どれだけの独自言語が死んだのでこうして笑いあえているのか
肉体を脱ぎたいのだがあいにくと私が外側にいるもので
僕はホルマリン漬けの少年だった
理科備品室の奥底の、埃の積もった標本瓶の
その深海に、いつまでも眠っていたよ
そのせいか、大人になった今でも寝坊助で
肌はというと、 ....
そうだね、
戦争があったんだ。たしかに。
私の血の中に流れる色のない祖母の声は、
終戦の真っ青な夏空をしている。
春はどうだったろう。そういえば戦争の春のことを
聞いたことがない。春 ....
二〇一五年八月一日 「恋」
恋については、それが間抜けな誤解から生じたものでも、「うつくしい誤解からはじまったのだ。」と言うべきである。
二〇一五年八月二日 「ディーズ・アイズ。 ....
【この道が地獄であれと願った】
この道が、このまま進んだ先に地獄であれと
そう願った。願わずにはいられなかったのは
わたしの右ポケットにあるたった一つの飴の
包み ....
過信
誤算
不信
終結
二〇一五年七月一日 「I made it。」
あ
かるい
ステップで
歩こう
あ
かるい
ステップで
歩くんだ
もう参考書なんか
いらない
問題集も
捨てて ....
俺は生身の人間だから
聖人になんて
なれる訳ない
あの頃は
いつも通り凡人のまま
イヤイヤただの凡人とは言いづらい
すっかりギャンブル依存症にかかったクズ野郎だった
馬 自転車 ....
二〇一五年六月一日 「こころに明かりが灯る」
以前、付き合ってた子が遊びにきてくれて、二人でDVD見たり、音楽聴いたりしてた。世界いち、かわいい顔だと、きょうも言った。「きっと、一週間 ....
ふたありは互いのカムパネルラでした
過去を封じた絆創膏が{ルビ愛=かな}しくていまも剥がせない
『貸した金、返せ〜。』
って、がなってる(あ、がなる、って、わかる?まぁ、わかんなかったら、ググってね?)歌があって、たぶん、関西発信で、トータス松本っぽかったので、ウルフルズだと思うけど違ってたら ....
もののあはれとはそれは
風の包帯
先だつ批判をやわらにつつみ
まるで
{ルビ苫屋=とまや}に吸われるもんしろ蝶
ひなたの蜥蜴
春の
ことぶれとも
本を読み知れば楽しい世界ある何も知らない世界山積み
カレンダー捲り時間の流れ知るあっと言う間の一年だった
映画見てラストを想像してばかりがっかり感が漂う映画
散歩道季節で変わる花の種 ....
二〇一五年五月一日 「HとI」
アルファベットの順番に感心する。Hの横にIがあるのだ。90度回転させただけじゃないか。エッチの横に愛があるとも読める。もちろん、Iの横にHがあるとも、愛の横 ....
中学校は1年だけで不登校になり、病院にも自らの意思で行ったが、親戚の家に駆けつけてたりもしたが、説明できず。両親や自分の体調との戦いとのなかで、あの時はしのうと思った。というかそのつもりでいた。
....
二〇一五年四月一日 「少年はハーモニカの音が好きだと言った。」
これは、『ゲイ・ポエムズ』に収録した『陽の埋葬』の一つに書いた少年の言葉だった。ぼくがまだ20代だったころの話だ。なんで思い出し ....
貴方の影が優しい
正直に生きるしかなかった私を笑っているようで
噛み締めた唇から、消えかかる花の色が滴り落ちる
畦道、脱輪したワゴン
降りて様子を見ている貴方の背中がまだ大きい
無防備に ....
言いようのない気持ちに包まれながら、今を祈っている。
詩人の居場所を唯、探している。
居場所など、水の泡の如く、ないのかもしれない。
しかし泡程度はあるだろう。それで充分だ。
....
がしゃん
家の中に、観葉植物の土をこぼしたら、よごれてしまう
フローリングの板に、チョコレートを砕いたみたいな土が、散らばっている
もしそれが、ほんの少し離れた、壁を挟んでむこう側にある、お ....
一人旅を覚えたあの日
握り締めた切符の温もり
まだ掌に残っている
初めての出会い
在る筈だった身体の一部のように
再会を喜び、同じ血を通わせた
何処へ行くのも一緒だった
何を見ても、 ....
だしぬけに
一枚羽根が吹き飛び
鳥は少しバランスを崩した
何喰わぬ顔で引き起こしながら
無限には飛べないことに
今更ながら気づいた
強い北風
空は底抜けの好天
その果てに
まだ見 ....
あなたみたいにゆっくり生きられたなら
そう呟きながら
その細い指先摘まんで額に押し当てる
ひんやりとした感触が
あなたの優しさなんだとわかる
私の指はどうやら幸せを掴むためじゃないみたい ....
青い青い夕暮れ、イチョウの葉が金の鳥となり羽ばたいてゆき
「おつきさま こんばんは」と絵本の言葉で
三日月指さす この子の目はきらきらしている
月のおそばにいる あかるい星は
燭とり童というん ....
「石か水たまりか」
放物線を描いて水たまりに落ちる小石が起こす波紋が言葉だとしたら、その言葉は石の言葉か、それとも水たまりの言葉か。
「謎」
数年前知らない街で車を運転していて道 ....
二〇一五年三月一日 「へしこ」
日知庵で、大谷良太くんと飲みながらくっちゃべりしてた。くっちゃべりながら飲んでたのかな。ケルアック、サルトル、カミュの話とかしてた。へしこ、初体験だった。大 ....
筆まめな方だったと思う。
小学生の頃は毎年手書きの年賀状を、住所を知ってるクラスメイトに送った。
今思えば、下手な字と下手な絵。似たり寄ったりな文面に、100均で買った和柄のフレークシール。
....
愛を1リットルをおくれ
もしお金で買えるならばね
ひもじさをもう一度おくれ
愛に満たされた後で
美しい言葉が降りてくる前に
本当の悲しみを教えてくれるかい
ストリートファイトで ....
きるからころから
きるからころころ
キラキラした音が耳の夜に
温かい雨のように
降りしきってくるのを幾らでも 溢れるまで
宝石箱にしまおう
こぎん糸を 祖母とほどいて巻きなおした ....
{引用=運転免許証を取得した
身分証の代わりにだった
二十六年目と二ヶ月
振り切って進んでは
前方に注意を払いながら
左右を何度も確認する
ハンドルを握り
アクセルを踏み込み ....
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