夕立は突然やってきて
落雷で鉄道の
運行が遅れている
雨宿りをしながら
駅の改札口で彼女と
待ち合わせをしていて
たくさんの
雨粒のなかには
彼女の残像を映す
きっとひと粒の
....
解夏
他力本願で
影響
与えられるままに
受け取るだけの姿勢が
わたしの不安を煽ると気付く
ぽっかり空いているのが
パートナーへの気遣いや
その他の行為
すべてだとして
わ ....
きっと思い浮かぶ光景も景色も 今は繰り返すだけで
背景はいつも同じ中に 似たりよったり 歌っている
今は緩めの目尻を撫でながら また繰り返しを刻む いつもの事
お水にカボスを絞って透明同 ....
ぼくの暮らす大阪には以下の口承噺があります
北の雄二
ミナミのまこと
東西南北藤山寛美
※作者より
もちろん
雄二は南都雄二氏
まことは藤田ま ....
――おや
結婚飛行に乗り遅れたのかい
風に煽られ一人きりで
なんとかしがみついたものの
車のフロントガラスじゃ洒落にもならないよ
こんな剣呑な崖を登り切ってみたところで
そこには余計強 ....
ゼラチンをふやかしとろかし
またかためてとろかした指ごと
腐るだろう
ほら、がんばりなさい
「膝に生えたきのこを毟って食べたら
おとこおんなになったよ」
と、手紙に書いた
あらゆ ....
いまいちど愛をくれぬか姫君よ曼珠沙華より強きあなたよ
星になりたい
うつくしき者たちの裏側に
みにくき私のような者たちが存在する
みにくき私は「うつくしいもの」を渇望する
池に写るみにくき己の姿を見つめ
ただ「うつくし ....
星降る夜に
ノクターンを
あなたと並んで
聴いている
深い漆黒の風
灯りは湖の漣だけの
ショパンが
似合いすぎる時間
千回目のメールの後に
やっと会えた二人
だから ....
山の入り口からただ一つの一軒家を過ごして笹の攻める狭い道をゆく
獣でさえ通いそうなこの道で行く末を想う
知り合いはいない ただ一人 風はやや強いがしのげるほどだ
もう末もない人間が何を想 ....
走りながら汗をかく電車の車窓から
おれは膨らみきった雲と真向いになる
なんでそんなに大きいんだ
思いを小便のようにためこんで
我慢しているのか
まわりの雲は白いのに
おまえだけ灰色で ....
なにかになる
と願いながら、
まな板の上に
かみねんどが
しろく しろく
うずくまっていて。
なに者にも
なれないままに
ただ 干乾びていく。
....
夢にやぶれて
行き場を なくした
俺は自分を 見失ってた
そんなとき
おまえが
俺のために
流した 大粒の涙
無駄にはしないって
心に誓った
阿奈留
おまえは か ....
お湯に四回
悲しくてふらついて
水風呂に三回
風呂上がりも
いっちょ前に悲しくて
たぷたぷたぷたぷ
呼び止めて
はしごはずされて
またおかしくなってしま ....
彼女の歌は歌ではなく
叫びだった
彼の歌は歌ではなく
囁きだった
彼女は27歳で
薬物中毒で逝った
夭折だ
彼は82歳で
心臓発作で逝った
天命だ
でもぼくらは録音で
....
いち 1はカカシの数
一本足で風に震える
縫い付けられた微笑みの数
細すぎる腕を広げて
波打つ小麦畑を守る
に 2はつがいの数
人々を見降ろす街灯の上
互いにキスを振舞う二羽の鳩
....
美しいものは
遠い所にいる時
一番美しく見えるみたいだ
悲しくて
からだじゅうの細胞が泣いている
でも涙はでていない
がんばってるからだろう
あいつもがんばってるからだろう
涙は細胞にまかせたから
ぼくは目のまえのことにがんばろう
呼吸もいち ....
「ゆっくりと腐っていくなら
火にくべた方がましさ」
「でも
腐葉土は緑を育む
揺りかごは惰性から生まれるよ」
太陽が笑ってる
海が唸っている
誰も
僕 ....
蚊柱が含む陽光 梯子のよう 風に溶かした魂がゆく
残業で疲れた身に最後の仕事 貼り付いた蛾を振り払い部屋へ
雀蜂 拳と同じ大きさに驚き 子供は動きを止める
牛乳 ....
白い雲もなく
白い波飛沫もない
ひとつだけの乱反射が
わたしの瞳に届けられる
このひとつの色の波長は
わたしの血液を振動させて
濁ったこころを浄化する
黒い策略もなく
黒い騙し討ちもない
確かな ....
ぼくは
ちいさなてのひらで
ちいさな熱を
にぎって
突っ立っていた。
そしてぼくがそのドアを開けたら
そこにはちいさな少年がいた
ぼくよりももっともっと熱い熱を
あふれさせた少 ....
2位じゃ駄目なんですかと言った馬鹿な議員がいた
最初から2位を目指して何かを為す人間なんていない
1位を目指しての2位なら納得もできるし次こそはと想う
だからどんな分野に於いてもプロフェッシ ....
それは 真夜中の出来事だった
白いシーツにくるまった
私の鼓膜をくすぐる
乾いた漣の音
胸騒ぎが
私を揺り起こした
その音が響いてくるのは
....
親はいないのか
捨てられたのか
たかいのか
ふかいのか
風がきつい
まぶしい
今日の空
ひとのかたちで
風に捨てられて
おまえは
なんていう名の雲か
太郎か、次郎か
花子か、雪 ....
都会の人々が
いっせいに蝋燭に
明かりを灯したその夜
ひとつの灯が
消えた
わたし…
それっきり
くちびるは動こうとは
しなかった
友人の一人は
彼女の瞳は笑っていたと ....
ショートカットのお姉さんのように前髪をクリップで留めたり、わたしのカチューシャをしたりしているので、アッキーを美容院に行かせた 「短めに切ってもらってね」「短めってどれくらい?」「大学に入学す ....
よくばりになると
しあわせは逃げていく
くらべると
しあわせは逃げていく
おいかけると
しあわせは逃げていく
手の届かない
遠いところへ
逃げていってしまったと
思っていたら
....
明日を待っています
ターンテーブルの上で踊りながら
明日を待っています
レコードの傷は今日を繰り返すけれど
明日を待っています
ダイヤモンドの針を質屋に入れて
明日を待っていま ....
起きたら10時ごろで、弟の友人が来ていた。
雨だった。
携帯について語っていた。
出ていって、また寝た。
昼すぎ帰ってきて起きた。
隣の部屋で、買ってきた携帯の設定がピロピロ鳴っていた。 ....
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