すべてのおすすめ
日本海に春の来た時は
カラカラ カラカラ と
生命ない小石が激しい息吹をもらす
波 寄せる毎
丸くなり
妙に乾いた音たてて
踊り上がりながら 転げこむ
海の碧に惹 ....
グミ
どうぞ、と差し出された袋のなかには
色とりどりのグミ
お祭りみたいにひしめき合ってる
青いのをひとつ
取り出して
口に入れる前に電球にかざす
ママが言った
海の色を ....
雨上がり
暗闇に
空気が透明
水の匂い
耳をすます
+++
田舎道
水たまり
機嫌よく
出来ることは
何もなく
新しい童話ができました
美しくて優しいお話でした
子供たちは喜んで読みました
けれど一番夢中になったのは
大人たちです
雨上がりには虹が出ると
いつまでも信じ続けました
どこから ....
I
どの、骨で
鳥をつくらうか。
どの、骨で
鳥をつくらうか。
{ルビ手棒=てんぼう}の、骨で
鳥をつくらう。
その、指は
翼となる。
その、甲 ....
5月28日
黒いペンで書かれた
カレンダーのさりげない予定
几帳面な字
その翌日
あなたは
日めくりの裏のような
真っ白な予定の永遠に続く
向こう岸へと
踏み出してしまった
....
シャッターを落とす
あのざっくりとした硬さ
断ち切り目に
憧れた子ども
これっきり然とした震撼も
つかの間フイルムを失うと
空間に倣う
一度きりのはずの人生で
く ....
路面に まぼろ 降る雨の、
激しく執拗に叩き付け
灰の雲、次々巨大に
意志持ち流れ動いて
輪を広げる窪みの水溜まり
いくつも、いくつにも
忙しく遠去かり近づき
急ぎ歩く人、また人
....
輝いた肌を白シャツで包み
黒い目を持ち
広い肩を持ち
その人は今日
目の下や口の周りに軽い擦過傷があり
絆創膏を貼っていました
柔道部に所属していて黒帯なのは知っていまし ....
I あがないの子羊
I・I 刺すいばら、苦しめる棘
その男は磔になっていた。
目は閉じていたが、息はまだあった。
皹割れた唇が微かに動いていた。
陽に灼けた身体をさらに焼 ....
全てを忘れて飛び出したいけれど そういうわけにもいかず
作業しては休み 休んでは作業し 仕事を終える
帰宅 夜半 風呂 缶チューハイ SNS チャット
ようやく寝る時間になれば 眠 ....
雲が空のように見えた
走り書き
眠たいだけが取り柄だった
バス停が点在するこの街で
列車の駅を見つけた
小さくて冷たい
それだけの駅
草の夢で躓いて
命を生きることにも
少し ....
幼い頃から崖があると
覗き込む癖がある
特に興味があるわけではなく
崖の下に何があっても
それはそれでよかった
街中
路線バスの中
会議の最中など
崖はいたるところにあって
時々 ....
コーヒーを飲み終えられたベルゼバブさまは、机の上に置かれたアルコールランプを手元に引き寄せられると、指を鳴らして、火花を発して火を灯されました。すると、ベルゼバブさまの前に坐らされておりました老人が ....
ボードレールの作品世界に通底している美意識は、詩集『悪の華』(堀口大學訳)に収められた詩の題名によって捉えることができる。たとえば、「不運」、「前生」、「異なにほひ」、「腐肉」、「死後の悔恨」 ....
ふたり
ふたりにしか
出来ないことをしよう
ふたりきりで 話そう
もしも 意味が違っても
見つかるのを 一緒に探そう
*
ここでしゃがんで
....
もの在る霊性
感じ取る夜、
荒涼として熱い歌声
響き渡る、
凍結された脳髄に
もの在る陰から
また もの 現れ
夜陰の雲の割れ目から
透明な呪い 振り落ちる、
この白 ....
斜光が
千年(ちとせ)の
斜光が
赤々、
街道沿いの
植木を
染め
やっと夕暮れ、
道端に座り
さっきまでずっと
哭いていた神様、
その陶器の肌のような
豊穣な涙に ....
もう もどっては こないよって
あいつは いった
ぼくのことなんか ほっといてよって
あいつは いった
ツチノコ ツチンコ シタリガオ
また どこかで会えるって? ハ ....
波打つ草原、
白い途 男二人行く
黒々、糸杉 聳え立ち
渦巻く律動の星月夜、
静かさの内に自らを差し出す。
*ゴッホ 『星と糸杉』を見入りなが ....
あまだれ ぽつぽつ
落ち続け
貴女はいったい何処いった?
白い途、水の空
在るもの造形の力、
浮き上がり
岸辺の貴女 逃れゆく
絶えず絶えず逃れゆき
坂道 夜の暗闇に
落ち ....
洗濯したシャツを畳んでいると
シャツに畳まれている私があった
痛くないように
関節が動く方向に畳んでくれた
畳み終えると皺に注意しながら
シャツはそっと私をタンスに仕舞った
衣替え ....
真夜中、夜の川
川面に突き出た瀬岩を
{ルビ躱=かわ}しかわしながら
ぼくの死体が流れていく
足裏をくすぐる魚たち
手に、肩に、脇に、背に、尻に
触れては離れ、触れては離 ....
上手に傘が開けたよ
長靴ぬらさなかった
ふかく巻かれるこびとのささぶね
そろそろ川があふれ出しそう
(こんな雨の日はやさしい)
舌を使って
どっちの蛙を乗せようか ....
気持ちの不安で落ち込んだり
あるいは高揚感に落ち着きの無くなってしまう時
深呼吸する
そして私はシングルポイントの六角柱水晶を握る
掌の柔らかい部分に三辺の角が当たり心地良く
....
それは直径十二センチのバースデーケーキだった
スポンジ全体に
塗られる甘みをおさえたクリームと
細かいおろし金で削られたホワイトチョコレート
が、一面に振りかけられて
まるで遠い ....
ディオゲネス・ラエルティオスの『ギリシア哲学者列伝』を読んでたら
アリストンという名前の哲学者が、ハゲ頭を太陽に焼かれて死んだって書かれていた。
べつに、ハゲでなくっても、日射病ぐらいにはかか ....
1
目覚めた時に
あるはずの枕元が
きみの鎖骨の中で
蒸発していた
(そういえば
(春をしまい忘れてたんだっけ
2
全ての
歩行者信号が
赤になっている
雨の季節の始まり
....
contents.
WE
・self-similar
・sea
・lemon
MYSELF
・imaginary
・gospel
・reverse
....
出会う前のあなたも好きとか
別れて十何年経っても好きとか
連続体というだけの他人を愛そうとする
汚れた水中眼鏡
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