降りては登ってを
もう何べん繰り返 ....
仰ぎ気付いて観れば、
ただブルースカイ
大きく広やか半球描いて
あゝこれはまた只驚きの
この世界が在ること 、
或るもの、或るもの、
奇跡的にありありと
浮き立ち浮き彫りに皆 ....
空港の本屋でファイブスター物語を買って
エスカレータを降りる
甘いホットチョコレートを飲みながら
雨に濡れる機体を眺める
カップを捨てるついでにストレッチして
夢中になっても気付けるよう ....
階段
当然 次を
踏むことができるはずだと思うから/
何度もつまづいた
時に/人は
気がつかない
間違った歩幅に
目を落として
靴を探す
ctrl+
日によ ....
私が何も新しいことは言わなかった、などとは言わないでもらいたい。内容の配置が新しいのである。
(パスカル『パンセ』断章二二、前田陽一訳)
もはや、われわれには引用しかないのです。言語とは、 ....
遥かなる波の音
静寂とともに私を浚ってゆく
暗い波間にみえるのは私の人生そのもの
脱け殻のように漂う空虚な身体を
ただ、ただ、弄ぶ気だるさよ
そのまま冷たく神聖なる水に洗われ沈みたまえ
....
さくら 咲く RUN 走りだし
過去のすべてを 肥やしにかえる
さくら咲いたあとの さくらんぼ
昨日までといっしょにカゴのなか
咲くだけさくならくだらんなのか
桜見よ ....
石ころは確かに石ころだ
それを転がしながら
旅するように生きていく
輝かなくても
欠けていても
石ころは確かに石ころだ
転がっていればいい
ぶつかりながら生きていく
丸くなくても
綺 ....
いつもと同じように
僕が帰るのを待っていたきみは
ソファの端っこに頭を乗せたままで
その小さな心臓は
微かにきみに温もりを残してくれている
いのちに終わりがあることを知っていても
....
父とよく
キャッチボールをした
グローブも買ってもらった
適度な距離をとり
公園や河原で
父と向かい合った
数年後、もう親と
遊ぶような年でもなくなった頃
キャッチボールに ....
絡まり合いほどけぬ糸
時に流されてほつれても
編み上げられている螺旋
深く結んだところから
鏡の中に記憶の骨格が浮かぶ
夢を見させているのは
編み目の奥底から響く
微かな螺旋のささやき
瓦礫しかないところに生まれた
悲しみにあやされ泣いた
涙を飲んで眠った
夢の中で大海を漂っていた
目覚めれば変わらぬ瓦礫がそこにあり
泣くことしかできなかった
破壊が運んできた種が
瓦礫 ....
茶柱が立った、と言う
その声が
柔らかな水分のようで
会議室の会議の最中にも
誰かの幸せが
どこかにはあった
特急列車が通過する時の
数え切れない風圧
議長さんが小さく
手を ....
あなたは
ひかり ぬくもり みずのつめたさ
たべてるごはん たいようのまぶしさ くつをはくおと
おおきなかぜ しおのにおい うみのみず まぶた
むねからこみあげるなみだ
あなたは
....
今の風は何色だった?
耳のうしろで
あなたの声が聞こえた気がして
振り返ると
早咲きの桜が咲っていた
雲って風の言葉なんだっけ?
そんな気障を
言ったつもりはないと笑いな ....
「夏」
北向きの窓に小さい絵の具をかき集めて
一番輝いていた頃の僕は
静止画のように夏を洗う
よそおう纏う切れ端は
僕のような顔をして
どこへ行くのか答えない
「言葉猛獣使い ....
窓が泣き出した
ぼくはめげずに
外へ出て歩きだす
雨とみぞれが
傘の上でダンス
濡れた土の匂い
白い息
かじかむ掌
雪の予感
水たまり
を意識しながら
生きていることを
味わう
南の風に風景はとけこんで
流れていくみたいにゆれてる
つぼみたち
空はあおい
どうしようもないくらい
あおい
白い香りがくる
偽りが新しい偽りを連れてくる
細い糸を曳くみたいに ....
悲しい日の帰り道
雨に汚れたダンボールの中に
小さな詩が捨てられていた
鳴いていたので連れて帰って
ぬるいミルクを飲ませてやった
みすぼらしくて震えてて
....
私という存在を証明するものは何もありません
有るようで無い
無いようで有る
闇に明滅する蛍火のように微かなものなのです
煙草をふかし
ウイスキーを飲み干し
少しの食事で生きていることを ....
海原に骨を撒いた
波が穏やかに飲み込んで
あなたの最後の引越し
あるいは野生に還す
自由に放たれて
世界中を巡ることができる
水平線を見て
地球とあなたの丸さを思う
私の知って ....
ふくらみは春の夢
はたまた、やさしい躓き。
うなずいて、みとめるのも、生活のふくらみ。
ちいさなふくらみ、よろこび
ふくらんでいくふくらみの、ちょっとした悲しみ
しぼんでいくふくらみ ....
そんなにも傷ついてあなたはどうしたの
誰も知らないニュースをお知らせします
あなたの心の鉄橋が落ちた
みんなのお世話をしていたひと
森の奥の 静かな崩壊
金魚は呼吸を遠慮 ....
「幸せに、なりたい!」
いっせーのーせの
異口同音
それはまるで回し車のようで、
それはまるで観覧車のようだ
汚い鼠が
必死に、それはそれは必死に 駆ける
円環道路を駆けるが一歩 ....
学校のトイレの窓ガラスは、むかしから割れていた。
洗面台の鏡の端っこに
生乾きの痰汁がへばりついている。
その鏡に、学校と隣り合わせに建っている整形美容外科医院の
きれいに磨き抜かれた ....
近頃は三途の渡し場も
やたら混んでいて
三途の川も
一年に一度しか
渡ることができなくなった
高度経済成長の団塊世代の人達が
大勢でやってくるように
なったからだ
中学生時代の ....
そういうふうに
こんなふうに
吹いて
吹かれて
不はつして
消えた
さえずりに似た
曖昧で軽い
生きづらさ
飛ばされていった
心や身体の
端きれ
想像していたよ ....
紅い涙の河を渡ったら
青い星が一粒落ちました
それを拾おうと旅にでかけます
暗い夜道は白く浮いていて
寂しさは少しだけ薄らいでゆきました
突然の別れは胸を突き
思ったように息ができ ....
雪どけ水が朝の光を跳ね返し
まなこいっぱい燃えている
つめたい景色の塊は
脳の面を滑落し
グラスの中の海のよう
甘くあいまいに渦巻いて
寄せては返す 空白の口形
黒点のカラス
おのれを ....
ポストAI
二〇二五春はあけぼの
LEDの瞳がくもる前に
夢の鼓動を確かめる
記憶の断片に満ちた海原の先
小舟の帆にかかる灯火を灯し
同刻の部屋に居る音無人は
LEDの光 ....
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